以前、知人から相談されたことがあります。「7才の子どもにピアノを習わせてみたいけれど、先生をどういう基準で選んだらいいのか分からない」と。
確かに、家の近所に音楽教室の看板を見かけても、その先生の情報を知らない限り、門を叩く勇気は出ませんよね。音楽的な知識がなければ、なおさらだと思います。
この記事では、ピアノを初めて習う時の先生の選び方のポイントについてお伝えします。お子さんにも、大人の初心者さんにも共通する内容です。
もくじ
長く続けられるかどうか
どんな分野でもそうですが、ある程度長く続けないと、その道の楽しさや奥深さを知るところまで辿りつきません。それを知る前にやめてしまうことになっては、習う本人の可能性がゼロとなってしまいます。それは子どもでも大人であっても、とても勿体無いことです。
ピアノはある程度上手に弾けるまでに、時間がかかる楽器です。出来るだけ長く続けて、まずは可能性を伸ばすことが大切です。そのための方法について紹介します。
「ピアノが楽しい」と思えるレッスンかどうか
お勧めしたいのは、純粋に「ピアノが楽しい」と思えるレッスンかどうか、ということです。
「毎回のレッスンの時間が楽しい」「またこの先生に会いたい」などと思えるような先生であれば、十分に最初の先生選びの合格点を満たしていると思います。
大切なのは、長く続けられることです。毎週のレッスンが楽しければ、よほどの理由がない限り、きっと長続きするでしょう。
仮にピアノ教室が遠く、行き来が大変だとしても、「レッスンが楽しい」と思えれば、物理的な距離は、そこまで大きなハードルにはならないものです。
先生の音楽的レベル・指導力は選ぶ基準ではない?
「先生の音楽的なレベルや指導力的なことは、選ぶ基準にしなくていいの?」、と気になるかもしれませんが、初めてピアノを習う時は、それほど重要視しなくてもいいでしょう。もちろん、それらのレベルが高いに越したことはありませんが、優先順位は低くてもOK。
もし長く続けていくうちに、「もっと専門的なことを学びたい」「ピアノや音楽関係の道に進みたい」などと考えるようになったら、ピアノの先生に相談すればよいでしょう。
指導内容の見直しを考えてくれるでしょうし、場合によっては、もっと専門性の高い先生を紹介してくれることもあります。
テクニック的な面は後から、いくらでもステップアップが可能です。
直接、問い合わせてみる
大手の音楽教室では、情報をホームページ上で公開してありますので、気になれば簡単に情報を入手できます。
一方、個人のピアノ教室の情報はあまり知ることができません。近所で気になっているところがあれば、問合せしてみると良いかと思います。近所であれば、通いやすいので、門を叩いてみて、相性が合う先生であれば、とてもラッキーなことです。
事前に確認しておきたい情報
先生の人柄もよく分からないまま、その先生に習うかどうかを決めるのは、かなり不安が多いと思います。
そこで、事前に確認できることはしっかり問い合わせをしましょう。その教室の情報を知ることは、無理なく続けられるかの判断材料になります。
必ず以下のことを確認しておくとよいでしょう。
・1レッスン当たりの時間
・レッスンの候補日・時間帯(曜日と時間が固定制かも含めて)
・月当たり(年間)のレッスン回数
・月謝の料金
・振替やキャンセルの可否
問合せをしてしまうと、その後、入会しないといけないのか、というプレッシャーがあって、なかなか問合せをためらってしまうかもしれません。
しかし、問合せをする時に、「(こちらから)何を伝えるべきか」「(習うに当たって)何を確認するべきか」そういう内容を準備しておけば、大丈夫です。
例えば、問い合わせの段階で「ピアノもまだ持っていません。楽器選びの相談も乗ってくれますか?」「ピアノを習うかどうかすら迷っています。」「実は他にもいくつか体験レッスンをお願いして、ピアノ教室選びをしているところです。」「練習を毎日するか不安です。」など、正直にあなたの心境や状況を伝えるのもひとつの方法です。
あなたのその素直な迷い・現状に対して、どれだけ真摯に向き合ってくれるかどうか、それも先生の人柄が分かるポイント。レッスンという実践的な指導面だけでなく、問合せに対する先生の対応そのものも、その教室を選ぶ判断材料にしてしまいましょう。
体験レッスン可能かどうか
個人のピアノ教室では、体験レッスンの募集は大手の音楽教室ほど大々的にはしていないかもしれませんが、問い合わせするとだいたいの教室ではやってくれるはずです。
先生側も、どんな生徒さんなのかを知る必要があります。体験レッスンを受けたからといって必ず入会すべきということではありません。気軽に受けてみましょう。
先生の指導方針を知る
先生自身がピアノの指導に関してどのような考え・方針なのかを知ることも大切です。
「いい先生」「悪い先生」ということではなく、習う本人や親御さんの求めている理想と近い先生なのかを知ることが大切なのです。
例えば、大きく分けて以下のような先生がいるとします。
①音符の読み方さえ分かるようになればOKな先生
②楽しさを重視し、練習しなくても怒らない先生
③楽しさを重視しつつ、基礎力アップも目指し、ある程度の練習を求める先生
④コンクールへの挑戦を薦めるような高いレベルを指導する先生
まず、④のような高いレベルを指導をする先生は、あまり一般の募集はしていないことが多いです。音楽関係者の紹介、という形で師事することになるパターンでしょう。
「楽しめればいい」というだけの目的であれば、②のような先生で良いと思います。練習をしなくても怒られませんし、楽です。ただし、ピアノの上達への速度は期待できないかもしれません。なお、②の中には①のような先生も、時々含まれます。
一方で、ある程度、しっかり学びたいのであれば、③のような先生が理想となるわけです。その場合は、毎週の練習は必要です。努力した分、形にしてくれる先生がよければ、このような先生が良いでしょう。
このように、親御さんや習う本人が、どのような先生が理想なのか、選ぶ基準を明確にしておくと、先生選びに迷いがなくなると思います。
先生の指導方針や人柄を見抜く方法
問合せや体験レッスンだけでは、先生の方針がよく分からなかったという場合、「練習時間はどのくらい必要ですか?」と聞いてみましょう。
そうすると、その先生が生徒に何を(どのくらいのレベルを)求めているのか(=指導の方針)をお話ししてくれるかもしれません。
ピアノ学習は、週1度のレッスンだけでは上達に限界がありますから、毎日の練習は基本です。小学校低学年でも30分程の練習が理想です。
それを基準に、「練習はしなくてもいいよ」と仰る先生なら、上達の速度は期待できない先生なのかもしれません。一方、練習時間が短くてOKという先生だったとしても、その理由や根拠についてちゃんと述べてくだされるのであれば、あなたは納得するかもしれません。
正解はありませんが、その先生が、ただ「楽しいだけのピアノ」を目指しているのか「楽しさを教える中に、基礎の習得もしっかり目指す」先生なのか・・・
先生の考えを知ること。
習う前に、それを知ることができれば、習い始めた後に「こんなはずじゃなかった」となる可能性は少ないはずです。習い始めてからのギャップを最小限にするためにも、こちらの想いを伝えることと、先生の考え方を確認することは理想です。
そこまで神経質になる必要はないですが、「先生のことを知りたい」、そのためのコミュニケーションのひとつという意味でも、問合せや体験レッスン終了までに、可能な限り質問し、その先生の雰囲気や人柄を感じとるようにすればいいのです。
まとめ:初めてピアノを習うときの、先生の選び方のポイント。
ここまで、初めてピアノを習う時の、先生の選び方についてポイントをお伝えしました。
子どもでも大人でも、新しく始めることは長く続けることが何より大切だと思います。
特にピアノはある程度弾けるようになるまで時間がかかる楽器です。弾けるようになる前にやめてしまっては、ピアノにおける可能性が閉ざされてしまいます。
長く続けるためには、楽しいと感じることが何よりです。
第一歩としては、ピアノの楽しさが感じられる先生に習うこと。
もしもっと技術を伸ばしたいと思った時は、そう思ったに、ステップアップの方法を先生に相談する。それからで遅くありません。
そういう先生を探すために、体験レッスンや事前の問い合わせで、できる限り必要なことを確認しましょう。こちらの想いも伝えながら、コミュニケーションをとり、先生の雰囲気や人柄を感じとれれば、いざ習い始めてからのギャップは最小限ですみます。
ぜひ相性の合う先生と出会って、ピアノの世界を広げて欲しいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。