ピアノの上達は練習量と比例します。しかし、上手な人と同じだけ練習すれば同じように上達するかといえば、必ずしもそうとは限りません。逆に言えば、効率の良い練習をすると短時間でも、上達は見込めるものです。
では、ピアノが上達する人としない人の違いはどこにあるのでしょうか。
この記事では、ピアノが上達しない理由について説明すると共に、その対処法をお伝えします。それが分かれば、ピアノの挫折防止にもつながります。
もくじ
ピアノが上達しない理由
ピアノが上達しない理由は様々あります。当然、練習しないと上達はしません。それ以外でも、意外と気づかない理由もあります。
ここではピアノが上達しない理由とその対処法について説明します。
練習しない
ピアノのレッスンに通っていても、自宅での練習の習慣が身についていなければ、上達は難しいでしょう。
週1回の30分〜1時間のレッスン時間も大切な時間ですが、それ以上に、残りの週6日間でどれだけ練習するか、それがいかに上達するかの大きな決め手となります。
この問題は、習慣化してしまえば、解決するものです。
やる気がない
ピアノを習っているお子さんの中には親の意思で始めた子も多いと思います。そうだとしても、なぜやる気がないのでしょうか?
ピアノに全く興味がない場合…だんだんと楽譜が読めたり、曲が弾けるようになると、ピアノの楽しさが分かってくることも多いです。
もし、その時期を通り越してもやる気が出ず、練習しなければ、残念ながら、ピアノ上達は難しいかもしれません。
楽譜が読めない場合…ピアノが好きであっても、最初のうちは楽譜が読めないことで、理想と現実のギャップに戸惑うこともあります。
宿題に出されたことを、ひとつずつ、丁寧にとりくむようにしましょう。できることが確実に増えることで、ギャップが埋まり、楽しさを感じられるようになります。
練習時に集中できていない
練習中に違うことを考えたり、ついスマートホンを触ったりすることありませんか?
同じ時間でも、集中している時間とそうでない場合は、上達に差がでます。
そういう場合は、練習時間を設定するのではなく、「練習内容」を設定するようにしましょう。
例えば、「30分練習する」よりも、「このページを◯回練習する」「このページをスラスラ弾けるようになったら練習終わり!」など、内容を優先して決めることです。
小さいお子さんの場合は、回数を設定してあげる方が、分かりやすいかもしれませんね。ただし、回数だけの支持だと、子どもによっては、雑に弾いてしまう場合もあるため、丁寧に弾くように声かけしてあげてください。
弾けるところ・好きなところばかり練習する
得意分野を伸ばすことはとても大切なことです。ただし、ピアノの練習においては、必ずしもそうとは言えません。苦手なことを克服することは、上達への近道です。
嫌いな曲・嫌いな部分の練習は、どうしても後回しになりがちです。そもそも、嫌いである理由は、「弾けていない」という理由からくることが多いです。弾けるようになれば、ある程度は好きになりますし、テクニックの底上げとなっていきます。
弾けないところ、嫌いなところこそ、ピックアップして回数重ねましょう。弾けるようになるまでは辛い作業ですが、それが上達のカギとなります。
目標が曖昧
ピアノが好きで自分の意思で始めた人にとっても、目標が曖昧だと、途中で練習への意欲がマンネリ化したり、飽きてしまうこともあります。
昔からピアノに憧れていたから始めた、という強い気持ちがあっても、目標を持つことはモチベーション維持には必要です。例えば、次の目標は一例です。
【目標の例】
・ピアノ教室の発表会に参加する
・友人・知人の前で披露する
・ストリートピアノで弾いてみる
・録画して記録に残していく
・YouTubeに投稿してみる
上に挙げた例は、比較的長期的な目標ですが、短期的な目標を作ることも効果的です。
例えば「次のレッスンまでに、このページまでミス無しで弾く」という目標を作り、そのために、1週間でやるべき練習を計画的にやることです。
大人の方は忙しく、練習時間が限られていることも多いので、そういう工夫をすることで短時間でも効果的に練習ができます。
目標が高すぎる
目標が高すぎることも上達に結びつかずに、挫折をしてしまう原因になります。
もしあなたにずっと憧れていた曲があったとします。
しかし、いざ練習を始めると、想像よりはるかに難しかった場合どうしますか?弾けないから諦めてしまう、それだけは避けましょう。
難しいければ、まずは簡単な曲から挑戦することは良い方法です。
また、目標が高い人ほどありがちな、「誤った練習パターン」があります。自分の実力を自覚せずに練習してしまうと、上達から遠ざかってしまいます。
【ついやりがちな誤った練習パターン】
・まだ弾けてないのに、両手で弾こうとして止まる→片手ずつの練習を増やそう。両手で合わせられるまで、片手ずつの練習は十分に行いましょう。
・速いテンポで弾いて、止まってしまう→遅すぎる!と思うくらいゆっくりのテンポで弾こう。遅すぎても止まらない方が早く上達します。
・まだ弾けていないまま、次の箇所へ進もうとする→ゆっくりでもいいので、インテンポ(一定の速さ)で弾けるまでは、その部分をくり返し練習しよう。弾けないところだけゆっくり弾く、というのはまだ先へ進むべきではありません。
憧れの曲がとても難しい曲で、それでもチャレンジしたい気持ちがある時は、長期的なスパンで考えましょう。自分の実力と練習にかけられる時間を考え、無理のない目標を設定することがコツです。例えば、1か月1ページだけ、などです。
この時に大切なのは「欲張らないこと」。
少し低いかな?と思うくらいの目標を設定をしましょう。それよりも頑張れそうなら少しずつ目標を上げていけばいいのです。
「低い目標」というのは具体的に言うと、テンポ(速さ)を落とす、片手ずつやる、狭い範囲を練習する、などです。自分でも確実にできるくらいレベルを落として、ただし、正しく譜読みしましょう。
毎日少しでも続ければ、1年後には随分と弾けるようになります。続ける限り、必ず上達します。
自分の音を聴いていない
自分の音を聴くというのはとても大切なことです。ピアノを弾くことでいっぱいになり、自分の音を聴くことがおろそかになりがちです。聞こえているよ、と思うかもしれませんが、ただ耳から聞こえる音を「聞く」のと、どういう音質でどのような表現をしているのかを「よく聴く」ことは違います。
1番分かりやすい方法としては、曲が完成に近づいてきたら、自分の演奏を録音や録画をしてみましょう。上手に弾いていたつもりでも、思ったように弾けてないことが多いものです。
録音・録画をすることで、より自分への課題が見えてきます。客観的に自分の演奏を聴くことは、上達するにはとても大切な要素なのです。
もっと効率良く上達するために
ピアノの習得には終わりがありませんから、前述したことを克服できるようになったとしても、練習をやめない限り、さらにピアノは上達はします。その手助けとして次のようなものもあります。
聴音やソルフェージュのレッスンを受ける
聴音やソルフェージュという訓練があります。ピアノのレッスンと別にそういったレッスンを受けると、演奏された音を正しく聴きとったり、ピアノの音を鳴らさなくても、楽譜のメロディーを歌ったりすることができます。
その訓練をすると、さらにピアノでの初見や譜読みが早くなり、上達速度が上がるというわけです。
もちろん、ピアノのレッスンの中にそういう練習を取り入れてくれる先生もいますが、「ソルフェージュ」という単独のレッスンをしている教室もありますので、情報として参考にしてみてください。
ソルフェージュについてもっと知りたい方はこちら→ソルフェージュとは?ピアノ学習と併用する効果。
音感トレーニングをする
「音感」とは音に対する感覚のことで、音の高低、音色などをききわける能力をいいます。音感を養うと、ピアノの上達が早くなります。なお、前述の「聴音」「ソルフェージュ」のレッスンを受けることでも音感の能力が養えます。
レッスンに通わずとも、ある程度の音感を鍛える簡単な方法がありますので、この記事を参考にしてみてください。
まとめ:ピアノが上達しない理由とは?
ここまで、ピアノが上達しない方法と、その対策方法について紹介しました。まとめると次のようになります。
【ピアノが上達しない理由】
・練習しない
・やる気がない
・練習時に集中できていない
・弾けるところ、好きなところばかり練習する
・目標が曖昧
・目標が高すぎる
・自分の音を聴いていない
以上の理由がありました。そのための対策をするのとしないのでは、同じ時間だけ練習をしても、力に差が出てきます。
さらに上達を目指すには、「聴音」「ソルフェージュ」「音感トレーニング」というものがありました。これはピアノの上達の手助けになるような訓練のことです。ピアノのレッスンと別に、そのような訓練をすると、上達速度が上がります。そういう教室もありますので、興味のある方は調べてみてください。
この記事で紹介した内容が、少しでも今後のピアノ学習の参考になれば、幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。