ピアノには練習方法がたくさんあります。皆さんは、「メトロノーム」は活用していますか?
メトロノームはピアノの上達を目指すためには、なくてはならない必需品です。音楽を勉強するにあたって、「テンポ感」を身につけることはとても大切だからです。
筆者にとっても、「メトロノームなしにはピアノの上達は語れない」そのくらい大切なものです。
この記事では、メトロノームがピアノの練習に欠かせない理由や、メトロノームを使った練習方法について、説明します。
もくじ
ピアノの上達にメトロノームが効果的な理由
メトロノームを使った練習が効果的である理由を説明します。
音楽にはテンポ感が大事
音楽の大切な要素の中に「テンポ(速さ)」があります。一定のテンポを刻むことは音楽の基本でもあります。
時間の流れは、誰に対しても平等です。ところが、人によって、また感情によって時間の流れる感じ方は異なることがよくあります。
例えば、楽しい時間は早く過ぎたり、逆に退屈な時間は長く感じたりします。大人の方が子どもよりも月日の流れを早く感じると言われています。
音楽をやる上でも、音楽の流れを知ることは、とても大切なことです。基本的なテンポがあり、その中で、たっぷりとした「うた」のような表現があったり、前向きなテンポで進んでいったりします。
その「テンポ感」が主観的だと、音楽の流れが不自然になったりします。客観的な流れを知っておくことは演奏のテクニック的にとても大切です。
客観的な時間の流れを掴むこと
自分では一定のリズムで刻んでいるつもりでも、いざ他の共演者やメトロノームに合わせてみると、合わないことがあります。
速い曲だと感じていたものが、実は意外とゆっくりだったりすることもあるのです。
また、始めたテンポと同じように弾いていても、気がつかないうちに段々と速くなってしまうこともよくあります。演奏に余裕がない時ほど、自覚しているテンポと実際のテンポは違うものです。
客観的な速さを知るためには、メトロノームが大活躍します。
正しいリズムが分かる
正しく譜読みをしているつもりでも、メトロノームと合わせて弾いてみると、途中で合わなくなったりすることがあります。
どこかで誤ったリズムで弾いてしまうと矛盾が生じて、このようなことが起こります。
このようにメトロノームの練習をすることで、誤った練習をした時の「気づき」にもつながります。
メトロノームの種類
メトロノームのタイプについて、紹介します。
振り子式
電池不要のタイプです。ネジを回せば、故障しない限りは、永遠に「カチカチ」鳴ってくれます。筆者の人生初のメトロノームはこのタイプ。20年以上、壊れずに動いてくれました。
初めてメトロノームを買うならば、最初にこの王道のタイプを持っておくと良いでしょう。種類にもよりますが、修理が可能な物もありますし、とにかく長持ちします。
ただし、速さやリズムの選択が電子式よりは種類が少ないというデメリットがあります。
電子式
リズムや速さの種類が多いので、細かいリズムに合わせて練習したい人にはおススメです。
チューナーが付いているタイプが多いため、ピアノ以外のチューニングが必要な楽器の人にも人気です。さらには軽量なので持ち運びにも便利。
デメリットがあるとすれば、電池が必要なのと、電子機器なので、寿命は振り子式より短めかもしれないところです。
アプリ
無料でインストールできるので、手っ取り早く手に入れたい時や、単発的に使う場合に便利です。
昔はシンプルなものであれば、無料でも広告なしの物がありましたが、今はほぼ広告が流れますので、長時間練習したい時には向きません。すぐにスマホの充電がなくなってしまいますし、流れる広告が目障りです。
有料版であれば、無料版より使いやすいかもしれませんね。
ピアノの練習におけるメトロノームの考え方
古典派(ハイドン、モーツァルト、ベートーベン)の曲は比較的、一定のテンポで音楽が流れます。そのため、練習には、そのテンポ感を身につけるために、メトロノームの練習を多めにすることをおススメします。
ロマン派以降の曲は、テンポが自由な曲が多いです。それでもやはり、楽譜上の正しいリズムをテンポ通りで弾けることは基本。譜読みの段階では、ぜひメトロノームを使って練習してみることをオススメします。それが確実に出来た上で、表情豊かにうたったり、自由にゆらしたりします。
基本のテンポが刻めないうちに自由に弾いてしまうと、音楽の流れが不自然になってしまいます。音楽には豊かな表現力が求められますが、それ以前に安定感も必要なのです。
メトロノームの使いすぎには注意
メトロノームの練習は沢山やればやるほど、音楽の安定感は増します。しかし、目的を見失ったり、やり過ぎたりしてしまうと次のようなことが起きてしまいます。
・音楽性のない、機械的な演奏になってしまう。
・自分一人(メトロノームなし)では、一定のテンポを刻めない。
・「帳尻が合えば、正確だ」と判断しかねない。
メトロノームの意外な活用方法
メトロノームの練習がテンポ感を身につけるために効果的であることは前述の通りです。もうひとつ、効果的な方法を紹介します。
1つの曲を暗譜し、仕上げの段階に入った時。
暗譜したままメトロノームに合わせて弾いてみましょう。
・・・調子が狂って、意外と上手に弾けないことがあります。
何度も弾きこんで、自分なりの音楽に仕上げたその自由な弾き方は、豊かな表現をするために、素晴らしい演奏だと思います。
その段階で、メトロノームの練習をするのはとても久しぶりなはずです。だからこそ、もう一度、基本に戻って弾いてみる。そうすると、暗譜の確認にもなりますし、あなたの演奏は更に安定し、確かなものとなります。
このようにメトロノームは、曲の仕上げの段階の練習にも、とても効果的なのです。
まとめ:ピアノの練習におけるメトロノーム活用方法。
ここまで、メトロノームの練習が効果的な理由と活用法について説明しました。
音楽は、正しいテンポ感を身に付けることがとても大切な要素です。
時間の流れは人やその時の感情によって異なることがあり、客観的な時の流れを身に付けることはとても大切。
メトロノームはそのための練習の必需品です。多くやればやるほど、正しいテンポ感は身に付きます。
ただし、機械的すぎる演奏にならないように、目的を理解して練習するが大切です。
また、仕上げの段階までに磨いた曲でさえも、メトロノームと合わせて弾いてみると、いい練習になります。暗譜の確認にもなるし、さらに安定した演奏になること間違いありません。
豊かな音楽表現とメトロノームの練習。一見すると、相反することのように感じますが、決してそうではないことが分かっていただけたと思います。メトロノームはピアノの上達に欠かせない存在。いい音楽を奏でるために、どんどん練習に活用してみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。