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ピアノ上達に向けて

ピアノのオクターブ奏法、難しい本当の理由と克服方法。

ピアノの作品で、オクターブの音型が出てくると、単音だけのフレーズに比べて、ものすごく難易度が上がると思いませんか?

一般的に、手が大きい人はオクターブを掴むのに有利だと思われています。しかし、比較的手の大きな筆者はオクターブ奏法がとても苦手でした。

ポピュラー音楽であれば、ちょっと楽をして「オクターブを単音だけ弾く」という方法もありなのですが、クラシックはやはり楽譜通り弾かなければいけません。特にメロディーでのオクターブは、豊かに美しく歌うように奏でたいものです。

この記事では、なぜオクターブが多用される音型が難しいのか、その意外と知られていない理由と克服する方法について、またオクターブを練習するメリットについて説明します。

オクターブ奏法が苦手な理由

オクターブが連続して登場する音型は、難易度がとても上がります。そんな時でも、大柄なピアニストは楽々と弾きこなしているように見えますよね。

オクターブを弾くには、やはり手が大きくないと不利なのでしょうか。それについて説明します。

手が小さいのはオクターブ奏法に向かない?

「オクターブが届かない」という人は、「自分は手が小さいから」というのが理由だと思うでしょう。

意外と知られていないのですが、オクターブ奏法を苦手と感じる人の特徴は「手が小さいから」というだけではありません。

実は、中学生以上になれば、手の小さい人でも、オクターブはちゃんと届きます。物理的には可能なのです。では、オクターブの苦手な人は何が理由なのでしょうか。

オクターブ奏法は手の関節が柔らかい人が有利

知り合いに、とっても小柄で、手が小さいバイオリニストがいます。しかし彼女は、ピアノの鍵盤はオクターブを楽々掴めます。ピアノはほぼ未経験で、手が小さいにも関わらず、です。なぜでしょうか。

実は彼女は身体が生まれつき柔らかく、ヨガをしても伸ばすところがないくらい、極端に柔らかい関節を持っています。そのため、指の関節もとても柔らかいのです。

ある日、彼女がピアノのオクターブを楽々と掴んでいるのを見た時、オクターブ奏法が困難な人は、手の大きさよりも、手の関節の硬さの方に原因があるのだとあらためて気がつくことになりました。

あなたの関節はどう?硬い人は自分で対策を

筆者は学生時代から師匠に、「あなたは手が大きくていい手をしているのに、なぜオクターブがきれいに弾けないの?」とよく言われてきました。

オクターブの連続を弾くと、どうしても隣りの音まで触ってしまうのです。ただの練習不足だと思い、そういう所は他よりも余計に練習しました。それなのに一向に上達しなかったのです。

そんな時、前項のバイオリニストのエピソードがあり、自分がなぜオクターブ奏法が苦手なのか明確になりました。

実は筆者は、極端に身体が硬い人間。人と比べて硬いことを、少しは自覚していました。ただし、それがピアノのテクニックにまで影響しているなんて、長いこと気が付かなかったのです。

つまりこういうことです。

身体が硬い→手の関節も硬い→手が広がりにくい→ピアノのオクターブが掴みにくい→オクターブ奏法が苦手

これに気が付かなかったため、オクターブが苦手という認識も薄く、「オクターブの基礎練習」が人よりも多く必要だということを、長年、自覚すらできなかったのです。

楽曲の中にあるオクターブ奏法をがむしゃらに練習したところで、技術力がなかなか上がらなかったのは、その根本的な原因が分かっていなかったから。そして、楽曲だけのオクターブの練習では不十分だったのです。

オクターブ奏法が苦手と感じる人の中には、筆者と同じように、単なるテクニック不足や練習不足が原因でなく、「身体や関節が硬い」ことが原因の人がいるということです。

そのような人は、人よりも多くオクターブの練習すべきなのですが、残念ながら、そこを指摘してくれる指導者はなかなかいません。自分で対策をすべきなのです。

オクターブ奏法が苦手だと、脱力できない

オクターブ奏法が苦手な人は、手を広げる時につい、手や腕に力が入ってしまうという特徴があります。それにより、本来の力が発揮できないという残念な演奏になってしまうことも多い。

ピアノの奏法では「脱力」はテーマとしてもよく取り上げられる程、大きな課題です。

オクターブ奏法が苦手な人はぜひ、基礎練習をして、克服することをお勧めします。そうすることで、和音もしっかり掴みやすくなり、上手に脱力しやすくなります。それは、奏でる音楽に深みが増すということにもつながり、とても効果的です。

オクターブの練習をすることは、ピアノ経験者だけでなく、大人のピアノ初心者さんにとっても効果的です。

その基礎練習については、次の項で紹介します。

オクターブの連続を苦手に感じないために

オクターブの奏法が苦手にならないために、子どもの時にできること、大人になってからでもできる対策について説明します。

子ども世代にこそ多く練習すべき

小学校の高学年くらいになると、オクターブを使う楽曲が少しずつ出てくると思います。

中には、まだオクターブが届かないという子もいるでしょう。クラシックは楽譜通り弾くことが前提です。しかし、オクターブ届かない時期であれば例外的に、音を抜いて単音で弾くということをよしとする先生もいます。

左手のバスとして登場する場合は、シンプルな形が多いため、初めてでも挑戦しやすいです。ところが、右手のメロディーとしてのオクターブは、左手よりも少し複雑なこともあるので、まだ単音で弾こう、とする子がいると思います。

そのように、右手のオクターブの練習の開始が遅くなってしまうと、左手よりも右手のオクターブの方が苦手となってしまう可能性があります。

子どもは身体が柔軟です。関節も柔らかい。少し頑張れば届く、という状況であれば、出来るだけ早いうちにオクターブ奏法にトライすることが理想です。若いうちに、練習量が多いほど、大人になっても、ずっと関節の柔らかい手を維持できるからです。

オクターブが苦手な人は、日頃から基礎練習を

もちろん、大人でも練習すればオクターブ奏法が楽になります。

楽曲で出てきたオクターブの難しい箇所を集中して練習することも大切ですが、「オクターブの基礎練習」を追加するとより効果的です。

ピアノ学習者定番の教本、「ハノンピアノ教本」の中に、オクターブの練習方法がいくつか載っています。

少しでも苦手と感じる人は特に、普段の基礎練習の中に、オクターブの練習を取り入れることが大切です。

尚、身体や関節が硬い人は、一度手が広がりやすくなっても、基礎練習を辞めてしまうとすぐに元に戻ってしまうのでご注意。この基礎練習は、常日頃から行うようにしましょう。その必要性、きっと周りからは指摘してくれませんので、自分で気がついて実行した者勝ちですよ。

まとめ:ピアノのオクターブ奏法、難しい本当の理由と克服方法。

ここまで、なぜオクターブ奏法が難しいのか、その意外な理由と克服方法について、説明しました。

手が小さい人は、オクターブ奏法に不利だとよく言われますが、苦手の原因が、身体や指の関節が硬いことだというのは意外と知られていません。関節が硬いと、手の開き方が狭く、オクターブを掴むことが人よりも困難です。

オクターブは若いうちから練習するのが理想ですが、大人の学習者でも、基礎練習を続ければ、随分と掴むのが楽になり、腕の脱力もできるようになります。

ぜひ、ハノンピアノ教本などを利用して、オクターブの基礎練習をし、オクターブで自由に弾けるようになりましょう。きっとテクニックが上がって、ピアノがより身近になりますよ。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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ピアノ上達に向けて

ピアノの練習時間、どうやって作り出す?

ピアノ学習者にとって、練習時間の確保は課題の1つです。ピアノの練習を継続させることは、上達への大きなカギとなるからです。

大人は、仕事、家事、家族の時間など、自分のためだけに使える時間は多くありません。一方、お子さんにおいても、親御さんの共働きの関係で、保育園や学童の時間が長かったり、習い事や部活が忙しかったりと、在宅の時間が短い子も珍しくありません。

そういった理由から、大人も子どもも、練習時間がなかなか取れないものです。

この記事では、忙しい中でもピアノの練習時間をどうやって作り出すか、その方法について説明します。

ピアノの練習時間の確保の難しさ

子どもも大人も忙しい。そんな中で練習時間を毎日確保することは難しいことです。その理由や工夫の方法について、お伝えします。

住宅事情により、夜間は練習できない

練習するのが電子ピアノやサイレントピアノであれば、時間の制限なく、夜でも練習できるでしょう。そうでない限りは基本的に、ピアノは練習できる時間帯が限られています。

地域性、マンション住まいかどうか、家の密集度合など、それぞれの条件にもよると思いますが、せいぜい21時頃まで練習できればいい方ではないでしょうか。

そうなると平日の帰宅後、練習できる時間はほとんどない、という人も多く、継続してピアノを練習することが難しいのも無理はありません。

「練習時間がない」という本当の理由

前項のように、時間的に練習が難しい人がいる一方、リラックスする時間はあるのに、「練習時間がない」と思い込んでいるタイプの人もいます。

どんなに忙しい人でも、スマホを触ったりする時間はあるでしょう?何気なくスマホの画面を見ていると、あっという間に20、30分過ぎるということもあると思います。

それが、ピアノの練習が出来ない夜間の時間帯なら、問題ありません。

例え好きで始めたピアノであっても、疲れている時は、ピアノの練習の優先順位が低くなる、そうなってしまうことは自然なことです。

わずか10分の練習であっても、意識しなければ、練習しない毎日なんて、気が付かずに過ぎていくもの。

もし、音出しOKな時間帯にスマホを無意識に触っているならば、あなたには練習時間を持てる可能性がまだあるということです。工夫は必要ですけれど。

中学生や高校生は学校で練習も

ピアノをもっと練習したいけれど、どうしても帰りが遅くて練習できないという中学生や高校生の場合。

筆者の高校時代、同じ門下生だったその彼女は、毎朝、早朝に学校の音楽室でピアノを練習していました。課外授業が始まる前なので、それはもう信じられないほどの早い時間です。

もちろんそういう場合は、先生への相談や許可は必要ですが、音楽の道を検討しているのであれば、学校はきっと応援してくれるでしょう。

学校のピアノを使用できるのは、学生の特権です。特権はどんどん利用すべきです。

ピアノは習慣化が1番簡単

学校や仕事を終えて、お疲れの中の練習というのは、なかなか大変なことです。だからと言って、練習時間を確保しないと、ピアノの上達は見込めません。

ピアノの上達のコツは、毎日の積み重ねだからです。

どんなに疲れていても、ご飯は食べるし、ハミガキ、お風呂は毎日するでしょう。それらは、多少面倒くさい気持ちはあっても、何も考えずに行動に移せるものです。それは習慣となっているからですね。

そこで、ピアノの練習を、それらの習慣のどこかに取り入れてしまいましょう。おやつを毎日食べる人は、「ピアノの練習→おやつ」という順番でお楽しみを後に持ってくるもよし、「ご飯の前の30分を練習に」というパターンでもよし。どのパターンであれば、あなたにとって無理なく行動ができるか、試してみましょう。

習慣化するまでは大変だと思いますが、一度定着してしまえば、エネルギー最小限でピアノに向かえます

ピアノは登校前、出勤前もオススメ

学校や仕事からの帰宅後でももちろんいいのですが、可能な人は、登校や出勤前に練習することがおすすめです。

それであれば、習い事をしているお子さんでも、平日の練習が減ることはありません。お仕事の人は、残業で帰宅時間が遅くなり、練習時間が減るという影響も受けません。

前述のように毎日の「習慣化」となることが、エネルギー最小限で取り組めますので、「毎日練習ができる時間帯」を作ることが理想です。

早すぎる時間帯は近所迷惑になる場合もあるかもしれませんが、家を出る前に少し練習するくらいなら差し支えないのではないでしょうか?ピアノの練習時間分、少し早起きすれば、解決すると思います。

しかも、頭もスッキリした朝の方が練習が捗りやすく、家を出るまでのわずかな時間で集中力も増すので、効率の良い練習ができます

週末中心の練習

特に大人は、平日は仕事で練習できない人は多いでしょう。そうなると、練習するのは週末中心となります。実行に移すためのコツを説明します。

週末に「ピアノの練習」を予定に入れる

ピアノのは練習は週末に…そのつもりでいても、いざ週末となると、たまった家事をしたり、ゆったり過ごしたりして、なかなかピアノモードにならないこともあります。

平日にできない予定も入るため、週末なんてあっという間に終わってしまうもの。

そこで、ピアノの練習時間は、ぜひ予定の1つとして入れ込みましょう。手帳に予定を書き込むのと同じように、ピアノの練習も書き込んでしまうのです。

ポイントは、時間帯と練習したい内容まで書き込むことです。前もって予定しておくことで、いざその時間になった時、迷わずに行動に移せます。

自分の集中できる時間を知る

もう1つのポイントとなることなのですが、あなたの集中できる時間帯はいつでしょうか?

せっかくピアノの練習という予定を手帳に書き込んでいても、集中できる時間帯でなければ、やる気がなくなってしまい、実行に移さず終わってしまうかもしれません。筆者は何度もその失敗経験があります。

人によって集中できる時間帯は違います。いつもよりも気持ちが緩んでいる休日は、平日よりも練習の意欲が失せることもあります。

なので、できれば1日が始まってすぐに取りかかることが望ましいです。午前中の方が集中できる、という人も多いでしょう。

午前中から予定がある、という人は、平日と同じように早起きして、家を出る前に練習するという方法もあります。起きる時間や朝の支度の準備の時間を差し引いて、計画的に行動すれば、練習の時間は多少は作りだせるでしょう。

もちろん、予定が終わってからの時間の方が無理なく練習ができるという方は、それでOK。

あなたにとって無理なくピアノが練習できる時間帯を知り、予定に入れ、必ず実行できるような工夫をしましょう。

まとめ:ピアノの練習時間、どうやって作り出す?

ここまで、忙しい中でもピアノの練習時間をどうやって作り出すか、その方法について説明しました。

子どもも大人も忙しい中で、どうやって練習時間を確保するのか。ピアノの上達において差ができるのはその工夫や意識の差とも言えるかもしれません。

なぜ練習ができないのか。逆に、いつなら練習できるのか。いつなら練習に集中できるのか、そういう可能性をまずは考えて、あなたなりに無理のない方法を探すことが大切です。

1番エネルギーが要らないのは、ピアノの練習を習慣化させること。同じ時間帯が難しければ、生活習慣の一部に無理やり取り入れて、定着させることです。無意識で行動できれば、自然とピアノは上手になっていきます

何か1つでもヒントになりましたら幸いです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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ピアノ上達に向けて

「ただ弾いているだけ」のピアノにならないために

ピアノのレッスンで、「ただ弾いているだけの演奏になっている」などと、先生から言われたことありませんか。筆者は何度もありました。

楽器って言葉がないから難しい。しかし、中にはおしゃべりしているかのように表情たっぷりにピアノが弾ける人もいますよね。

筆者はそのための方法が分からず、長年苦労しました。ピアノを続ける限り、その課題は続くと思いますが…

この記事では歌心のない筆者でもできる、『ただ弾いているだけのピアノ』にならないための方法について説明します。

なぜ「ただ弾くだけ」になってしまうのか

ピアノの音色はとても美しいけれど、一方でとても損な楽器といえます。

他の楽器の多くは、メロディーや自分のパートにだけに集中すればいいですが、ピアノは音楽のあらゆる要素を担当しなければなりません。メロディー、伴奏、合いの手(ハモリなど)、バスパートなど・・・

そのため、ピアノの楽譜には膨大な数の音符があり、楽譜を鍵盤上に移し替えるという行程だけでも、十分に大変な作業です。「弾くだけで精一杯」となるのも無理はありません。

クラシックの曲は、楽譜通りに弾くことがもちろん基本。作曲家の意図を楽譜から読みとり、音楽として形にしなければなりません。

しかし、音楽的にピアノを弾くためには、楽譜を正確に弾くだけでは足りないのです。ピアノに限らずですが、楽器の学習の最終的な目標は「自分で作り出す音楽」だからです。

音楽のしくみを理解すると随分変わる

ピアノは音楽の要素、ほぼ全てを1人で担うため、他の楽器奏者よりも、さらに楽譜の内容をしっかり読みとる必要があります。そのための方法について説明します。

弾く前に音楽の内容を理解する

楽譜に書かれている内容を理解することは、練習する上でとても大切なことです。

楽譜を見て、メロディー(旋律)、伴奏、副旋律(合いの手など)、バスの役割を理解する。そして、メロディーを中心に、全体の音楽の流れを理解する。そうするだけで、それぞれのパートをどのように弾くことが大切かが見えてきます。

この作業を、実際に音を出す前に確認することがポイントです。

音楽の流れや呼吸を考える

メロディーを音楽の流れの中で、どう歌うべきかを考えます。実際にメロディーを、声に出して歌ってみると分かりやすいです。難しい場合は、メロディーパートのみ、弾いてみてもOK。

例えばですが、音型がだんだんと上昇していく場合は、そこに記号がなくても、クレッシェンド気味に弾くことが自然です。もちろん例外はありますが、音楽には暗黙のルール的なものが存在しますから、初心者の方は、メロディーをどのように歌うべきか、先生に指導してもらうとよいでしょう。

また、歌や管楽器と違って、ピアノは実際に「呼吸」をしなくても弾けてしまう楽器です。そのため、どうしても「音楽的な呼吸」を忘れがちになってしまいます。

どんな楽器であっても、歌う時と同じように、音楽は呼吸するのが自然です。呼吸は指にも音にも影響します。

「フレーズの切れ目で呼吸する」など、歌う時と同じように呼吸します。長いフレーズでは長く、静かなフレーズでは静かに、激しいフレーズでは鋭くなるはずです。やはりここでも、メロディーを実際に歌ってみると感覚が掴みやすいと思います。

メロディーに応じた伴奏を考える

言うまでもなく、音楽の主役はメロディーです。伴奏では、主役を目立たせるために相応しい弾き方をする必要があります。

具体的にはメロディーを引き立たせるために、伴奏をどのような音質・音量で弾くべきかということですね。バランスが大切です。

基本的には、伴奏は和声を担当します。和声感は大切にし、メロディーがある場所では、基本的には極力出しゃばりすぎないことがポイントです。

バス(ベース)も大切な存在

メロディーの次に大切なのは、実はバス(ベース)です。低音部が響くと、音楽全体に深みが増します。逆に、バスをおろそかに考えると、薄っぺらい音楽になってしまいます。

ピアノはメロディーのような高音域も担当できるし、バスのような低音域も担当できる。それって、ものすごい可能性のある楽器だと思いませんか。

テクニックよりも大切なこと

ここまで説明したように、音楽のしくみを理解してメロディーを歌うことはとても大切です。これらを意識すると、あなたのピアノの指先のテクニックがこれまでと同じであっても、奏でるピアノの表情はガラッと変わります。

楽器を学習する上で大切なのは、いかに指をコントロールできるかということよりも、「自分で作り出す音楽」です。

自分の意思を持って豊かに表現をすれば、多少のミスなんて、聴いている人にとっては案外気にならないものです。正しい音よりも大切なことが、音楽にはたくさんあるからです。

まとめ:「ただ弾いているだけ」のピアノにならないために

ここまで、『ただ弾いているだけのピアノ』にならないための方法について紹介しました。

心を込めて弾いているつもりでも、言葉ほどに反映されないのがピアノの難しいところです。その気持ちが、音としてあらわれないといけません。

音楽のしくみを理解し、メロディーをどう歌うか、それに相応しい伴奏の弾き方も重要でした。

また呼吸も大切です。歌うように呼吸すれば、だんだんと歌うように弾けるようになっていきます。

生き生きと表情豊かに弾くためのヒントはまだまだあります。形にすることは難しいですが、ここで紹介した内容は、方法の一つとして試してみてくださいね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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作曲家の豆知識

リストも愛したエラールのピアノ

ピアノが誕生して300年以上。多くの楽器製作者の手により、長い歳月をかけて、ピアノは現代のピアノとなりました。

その中で、現代のグランドピアノにも採用されている機能を発明した、エラールという楽器製作者がいました。

この記事では、有名な作曲家たちが愛したピアノ、エラールのピアノについて紹介します。

ピアノの誕生

初めてピアノの製作が完成したのは1709年、イタリアの楽器製作者クリストフォリによってでした。それから数百年の歳月をかけて「アクション」が改良され、現代のピアノに近づいていきます。

「アクション」とは、簡単に言うと、打鍵してから音が鳴るしくみのこと。下の図はピアノの内部を横から見たものです。

①鍵盤を押すと連動されたハンマーが動き ②弦を下から叩き上げ ③音が鳴る、というメカニズムとなっています。

エラールによるアクションの改良

それまでのアクションは、鍵盤を押すとハンマーが上がって弦を打ち、鍵盤が一番下に降りた後に次の打鍵に備えるのが普通でした。つまり、速い奏法で演奏するには限界があったのです。

そんな中、19世紀初めから、長年の歳月をかけて、エラール(1752〜1831)が「ダブル・エスケープメント」と呼ばれる新しいアクションを考案します。

それは、イギリス式(突き上げ式)を改良したもので、打鍵した鍵盤が上がりきる前に、次の音が出せるしくみです。それによって、トリルや速い打鍵が可能になり、よりピアノ表現の多彩さを表現できるようになりました。

それは当時のピアノとしては、とても画期的なものでした。

リストの名曲はエラールのおかげ?

ピアニストであり作曲家のフランツ・リスト(1811〜1886)が、ある大きな演奏会でエラールのピアノを弾き、大成功を収めました。

エラールのピアノが、リストの速くて力強い演奏を見事に実現したのです。エラールのピアノでなければ、リストの技巧を駆使する名曲の数々は、おそらく生まれなかったでしょう。

リストは当時、大変な人気でしたが、彼の成功と共にエラールの名前もヨーロッパ中に広まり、世界有数のメーカーへとなりました。そうやってエラールのピアノはリストをはじめ、ヨーロッパで活躍していたピアニストたちに愛用されるようになったのです。

エラールによる現代アクションの確立

エラールの活躍により、世界のピアノのテクニックも飛躍的に拡大します。

徐々に他のピアノメーカーも、エラールが改良したアクションのしくみに移行するようになりました。尚、現在の一般的なグランドピアノのアクションは、この機能が受け継がれています

その後、エラールは経営難により、第二次世界大戦後にプレイエルと合併し、残念ながらエラール社の名前は消えてしまいました。

まとめ:リストも愛したエラールのピアノ

ここまで作曲家たちが愛したエラールのピアノについて説明しました。

ピアノが完成されて以降、さまざまな改良が重ねられてきました。中でも、エラールの改良した「ダブル・エスケープメント」というアクションは当時、とても画期的なものでした。リストの超絶技巧の名曲の数々も、エラールのアクションがなければ、生み出されなかったかもしれないのです。

現在でも、一般的なグランドピアノのアクションにエラールのアクション機能が採用されています。残念ながら、今ではエラール社の名前は消えてしまいましたが、作曲家や多くのピアニストにとって、大きな影響を与えたピアノでした。

ピアノは現在も改良が重ねられている楽器。これから先、一体どんなピアノが登場していくのでしょうか。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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作曲家の豆知識

ピアノの詩人ショパンの言葉〜音楽とは歌〜

多くの人々が時代を超えて、ショパンのピアノ曲に魅了されてきました。

そのメロディーの多くは、甘美で儚く美しい。彼がそのような魅力的なメロディーを作れた理由のひとつとして、音楽を「歌」だと捉えていたから、ということが関係しているようです。

この記事では、ショパンがいかに「歌」にこだわっていたかということを取り上げ、ショパンの音楽への真髄にほんの少し歩みよってみようと思います。

ショパンは「ピアノの詩人」

フレデリック・フランソワ・ショパン(1810〜1849)はポーランド出身の、前期ロマン派音楽を代表する作曲家でありピアニストです。意外にも、繊細な人柄で大勢の前での演奏などは苦手だったといいます。

作品の多くは、ピアノ独奏曲がほとんどでした。そのメロディーは美しいだけでなく、情景的、叙情的で「詩的」。そのため、彼を表すのに「ピアノの詩人」が代名詞となっていることは有名です。

ところで、ショパンの「ピアノ協奏曲」を聴いたことあるでしょうか?聴くたびに胸をキューっと掴まれるような切ない気持ちになり、「クラシックっていいなぁ」と心の底から思わせてくれるほど美しい曲です。

一般的に「ピアノ協奏曲」というは、ピアノとオーケストラ、それぞれの見せ所があるものです。

ところがショパンのピアノ協奏曲の場合、オーケストラにメロディーを譲ることはほとんどなく、完全に「ピアノが主役」という印象を受けます。それほどまでに、ショパンは音楽的なメッセージを、どの楽器よりも「ピアノ」を通して伝えたかったのでは?筆者は個人的にそう思います。

1番が特に有名ですが、2番もステキです。2番の2楽章はショパンが19才で、初恋の時に作曲したものだそうですよ。どちらもとってもおすすめなので、聴いたことない方はぜひ聴いてみてください。

ショパンの音楽の源は「歌」だった

ショパンは「音楽の源は歌」と考えていたといいます。彼の場合、たまたまそれを「ピアノ」という楽器を使って、指を使って表現しているだけだったということです。

ピアノを上手に弾くには、歌うことが大切、という考えの下、弟子たちを実際に歌のレッスンに通わせていました。ピアノは「(歌のような)レガート」が大切と感じており、それを表現させるためでした。

ピアノの楽器の特性

ショパンもこだわる「ピアノで歌うように弾く」ということ。それが、実はとても難しいことなのですが、その理由について説明します。

弦楽器は歌うように弾けるが・・・

バイオリンやチェロのような「弦楽器」は楽器の特性上、音量を減らさずに好きなだけ長く鳴らし続けることが可能です。それどころか、途中で音量を増やすことだってできます。

また人の声のように、曖昧な音を表現することも可能です。例えば「ド」と「♯ド」の中間のように、「音名では表せないような音」のことです。

一方ピアノは、鳴らした音は必ず減衰していく楽器。そして、音名で表せないような曖昧な音は表現できません。つまり、レガート奏法がとても難しく、人の声のような曖昧な音を表現することが難しい楽器なのです。

音をレガートにつなげたり、声楽のように自然な呼吸で「歌う」こと。音楽にとっては単純なことかもしれませんが、ピアノしか経験したことない人にとっては、ピアノでそれを表現することは実はとっても難しいことです。それは今の時代でも、多くのピアノ学習者にとって課題と言えます。

ピアノがそういう特性だからこそ、ショパンは歌のような表現へのこだわりがあったのでしょうね。

あるバイオリニストの音楽への考え

筆者が親しくしているあるバイオリニストは、幼い頃から英才教育を受けており、とても音楽的で情熱的な演奏をします。

そんな彼女がある時、言いました。

「私は演奏する時、楽器を弾くという感覚よりも、『どんな歌声でどんな風に歌いたいか』。そのイメージをバイオリンで表現している。」

これはまさにショパンの言う「音楽とは歌」という考えと同じ。筆者は、その彼女の言葉によって、初めてその考えに触れ、目からウロコでした。当時はそれでも尚、「弦楽器だからそれが出来るんだよね〜。ピアノでは無理だわ。」と思っており・・・。

それから随分後になり、ショパンも同じ考えだと知ったわけですが、この考えは音楽全てに共通して言えることだとあらためて感じるようになりました。楽器の垣根は関係ないということですね。勉強になります。

まとめ:ピアノの詩人ショパンの言葉〜音楽とは歌〜

ここまで、ショパンが人々の心を惹きつけるメロディーを作り上げた理由のひとつとして、いかに「歌」にこだわっていたかということについて説明しました。

ショパンの言うように「音楽とは歌」。楽器の特性上、ピアノでメロディーを歌のようにレガートで弾くことは難しいものです。彼はそれを知っていたからなおさら、指で歌うように弾くことの大切さを感じ、こだわっていたのでしょう。

それは筆者も含め、多くのピアノ学習者の永遠の課題のようなものです。

時代を超えて愛されるショパンの作品の数々。今後は、彼の音楽に対する想いを感じながら触れてみてはいかかでしょうか。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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ピアノ初心者向け

大人の趣味ピアノにハノンや練習曲は必要?

大人の皆さんが趣味でピアノをやる場合、楽しむことが前提なので、スパルタな練習なんておそらく必要ないかと思います。

とはいえ、テクニック的な練習をどこまでやるのが理想的なのでしょうか。

この記事では、大人の趣味のピアノ学習に「ハノン」や「練習曲」が必要かどうか、またそれを練習するとどんなメリットがあるのか、説明します。

楽曲の練習はほとんどが部分練習

憧れの曲は、人それぞれ違うと思いますが、どの楽曲を弾くにしても、好きな曲を弾きたいのであれば、時にはテクニックの練習が必要となることがあります。

楽曲の練習というのは、通し弾きをするのはかなり最後の仕上がりの段階です。練習時間の多くは、テクニックを磨くための部分練習となります。

そのために、普段からハノンや練習曲で練習することは、とても役に立ちます。そのような練習をしていれば、楽曲で同じようなテクニックが求められた場合に、練習が最小限で済むからです。

大人の趣味としてのピアノは、もちろん楽しむことが前提です。なのでテクニカルな練習をやることは必須ではないけれど、やってみると上達が早くなり、よりピアノが楽しくなること間違いなしです。決して損はしません。

指のテクニック練習「ハノン」

ピアノの定番の指練習の教本、「ハノンピアノ教本」。これには指を動きやすくするための、あらゆる訓練の方法が載っています。

全ての練習をする必要はありませんが、この練習を日頃からやっておくと、指が1本ずつ独立しやすくなったり、音のつぶが揃いやすくなったり、という沢山の効果が期待できます。

またこの本にある「スケール(音階)」や「アルペジオ」の練習も大切で、これをやると楽曲の譜読みが速くなります。楽曲の多くは、スケールやアルペジオの応用となっているパッセージが多いからです。

例えば、下の楽譜を見てみましょう。バッハの「メヌエット」(ト長調)です。スケールの一部分となっている音型があります。

①と②はト長調のスケールの一部。

③は、「ド」の音に臨時記号が付いてニ長調に転調してしています。ニ長調のスケールをハノンで練習していれば、この部分も比較的すぐに譜読みができるということになりますし、「転調している」という変化もすぐに読み取れ、譜読みがしやすくなります。

「ハノン」は子ども用や大人用もあります。自分のレベルに合ったハノンを、ぜひ毎回の練習の指ならしに活用されてはいかがでしょうか。

※譜読み・・・初めて楽譜を見てから、ある程度すらすらと弾けるようになるまでの作業行程のこと

練習曲の例

練習曲の定番のひとつに、「ツェルニー練習曲」があります。易しい順に、100番、30番、40番、50番・・・となっています。

ツェルニーの練習は「機械的で退屈」と思う学習者は多いようです。しかし、この練習曲を作ったツェルニーさんは、かの有名な「リスト」の先生だった人。リストが超絶技巧と呼ばれるような派手で素晴らしい演奏ができるようになったは、きっとツェルニー先生のおかげなのです。

「ツェルニー30番練習曲」の一部を紹介します。この曲は、メロディーの音を長めに弾きながら、同時に右手で伴奏の役割も担っています。

このように、右手でメロディーも伴奏パートも表現するようなテクニックは楽曲でもよく出てくる音型の一つ。この練習曲で訓練しておくと、いつか役に立ちます。

尚、50番くらいになると難易度はものすごく高くなり、メロディーラインも明確なので、かっこいい曲も多いですよ。

まとめ:大人の趣味ピアノに練習曲やハノンは必要?

ここまで、大人の趣味のピアノに「ハノン」や「練習曲」が必要かどうか、またそれを練習するとどんなメリットがあるのかということについて説明しました。

ハノンのピアノ教本や練習曲は、指が思い通りに動くためのテクニック的な練習をするものです。この練習を日頃から行うことにより、楽曲に出てくる難しいパッセージなどの練習を補うことができます。

大人の趣味としてのピアノは楽しむことが前提なので、テクニカルな練習をやることは必須ではないけれど、普段から行うことで上達が早くなります。ピアノの楽しさをより感じるためには、一見退屈そうなこれらの練習がものすごく役に立つ、だからオススメなのです。

あなたの音楽ライフが充実したものとなりますように。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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楽器の知識

ピアノの最適な環境とは?家庭でのお手入れ対策

ピアノは多くの部分が天然素材で出来ており、とてもデリケート。快適な環境でないと、負担がかかり、不調や故障の原因になってしまいます。

できるだけ長く付き合うために、この記事ではピアノにとって最適な環境について説明します。

ピアノはデリケート

ピアノの不調や故障の多くは、湿度が原因となることが多いです。

ピアノの外側は塗料でコーティングされているので、湿気を吸いにくくなっていますが、内部のほとんどは、木、フェルト、金属でできており、湿度にはとても敏感です。

長時間、湿気の高い環境に置かれると、木とフェルトは湿気を吸って膨み、鍵盤が重くなったり戻りが悪くなったりします。カビが発生する場合もあります。金属部分(弦やフレーム)は、さびることもあります。

ピアノの快適な状態というのは、人と同じと思ってください。暑すぎたり、寒すぎたりするのは不快に感じますし、湿度が高すぎたり、乾燥しすぎることもよくありません。

ピアノにとっての快適な環境

日本の気候は高温多湿なのが特徴。その上、住宅の高気密・高断熱化が進んでいるため、湿気が室内にこもりやすくなっています。

どのような環境がピアノにふさわしいのか、具体的に説明します。

湿度は40〜70%を目安に

日本の気候は夏は湿度が高く、冬は乾燥します。ピアノにとって理想は、夏だと20〜30℃、湿度は40〜70%、冬では10〜20℃、湿度は30〜65%が理想です。

ピアノの部屋には、湿度温度計を用意して、常に部屋の環境を確かめるようにしましょう。

また、最適な湿度を保つためには、風通しのいい環境を作ることも大切。アップライトの場合、壁から10〜15センチほど離して置くようにしましょう。

直射日光・エアコンの直接的な風は避ける

ピアノは、急な温度変化もNGです。温度や湿度が急に変化すると、ピアノ内部や壁に結露が発生し、さびや故障の原因になるからです。エアコンの水滴が落ちる可能性のある真下や、風が直接ピアノに当たる場所は避けましょう。

また、直射日光で過度に乾燥することで、外装表面のひび割れや音程が狂う原因となります。

そのため、窓際や外壁に面した場所は避けたほうが安心。直射日光が当たる場所に置く場合は、厚手のカーテンをして、できる限り遮光しましょう。

家庭でのピアノのお手入れ&対策

家庭でもできる、ピアノの適切なお手入れと対策方法を紹介します。

天気の良い日にピアノを干す

湿気により鍵盤が重くなったり、音がこもったりするようになります。その対策として、天気の良い日には鍵盤の蓋や屋根を開けて、約2〜4時間くらい風を通すと効果的です。

逆に、湿気が多い雨の日や夜間は窓を閉めて、ピアノの蓋も閉めることが大切です。日頃から練習後は、きちんと蓋をして、片付けるようにしましょう。

長雨が続いたらドライモードにする

湿度が80%を超えた状態が続くと、カビが発生しやすくなります。また雨の日は洗濯物を室内干しにすることもあり、家の中は想像以上に湿気だらけ。

そういう時は、室内を換気したり、エアコンのドライモードや除湿機を使いましょう。ただし、ピアノは急激な変化に弱いので、温度や湿度の設定を極端に変えすぎないよう、注意してください。

湿気対策や虫害予防のお助けグッズを使う

ピアノの湿度対策には、ピアノ専用の乾燥剤を、虫害予防にはピアノ専用の防虫剤を使うのが安全です。

ピアノ内部に入れっぱなしになったり、入れ方によっては雑音が出たりすることもあるので、調律師さんに相談しながら使用することをお勧めします。

まとめ:ピアノの最適な環境とは

ここまで、ピアノにおける最適な環境について説明しました。ピアノの部品の多くは天然素材でできているため、とてもデリケート。人間と同じように、過酷な環境には弱いものです。

ピアノは大切に扱うことで、何十年と付き合っていける楽器です。今の部屋の環境がピアノにとっていい状態かどうか、まずは湿度温度計を手に入れて、チェックしてみましょう。

そしてこれからも末長く、ピアノライフを楽しんでください。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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英語のお勉強

ピアノ学習からヒントを得た英語学習法〜暗唱編

このブログはピアノ学習者のための記事中心ですが、筆者は英語学習にも興味があります。

子ども時代から英語を喋りたいという願望がありましたが、英語を真剣に勉強する必要性がなく、気がつけば40才になっていました。それまでだらだらと続けていた英語学習。毎日聴いていたNHK「ラジオ英会話」は、テキストなしでもだいたいは聴きとれていたので、それでよしとしていました。

しかし、そんな状況を続けても、会話ができるようにはなりませんし、英語力は上がりません。「憧れの英語を話せないまま人生が終わるのは嫌!」と強く感じ、約2年前から心を入れ替え、テキストのダイアログを暗唱することにしました。

この記事では、この2年間、英文の暗唱を続けて感じたこと、ようやく気がついた効率的な英文の覚え方について、ピアノ学習との共通点より紹介します。

忙しい人でも、時短で毎日確実に英文を覚えられる方法です。

英語の暗唱を2年以上続けてみた

いつか英語を喋れるようになりたい、という想いで英語の暗唱を始めました。2年以上続けて、気がついたことを紹介します。

NHK「ラジオ英会話」のダイアログ暗唱

NHKのラジオ英会話は平日5日間、15分ずつの放送があります。講師の大西先生はいつも口をすっぱくして「喋れるようになりたいなら、ダイアログの暗唱が何よりも近道です」と仰います。それもあり、ここ2年間毎日、テキストのダイアログ(英文)を毎日覚えるようにしました。

筆者が英語に費やせる時間は1日約30分。暗唱を始めた当初は、どんなに集中しても、30分だけではテキストの内容を中途半端にしか覚えられずに、すぐに次の日がやってくるという現実でした。

それでも、英文を暗唱を続けるようになってからは、それまで全く聴きとれなかったリスニングの教材の内容が理解できるようになるという変化を感じるようになりました。

それまでやっていた「シャドーイング」も、リスニングの練習としては1番効果を感じた練習方法でしたが、会話することを目指すには、シャドーイングだけでは十分ではなかったようです。

英文を暗唱しても中途半端では役に立たない

英文の暗唱は英語上達に効果的。続けるほどに、ものすごくそう感じるようになりました。

しかし、せっかく覚えようとしても、英文が口から「すぐに」「すらすら」レベルで出てこなければ、会話では役に立ちません。筆者の勉強は、実際には、練習時間が足りておらず、スラスラと暗唱するには不十分でした。

1日当たりの目標としては、「ラジオ英会話」の1日分の放送の英文全てを覚えることでしたが、いつも中途半端。練習に費やせる時間をそれ以上増やせないとなると、覚える量を減らそうか、とも考えました。

それでも、その日の放送内容の全ての英語は把握はしたい。せっかくの充実したテキストを網羅できないのは心残りになる。どうすればいいのかと迷いながらも、暗唱を続けていました。

ピアノ学習と英語学習の共通点

以前より、ピアノ学習と語学学習には共通点がある、と感じていました。

ピアノにおいて、新しい曲を始める時。中途半端に1ページ弾けるより、短くてもいいから「確実に弾く」レベルにすることが大切です。最初はゆっくりでもいいのです。ただし、止まらないこと。そうでないと、自分のものになりませんし、先生から指導すらしてもらえません。

筆者も以前、ついやってしまっていたことですが、早く譜読みを終わらせたくて、中途半端な状態のまま、次を進めてしまう。そのように、最初から最後までざぁ〜っと弾くという練習方法は、きちんと曲を仕上げるということにおいては、効率が悪いのです。

確実に弾ける箇所を増やしていく。両手で難しければ、片手ずつ、ゆっくり練習する。それがピアノ学習には、近道です。

効率的な英文暗唱のコツ

前項の「ピアノ学習と英語学習の共通点」をヒントに、「英文を覚える効率性」を見直し、数カ月間試してみました。

その成果もあり、ラジオ英会話の1日の放送分を短時間で覚えられるようになってきました。そのコツについて説明します。

1文における暗唱回数は「スラスラ」までを目安に

覚えたい英文は、1文につき続けて10回以上読むことが効率的です。そしてテキストを見ずに最低10回くり返すこと。それでも自信なければ、さらに10回、20回と続けます。

とにかく、ある程度すらすら言えるようになるまで、くり返すこと。そうなるまでは、次に進みたい気持ちを抑えて、1文を何度も音読・暗唱をするのです。1文なので、わずか1分でも、何十回と練習できます。

つまり、トータルで同じ回数練習するにしても、1文を連続で何十回と練習することがコツなのです。

1文につき、練習する量が中途半端なまま次に進んでしまえば、せっかく覚えかけたのに、スラスラ言えないまま終わってしまい、それまでの練習が無駄になってしまいます。

1文が難しければ、もっと短い範囲でOK

もし1文の中に、自分の苦手な表現や単語があれば、そこを重点的に、短い範囲で何度もくり返します。

また、1文を覚えることが難しければ、最初の2単語、くらいから始めてもいいでしょう。例えば、次のような文章があります。

I’m not having such disruptive behavior in my class.

1度に覚えるのが難しければ、次のように3つくらいに区切って、最初のまとまりだけでも言えるようにします。

①I’m not having /②such disruptive behavior /③in my class.

例えば、①が暗唱できるようになったら、②も続けて暗唱します。そこでもし、②が難しいと感じたら、②だけを何度も音読・暗唱し、すらすら暗唱できるようにするのです。disruptiveという単語が難しければすっ飛ばすのではなく、それだけを20回くらいくり返した後に②を練習する。時にはそういう手順も必要となります。

それから①と②を続けて暗唱し、それができたら③までを続けて暗唱します。

ちょっとしたことですが、その練習する順番の工夫が、時短につながります。文章にするとややこしいかもしれませんが、とってもシンプルな考えです。

1度に覚える英文の数については欲張らない

何度もお伝えしているように、1文における反復練習を増やすことが短時間に覚えられるコツです。なので、逆に1度に覚える文の数は、欲張らないようにしましょう。

筆者は最近、風呂上がりにドライヤーをしながら、新しい英文を暗唱します。以前は、その10分でダイアログ全部と練習問題の文章も覚えようと頑張っていました。そうなると結局、中途半端になってしまい、1つもスラスラ言えないままになっていました。

今ではダイアログの半分でOKというつもりで、1文につき連続で数十回と暗唱するようにしています。そうすると、まずはダイアログの最初だけはテキストなしで、つぶやけるようになります。それを食事の後片付けやトイレ、寝る時の短い間など、とにかく日常生活で、思いつくたびにつぶやくようにします。

そして残りの半分も同じようにやる。そうすることで、自分の言葉でスラスラ言える英文が増えていくのです。

もちろん、すぐ忘れてしまうので、復習も必要です。しかし、1度覚えれば、復習の時間は短時間ですみます。時間を空けての復習は、脳への定着にさらに効果的です。

まとめ:ピアノ学習からヒントを得た英語学習法〜暗唱編

ここまで、英文の暗唱を2年以上続けて気がついた、「効率的な英文の覚え方」について、ピアノ学習との共通点より紹介しました。

英語の暗唱をすると、リスニングの力が身につきます。会話をする時にもそのまま使えるので、きっと役に立ちます。

ただし、英語の勉強に時間がかけられない人も多いはず。筆者もそのうちの1人。どうにか限られた時間内でより確実に英文を覚えられないか、その想いで2年以上暗唱を続けてきました。

そこで気がついた方法は、1度に覚える文の数を欲張らず、1文における反復練習をより多く増やすことでした。トータル的に同じ回数練習するにしても、1文を連続で何十回と練習することが断然効率的なのです。それが結果的に短時間に覚えられるコツです。

筆者なりの英語時短術、いかがでしたか?少しでも忙しい皆さんにとって、英語学習のお役に立てれば幸いです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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ピアノの知識

ピアノにネイルはNG?

ピアノを弾く時、指のフォームは大切です。そのため、爪が長いと支障が出ます。

では爪を短くさえしていれば、ネイルやマニキュアをしても問題ないのでしょうか?

この記事では、ピアノにおけるネイルやマニキュアへの考え方について説明します。

ピアノを弾くときの指先は大切

ピアノは指10本、全て使いますから、当然、指先が大切です。指のフォームを気にかけることはピアノを弾く時の基本であり、爪が伸びていてはいい演奏が出来ません。

そこで、ネイルやマニキュアがピアノに与える影響について説明します。

ネイルは爪が伸びてしまう

ネイルはをすると、手先が女性らしく、とてもすてきです。

しかし、ネイルをして、次に通うのは、おそらく3週間〜1か月後です。そうなると、最初に短くしていても、いずれはピアノの鍵盤がカチカチ鳴るほどに爪が伸びて、ピアノを弾くことに支障が出てしまいます。

マニキュアは指先の感覚が変わる

マニキュアをすると、鍵盤を抑えた時の感覚は、何もしない時に比べて、鈍く感じます。なので、爪が短ければマニキュアをしてもOKだろう、ということではありません。

弾く本人が気にならなければいいのでは?と思うかもしれませんが、ピアノは指が思い通りに動けばいいというものでもありません。細やかな音色や表情を表現しようとすることが音楽なのです。

マニキュアをしない方が指先が敏感なので、指もコントロールしやすいですし、繊細さも表現できます。ピアノの上達を目指すなら、残念ながらマニキュアはお勧めできません。

ピアノを弾く時のマナーのひとつ

ネイルもマニキュアも、ピアノを弾くことに向いていない理由について、前項で説明しました。そしてなおかつ、それはピアノを弾く上で、暗黙のルールとなっているのです。それについて説明します。

ネイルやマニキュアをしないことはピアノのマナー

どんなに美意識の高い人あっても、ピアニスト、ピアノ講師、ピアノの勉強をする人は、指先には何も施さない、それが暗黙のルールのようなものです。

学習者の立場として、レッスンの時に爪に何かついていることは、教わっている先生に対して失礼という考えがあります。しかも、先生側からはそういった内容を言及しない場合もあるので、なおさら気にかけるべきことかもしれません。

コンサートのステージに立つような、人前に出るような人ですら、爪には何も塗ってはいないはずです。一般的には、女性は爪のおしゃれをしていないと美意識が低いという印象があるかもれませんが、音楽の世界では、爪のおしゃれは特に必要なしなのです。

ただし、クラシック以外の、もっとカジュアルなコンサートであれば、パフォーマンス的に爪にマニキュアを塗る人もいるようです。場合によっては、このように例外もあるかもしれませんね。

大人の趣味は?

大人になって始めた人にとっては、ピアノは楽しみのひとつでしょう。それと同じくらい、ネイルも楽しみのひとつという人もいますよね。

「大人のための音楽教室」の場合、先生の理解もあり、「爪が長くさえなければOK」という教室もあるかもしれません。

個人のピアノ教室であっても、ピアノを習いながらネイルやマニキュアをしたいと思う人は、入会前にその点を確認しておくと、習い始めてからストレスなくピアノが続けられると思います。

資格試験のためのピアノ学習の場合は?

小学校教諭、幼稚園教諭、保育士など、資格試験のために大学や短大でピアノのレッスンを受ける人はどうでしょうか。

大学・短大は高校よりも校則は自由だと思います。しかし、ピアノの授業を、将来の進路として受ける必要があるのであれば、できればネイルやマニキュアはしない方が望ましいでしょう。

先生から指導される程のことではないかもしれませんが、やはりそれはピアノを学ぶ立場のマナーだからです。

時には子どもも・・・

子どもであっても、ネイルやマニキュアに興味を持つ子もいます。学校では基本、マニキュアは禁止でしょう。それと同じように、ピアノのレッスンでもマニキュアは基本NGです。

筆者が過去に教えた生徒で、夏休みなど、学校が休みの期間にマニキュアを塗ってみたい、という子が数人いました。そういう時は「(夏休みだから)今だけ特別ね。本来はピアノをやる時は、爪には何も塗らないもの。覚えておいてね。」と、ピアノを弾くことに対しての暗黙のルールを理解をしてもらうようにし、許可をすることもありました。

まとめ:ピアノにネイルはNG?

ピアノにおけるネイルやマニキュアへの考え方について説明しました。

ピアノを学ぶ際、指のフォームは大切なので、爪は伸びていないことが学ぶ側のマナーです。 爪が伸びてさえいなければ、ネイルやマニキュアをしてもいいのかというと、それもピアノを教わる立場としては、爪には何も施さないことが暗黙のルールです。

ただし、ピアノを趣味として習う大人については、同じとストレスなくピアノが続けられるはずです。

どの分野でも、基本やマナーがあります。ピアノを学ぶ人は、できれば爪へのおしゃれは控えることがおすすめです。ただし、大人であれば、常識内でやれることもありますので、ピアノを習いながらも爪のおしゃれを楽しみたい人は、先生に相談することもひとつの方法かもしれません。

あなたのピアノライフが楽しいものとなりますように。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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楽器の知識

ピアノの調律は何のため?

ピアノはとてもデリケートな楽器です。気持ちよく練習するために、また長く使い続けるためには、定期的な管理が必要となります。

そのひとつが「調律」。ひと言で言えば、ピアノのチューニングであり、健康チェックのようなものです。

この記事は、調律をする必要性について説明します。

ピアノの調律とは?

グランドピアノやアップライトピアノ、つまりアコースティックのピアノ(生ピアノ)には調律が必要です。その理由を説明します。

ピアノの調律は健康チェックとチューニング

ピアノは木、フェルト、金属などからできています。日々の演奏や温度・湿度などの気候の影響で、それらの状態が変化します。そのため、ピアノ全体の調子を整えるための作業が定期的に必要です。

温度・湿度などの変化で、ピアノの弦が伸縮するため、音程も狂ってきます。そのため、鍵盤ごとの音のピッチ(高低)を正す音作業が必要となります。

尚、音は空気の振動です。空気が、1秒間に何回振動するかをHz(ヘルツ)という単位で表します。中音部の「ラ」は440〜442Hz(ヘルツ)が一般的。この数値が大きいと音は高く、小さいと低い音となります。

ピアノは自分でチューニングできないの?

弦楽器や管楽器は演奏の度に、奏者がそれぞれチューニングします。オーケストラの演奏で、曲が始まる前にステージで、1人のバイオリニスト(コンサートマスター)を基準に、音を合わせている光景を見たことがある人もいるでしょう。

ほとんどの楽器は、普段からその場で奏者がチューニングし、音程を調整します。

一方、ピアノは自分ではチューニングできません。そもそも、弦の数が弦楽器とは比べものになりません。バイオリンは弦が4本ですが、ピアノはなんと、鍵盤の数より多い約220本も!

ピアノのチューニングは、専門的な勉強と訓練を積んだ調律師でないとできないことなのです。

調律しないとどうなる?

調律にはお金もかかりますし、定期的な調律をついつい見逃すことも。

しかし、調律をせずに放置をすると、ピアノに良くありません。音程の狂いだけでなく、部品の不具合が起こることもあります。放置すれば、さらに他の部品にまで影響が出てしまいます。

そのため、定期的な調律が必要なのです。

調律中はずっと付き添いが必要?

 

一般家庭では、調律は年に1度が平均ですが、楽器の年数、前回の調律からの年数、部屋の温度・湿度管理、などによっても異なることもあります。

調律時間はピアノの状態にもよりますが、平均約2時間ほど。付き添いは最初と最後だけでOKです。

ピアノの状態で気になることや希望があれば、必ず最初に伝えましょう。仕上がりの弾き心地は、持ち主であるあなた自身でチェックしましょう。

終了時、調律師さんの時間が許すようでしたら、お茶を出して差し上げると丁寧です(お茶をピアノの上に置くことは絶対に避けましょう)。

調律後の試し弾き、何をチェックすればいい?

調律が完成した時、「(ピアノを)チェックしてください」と言われることがあります。

この時は、ピッチ、タッチ、音色など弾き心地に違和感がないかを、楽器の持ち主がチェックするわけです。正直、何をどうチェックしたらいいの?と戸惑うかもしれません。

確認として、両手オクターブで下から半音ずつ弾いていくという方法があります。ユニゾンで弾くと、ピッチのずれは一目瞭然で確認しやすいです。それで違和感なければ、おおよそ問題なしだと思います。

タッチや音色にこだわる人は、自分のレパートリーを弾いて試すのもいいでしょう。ただし、楽曲を弾くことは、全ての鍵盤を使うわけではないので、ピッチの違和感に関してチェックすることは難しいかもしれません。やはり「両手オクターブ」で、チェックすることをお勧めします。

※ユニゾン・・・複数人でひとつの旋律を歌うこと。楽器演奏では、複数の楽器で同じ音との旋律を演奏することを言う。ピアノでは、同じ音を異なるオクターブで同時に弾くこと。

まとめ:ピアノの調律は何のため?

ここまで、ピアノの調律をする必要性についてお伝えしました。調律とは、ひと言でいえば、ピアノのチューニングでもあり、健康チェックのようなものです。

日々の温度・湿度などの変化や演奏などにより、ピアノは少しずつ音程が狂ってきますし、楽器の中の状態も変化していきます。

音程や修理が必要なところを放置しておくと、不具合が起こることもあり、定期的な調律が必要となります。一般家庭では平均で年に1度がお勧めです。

本来ピアノは、長く演奏できる楽器です。専門家によるお手入れを定期的にして、より寿命を長くしてあげてください。

あなたのピアノライフが充実したものになりますように。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。