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子どもがピアノを自主的に練習する方法

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生活の中に欠かせない音楽。音楽を学ぶことは、想像力や感性が豊かになり、情操教育にも良いと言われています。特にピアノはそのステキな音色により、一生の趣味にする人が多いほど、大人にも人気の楽器です。そして技術面の上達だけでなく、子どもの将来に役立つ力を伸ばすことができるとも言われます。

そういう中で、せっかく子どもにピアノを習わせているのに、なぜ自分から練習しないのか、と悩んだり、イライラしてしまったりする親御さんは多いと思います。毎月の月謝も安くはありませんし、楽しく練習に取りくんでくれたらどんなによいでしょうか。

ここではなぜ、子どもがピアノを練習しないのか、その原因と解決方法についてお伝えします。

もくじ

子どもの習い事に人気のピアノ

昔から定番の習い事であるピアノは、今でも人気の習い事のようです。以前は女の子の習い事のイメージが強かったですが、最近はインターネットの動画で一般の男性が楽しそうに弾いている姿もよく見かけます。そういう動画を見ると、以前よりピアノが身近に感じられ、ピアノを弾く層が広がったようにも感じます。

ここではピアノが人気と言われる理由を紹介します。

ピアノを習うメリット

楽器の演奏には、指を正確に動かしたり、音を聞きとったり、楽譜を読んだりなどの作業が求められます。

中でもピアノは、曲のメロディーや和声、リズムなど、多くの情報を覚えるので活発に脳を使います。また右手と左手を同時に使うため、右脳と左脳両方を活性化させるそうです。両手の動きを暗譜をすることで記憶する力も身につきます。

ピアノが弾けると、役に立つことは他にもあります。いずれ声楽や他の楽器を始めたいと思った時でも、楽器未経験者と比べて、断然スムーズに始められます。

学校の合唱コンクールで伴奏したり、ストリートピアノで弾いたり、バンドで弾いたり、などの体験もできるようになります。また将来、保育士や学校の先生を目指すことになった場合にも、ピアノの経験があるととても有利で、様々な場面で可能性が広がります。

ピアノは好き?嫌い?

ピアノが人気の習い事とは言っても、親が習わせたくて始めた場合。習っている本人はどう感じているのでしょうか?

自分から習いたい、と言いだしたわけでなくとも、教室に通うことを嫌がらない場合は、ピアノそのものは嫌いではないと思われます。また普段の生活で、流れている曲を口ずさんだりすることがあれば、音楽好きの要素が充分備わっていると考えられます。それでもなお、ピアノをなかなか練習しないという子は多いものです。

少なくとも言えることは「ピアノや音楽が好き」ということと「ピアノの練習が好き」ということは必ずしも同じではない、ということです。

子どもがピアノを練習しない理由

子どものタイプによって、やる気がでる方法は様々です。ここでは、ピアノを練習しない原因と対処法を紹介します。

強制される練習が嫌い

本来、音楽は心を豊かにするものです。しかし親から「練習しなさい」と言われることで「やらされている」感覚になってしまいます。また、ついつい「〇〇ちゃんはよく練習するのに」など比べてしまいそうになりますが、他の子と比べることは効果はありません。子どもによっては、それらの言葉がかえって練習する気を失せてしまう原因になるため、避けた方がよいでしょう。

読譜力がないため、弾けるまでに時間がかかる。

新しい曲にとりかかる時は、譜読みをしなければなりません。「譜読み」というのは初めて弾く楽譜をみて、正確なリズム・音符である程度、一通り通して弾けるようになることです。ピアノを弾きたい願望が心の中にあったとしても、読譜力がないうちは譜読みに時間がかかり、楽譜に書かれてあることが正しく弾けるまで時間がかかります。

レッスンでは教えてもらっている内容とはいえ、スラスラと弾けるまでは時間がかかりますし、楽しいと感じる前に嫌気がさしてしまいます。

ただし、読譜力がない段階でも、正しく練習すれば、毎日確実に上達を実感できます。その練習方法を身につけると、毎日の練習の取りくみが楽に感じられます。

まずはその日の練習目標として、せまい範囲を練習し、なおかつハードルを低めに設定するようにしましょう。例えば、「右手で/1段目だけ/ゆっくりと」という感じです。練習に慣れていない子ほど、速く弾こうとします。そうなると出来ない壁にぶち当たり、やる気を無くしてしまいます。ゆっくりと、片手ずつ練習すること、このように欲張らないことがポイントです。

大切なことは毎日1歩でも進むこと、前進をゼロにしないことです。続ければ、1週間、1か月、半年、1年…と成果を実感できるようになります。気がつけば読譜力も身について、自然とピアノが楽しめるようになります。

ピアノの練習が習慣化していない

幼稚園・学校のように、時間割があり、集団としての決まりごとがあれば、子どもは決められた行動するをとることができます。一方、家での時間では基本的に制限がないので、自分のやりたいことだけをして過ごすことになります。

ただし子どもは適応力があるため、ピアノの練習も、一度習慣化してしまえば、わざわざ親が口出ししなくても、練習に取りくむことができます。無理なく、楽に取りくめる方法を、いくつか試してみましょう。理想は「少ない時間でも、毎日弾くこと」です。

もちろん、練習時間は長ければ長いほど上達が早く見込めます。しかし、最初のうちは、5分、10分など、短い時間から始めましょう。目標を確実に達成することで、達成感を味わえます。短く設定し、あっという間に時間が過ぎれば、練習に物足りなさを感じて、もっと練習してみようかという気持ちになれば、しめたものです。

少ない時間でも毎日続ければ、上手になったことを実感して、大きな自信につながっていきます。

習慣の中にピアノの練習時間を取り入れる例

・練習時間を決める (例)17時から30分間。など

・毎日の習慣の前後に組みこむ (例)おやつの前、またはご飯の前の30分間。起きたら30分間。など

習い事が多い、という人は学校に行く前の時間に練習することもひとつの方法です。

私の知人の息子さんは、夕方はサッカーの練習が毎日あるので、ピアノの練習は毎朝起きたら10回練習、それが毎日の習慣だったそうです。時間としてはだいたい30分間、それが習慣づいていて、親の口だしはほとんどしなかったとのこと。中学生になった時には、運動部に所属しながら、学校での合唱コンクールの伴奏は、毎回引き受けていたそうです。

本来は通し弾きだけの練習は、効率が悪くなることもあるので、先ほど述べたように、「せまい範囲で」の部分練習も取り入れる方が効果的です。しかし、習慣化においては、本人が毎日の練習で迷わず、すぐにとり取りくめること、それがコツだと言えます。

練習の手順が分かっていない

中には「何から、どう練習すればよいのか」それが分からないためにピアノに向かわない子もいます。レッスン時に先生から、注意点など、教わっているはずなのですが…。いざ1人で練習を進めるとなると、何から手をつけて良いのか分からないのかもしれません。1人で練習ができるまでは、親が一緒に練習手順などをフォローしてあげるとよいでしょう。それをやってあげることで、そのうち1人でもピアノに向かえるようになります。

練習手順の例

①前回のレッスン内容の復習をする。習った範囲・内容・演奏ポイントなどを、子どもに言わせ、本人にあらためて認識させる。

②次のレッスン日までの課題の範囲・内容を本人に言わせながら、認識させる。

③そのために、どういう手順で練習すれば仕上げられるのか、本人と一緒に考え、1週間の練習計画をざっくりと立てる(口頭での確認でもよい)。

大切なことは、練習する意識づけをしてあげることです。短時間で構いませんので、この作業はレッスン日の翌日に、一緒に行いましょう。親も「子どもと同じ目線で、ピアノの練習計画を一緒に楽しむ」ことが必要です。決して、強制的にならないようにしましょう。

このように、締め切りまでに何かを計画的に仕上げていくことは、その後の人生で様々な経験に対しても役に立ちます。ピアノの練習を1人でやることは、技術的な向上以外に、将来1人で物事を進め、目標達成するための訓練にもなるのです。

課題が少ない

次のレッスンまで、課題をほとんど出さない先生もいます。「宿題は、できるところまでやってきてね」という感じです。生徒の自主性に任せる、ということでしょうか。

好奇心旺盛な子どもにとっては、それこそがピアノを練習しない理由だったりもします。ピアノが好きなのにも関わらず、宿題の範囲をはっきり指示しない、出されたとしてもわずかな量である、などの理由で練習の意欲がわかないのです。

そういう場合は、先生へ連絡し、課題や譜読みの範囲を毎回、明確に提示してもらえないか、相談してみましょう。また、その子のレベルより少し高めの曲を長いスパンでチャレンジすることもやる気につながります。好奇心をくすぐるような目標を作る、ということです。それも併せて、相談してみることをおすすめします。

上手になりたい、と思わせるような理由がない・お手本がいない

クラスやピアノ教室に、同じようにピアノを頑張っているような子がいる場合、何となくでも負けたくない気持ちがあり、自然とピアノに向かえるかもしれません。またいつか弾いてみたいと思うような憧れの曲があれば、それも練習のやる気を引き出してくれます。

そういう存在がいない、曲がない、という場合どうすればよいでしょうか。

発表会がある場合は、ぜひ参加しましょう。参加することにより、目標が明確になりますし、参加した他の生徒を見て、「あの子のように上手になりたい」「次はあの曲を弾いてみたい」と刺激を受けることができます。

向上心の強い子は、コンクールへの参加を検討することもおすすめです。コンクールにもレベルが色々ありますので、最初のうちは敷居の低めのものからだと受けやすいと思います。ステージに立つという経験をすると、これまで見せたことのない実力を発揮する子もいますし、多くの子どもは大きな成長を遂げるものです。

ピアノ教室・先生との相性が合わない

ピアノという楽器が嫌いでなくても、ピアノ教室の方針や先生との相性が合わないことが理由で、練習にやる気が起きない子もいます。先生が好きであれば、自分の頑張りを認めて欲しいという気持ちが自然と生まれ、先生に言われた通りに練習できるものです。

これまでにあげた「練習しない理由」にどれにも当てはまらない場合、ピアノを続けたい気持ちがあるのか、別の教室に変えてみるのはどうか、など本人の気持ちを知るための話し合いをしてみてはいかがでしょうか。

自主的にピアノを練習するようになるまで

ここでは、自主的に練習するようになるまで、普段からできることをお伝えします。

練習が楽しくなるしくみを作る

毎日練習が終わるごとにかわいいシールを貼る、カレンダーに印をつける、など日々の取りくみを記録してみましょう。自分が頑張ってきた積み重ねが目に見えて分かるので、達成感が味わえます。そしてその努力を、しっかりと褒めてあげましょう。

生活の中に音楽を

普段から、沢山のジャンルの音楽を子どもたちの耳に触れさせるようにしましょう。特にクラシックはオーケストラの楽器の演奏も聴けます。様々な楽器の音色を聴くことは、ピアノ演奏で表現する際にもとても役に立ちます。そしてピアノ曲を沢山聴いておくことも、子どもたちが「いつかこんな曲弾いてみたい」と思うきっかけにつながります。

これまでクラシック音楽に興味がなかった親御さんも、これを機会にクラシックを聴いてみはいかがでしょうか。クラシックは敷居の高いものと思われがちですが、決してそうではありません。作曲された当初は今でいうポップスのように、気軽に聴ける、身近な曲だったのです。しかも本当に質の良いものだけが今の時代まで残っているのですから、聴いてみる価値は充分あります。よりよい音楽を聴くことで、知らなかった世界が広がりますよ。

家族全体で音楽に触れる環境を作ることは、子どもたちが自然にピアノを弾きたくなる理想の環境と言えます。

見守る

親に対して素直になれない子どもいます。「簡単に言う親の通りにはならないぞ」という軽い反発の態度のような状態でしょうか。

実は筆者自身がそういう子どもだったので、そのように素直になれない気持ちになってしまう状況は理解できます。そういう子どもに対しては、言い方を変えたら解決するということではありません。私の場合は、先生を変えたことがきっかけで、自然と練習するようになりました。

ただ、先生やピアノ教室を変えることはそう気軽にできることではありません。私の場合は、たまたま先生が変わったことがきっかけだったわけですが、他の子どもにとってはもっと違う方法があるかもしれないのです。

結局は、その子にとって、自然と練習に取りくめる方法が見つかるまで、色んなアプローチを試し続けるしかないのかな、と思います。それまでは、ピアノを続けるとこんなステキなことがあるよ、色々な可能性を広げられるよ、とピアノを続けた先の未来を想像させてあげながら、長い目で見守ってあげましょう。

そしてピアノを上達させたい、といつかその子のタイミングで行動するようになった時に、全力でサポートしてあげてください。

まとめ:子どもがピアノを自主的に練習する方法

ここまで、子どもがピアノを練習しない理由と解決方法をお伝えしました。まとめると次のようになります。

・強制的に練習させることはNG

・読譜力がないうちは、ハードルを下げた練習をする

・ピアノの練習を、毎日の習慣にする

・好奇心をくすぐるような目標を作る

・生活の中に音楽を取り入れる

・最適な方法が見つかるまでは、見守る

音楽は生活に欠かせないものです。好きな曲が何でも弾けるようになると、素晴らしい世界が広がります。年を重ねるとそれが分かってくるので、大人になってからピアノを始めたい、と思う人が多いのかもしれません。

それを子どものうちに習得できることはとても価値のあることです。その素晴らしさを子どものうちに知って欲しい、私はそう思います。そして親御さんの想いがお子さんにちゃんと伝わるよう、心から応援しています。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

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