「カデンツ」とは、音楽における終止形の和音進行のことです。英語における「文法」と同じように、音楽の和音進行にも「型」のような決まりがあります。これが弾けるようになると、ピアノを弾くことがとっても楽になりますし、上達も早くなります。
実践的な練習としては、「ハノンピアノ教本」の「スケール(音階)の練習」の、全ての調のそれぞれ最後にあります。
スケールの練習をやっている人でも、最初は「カデンツ」を弾くのは難しいと感じるものです。そこで、カデンツにおける決まりを頭で理解することで、カデンツをもっと身近に感じてみましょう。
この記事では、カデンツについて、その意味と役割などについて説明します。
もくじ
「カデンツ」とは
カデンツとは、音楽における終止形の和音進行のことです。
前述のように「ハノンピアノ教本」の「スケール(音階)の練習」の中で、全ての調のそれぞれ最後にあります。
スケールの練習もカデンツの練習も、ピアノ学習者にとってはとても大切な練習です。
しかし、カデンツを全ての調でスラスラ弾けるまで、スケールより時間がかかる人が多いものです。それはカデンツが和音の連続だからだと思われます。
カデンツを手の感覚だけでなく、頭でも理解することで、上達への近道にしてしまいましょう。
和音上の音階
和音の構成音について、説明します。
下の譜面はハ長調の音階上の和音です。英語ではこれらの和音のことを「ダイアトニックコード」と呼びます。
音階上の三和音は、全部で7つの和音があり、ローマ数字で上記のように「Ⅰ」「Ⅱ」「Ⅲ」「Ⅳ」「Ⅴ」「Ⅵ」「Ⅶ」と表されます。この表し方を「和声記号」と言います。
この和音の中で、特に大切な和音が、赤印が付いている「Ⅰ度(イチド)」「Ⅳ度(ヨド)」「Ⅴ度(ゴド)」の3つの和音です。
主要三和音
音階上の和音の中で、特に大切な和音を「主要三和音」と言います。
主要三和音は前項でも登場した「Ⅰ度」「Ⅳ度」「Ⅴ度」の和音のことです。
ハ長調の主要三和音
Ⅴ度の和音は4つ目の和音を足して、「属七の和音」として使用されることが多くあります。
和音の機能
主要三和音を中心とした、和音における性格や特徴などについて説明します。
トニック/Tonic
・Ⅰ度の和音=主和音
・落ち着いた性格
・Ⅵ度もトニックの仲間
ドミナント/Dominant
・Ⅴ度の和音=属和音
・緊張感があり、主和音へ進もうとする性格
・「属七の和音」もドミナントの仲間
サブドミナント/Subdominant
・Ⅳ度の和音=下属和音
・広がりのある和音で、ドミナントとトニック、どちらにへも進む性格
・Ⅱ度の和音もサブドミナントの仲間
スケール(音階)練習におけるカデンツについて
ここでようやく、前述でも紹介した「スケール練習のカデンツ」がどの和音に当たるのかを説明します。
下の譜面で、青文字は「和声記号」、アルファベットのT S D は「トニック(T)」・「サブドミナント(S)」・「ドミナント(D)」を意味します。
なお、ハ長調だけでなく、全ての調において、スケール練習のカデンツは「T– S –T –D –T」という進行パターンとなります。和声記号も全ての調で同じです。
それ以外でも、主な和音進行のパターンとして
T – S – T
T – D – T
T – S – D – T
などがあります。
和音進行は曲によって異なります。ほとんどの曲は「T(主和音)」で終わります。
まとめ:カデンツとは?ピアノ初心者でも簡単
ここまで、カデンツについて、簡単に説明しました。
「カデンツ」とは、音楽における終止形の和音進行のことで、「型」のような決まりのことです。実践的な練習としては、「ハノンピアノ教本」の「スケール(音階)の練習」の、全ての調のそれぞれ最後にあります。
カデンツについてまとめると次のようになります。
カデンツの特徴
・主要三和音で構成されることが多い
・和音の機能はトニック(T)、ドミナント(D)、サブトミナント(S)で表される
・スケール練習のカデンツの和音進行はT – S – T – D – T
スケール(音階)の部分に比べて、最後のカデンツ部分は難しく感じるかもしれません。
しかし、これが弾けるようになると、ピアノを弾くことがとっても楽になります。また、カデンツにおける決まりを頭で理解することで、カデンツがもっと身近に感じられ、上達へのステップアップにつながります。
少しでもこの記事が、皆さんのピアノ上達へのヒントとなれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。