ソルフェージュとは、ひと言で言うと、「音楽の基礎的な能力を鍛える」ことです。楽譜を読んだり、聴いた音を判別したり、聞こえた音を楽譜に書いたりする力を養います。また、音楽に関する知識を身につけます。
この記事では、ソルフェージュを学ぶ目的や、ピアノ学習と併用するメリットについて説明します。
もくじ
ソルフェージュの目的
ソルフェージュとは、「音楽の基礎的な能力を鍛える」ということについては冒頭で説明しました。その目的について、簡単に説明します。
楽譜を読めるようになる
楽譜を正しく読む力のことを「読譜力」とも言います。特にピアノ学習においては、多くの音符が譜面上に登場します。読譜力が身につけば身につくほど、ピアノの※譜読みが楽になります。
※譜読み・・・楽譜に書いてある音符を音にしていく作業で、ある程度、止まらずに弾けるまでの行程を言う。
また、楽譜を読んで、ピアノや楽器を鳴らさずに、正しい高さと正しいリズムで歌を歌うこともできるようになります。このように、初めての楽譜を楽器なしで歌うことを「新曲視唱」と言います(基準の1音だけは与えられます)。
音を聴きとれるようになる
「聴音」と言って、演奏されたメロディーや和音を聴きとり、その音を楽譜に正しく書くことができるようになります。
ポピュラー音楽では「耳コピ」という表現もあります。
音楽に関する知識を身につける
音楽には沢山の暗黙のルールがあります。それを学ぶことで、譜面上のルールや音楽理論などを理解できるようになります。
また、それらを実際の音に結びつけることで、ピアノ学習にも、とても効果的に作用します。
ピアノのレッスンだけでは不十分なの?
ピアノのレッスンでも、初心者に対しては、楽譜の読み方の基本は学習します。楽譜が読めないと、ピアノの学習を進めることが難しいからです。
たとえば、小学生くらいまでは、レッスンの後半に、冊子のワークなど使って、ソルフェージュの時間を設けるピアノの先生もいらっしゃいます。
それだけでは、不十分なのでしょうか?
そもそもピアノのレッスンというのは、指を動かすテクニック的なことや、音楽表現など、実用的なことを中心に学ぶことが多いので、ピアノのレッスン内だけでソルフェージュ力を伸ばすには、限りがあります。
そこでピアノのレッスンと併用して、「ソルフェージュ」という独立したレッスンを受けることで、音楽の基礎能力をさらに鍛えることができるのです。そうなると、ピアノの力もぐんと伸びます。
「ソルフェージュ力をもっと伸ばしたい」という人であっても、「正直、ソルフェージュのレッスンを受けるほどではないな・・・」という人がいるかもしれません。その場合は、習っているピアノの先生に、1度相談してみるといいと思います。
生徒さんによっては、たとえピアノの実技的なレッスン時間が減ったとしても、ソルフェージュの時間を多めにとった方がいいと判断される可能性があるかもしれませんから。
ソルフェージュ力が身につくと?
楽器を本格的に学ぶ人や、音楽の道に進む予定の人は、幼い頃からでも、ソルフェージュのレッスンに通う人もいます。そういう人は、やはり読譜力がとても早く、音楽のセンスは抜群です。
筆者の場合は、大学入試に必要だったため、高校1〜2年頃から、ピアノのレッスンと併用し、ソルフェージュのレッスンを受けはじめました。音楽の基礎をピアノの鍵盤から離れて学ぶことで、別の角度からピアノを捉えることができたような気がします。
そして変化を感じたことは以下のことでした。
・ピアノの譜読みで、間違いが減るようになった。
・拍子感・リズム感が身についた。
・楽譜の正しい書き方が分かるようになった。
・音を聴き分けられるようになった。
・楽譜を見て、(ピアノを鳴らさずに)正しい音程で歌えるようになった。
ソルフェージュ力がつくと、ピアノの譜読みの間違いに気が付きやすくなります。音が聞き分けられるようになることで、自分が楽譜と違う音を弾いていることに早い段階で気がつきやすくなるためです。
そのような理由によって、ピアノ学習をする上で、ソルフェージュの訓練はとっても役に立つのです。
まとめ:ソルフェージュとは?ピアノ学習と併用する効果。
ここまで、ソルフェージュ力を身につける目的やピアノ学習と併用するメリットについて説明しました。
ソルフェージュは、楽譜を読んだり、聞こえた音を聞き分けたりといった、「音楽の基礎となる能力を鍛えること」です。
ピアノのレッスンでも、初心者に対しては、楽譜の読み方の基本は学習します。ただし、ピアノのレッスンでは実技的なことを学ぶことが中心となります。
ソルフェージュを身につけると、ピアノの実技そのものが身につくわけではありませんが、音を聞き分ける力が敏感になったり、楽譜を読む速度が早くなったりします。そのため、ピアノ学習にとても役に立ちます。
ピアノの譜読みがもっと早くなりたい、と悩んでいる人にとっては、ソルフェージュ力を身につけることは、ピアノ上達への大きな効果をもたらすかもしれません。
いずれは楽譜の中から、作曲家の意図を読みとり、それに相応しい音楽表現ができるといいですね。
ピアノ学習者にとって、少しでも参考になれば、幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。