大人の皆さんが趣味でピアノをやる場合、楽しむことが前提なので、スパルタな練習なんておそらく必要ないかと思います。
とはいえ、テクニック的な練習をどこまでやるのが理想的なのでしょうか。
この記事では、大人の趣味のピアノ学習に「ハノン」や「練習曲」が必要かどうか、またそれを練習するとどんなメリットがあるのか、説明します。
もくじ
楽曲の練習はほとんどが部分練習
憧れの曲は、人それぞれ違うと思いますが、どの楽曲を弾くにしても、好きな曲を弾きたいのであれば、時にはテクニックの練習が必要となることがあります。
楽曲の練習というのは、通し弾きをするのはかなり最後の仕上がりの段階です。練習時間の多くは、テクニックを磨くための部分練習となります。
そのために、普段からハノンや練習曲で練習することは、とても役に立ちます。そのような練習をしていれば、楽曲で同じようなテクニックが求められた場合に、練習が最小限で済むからです。
大人の趣味としてのピアノは、もちろん楽しむことが前提です。なのでテクニカルな練習をやることは必須ではないけれど、やってみると上達が早くなり、よりピアノが楽しくなること間違いなしです。決して損はしません。
指のテクニック練習「ハノン」
ピアノの定番の指練習の教本、「ハノンピアノ教本」。これには指を動きやすくするための、あらゆる訓練の方法が載っています。
全ての練習をする必要はありませんが、この練習を日頃からやっておくと、指が1本ずつ独立しやすくなったり、音のつぶが揃いやすくなったり、という沢山の効果が期待できます。
またこの本にある「スケール(音階)」や「アルペジオ」の練習も大切で、これをやると楽曲の譜読み※が速くなります。楽曲の多くは、スケールやアルペジオの応用となっているパッセージが多いからです。
例えば、下の楽譜を見てみましょう。バッハの「メヌエット」(ト長調)です。スケールの一部分となっている音型があります。
①と②はト長調のスケールの一部。
③は、「ド」の音に臨時記号が付いてニ長調に転調してしています。ニ長調のスケールをハノンで練習していれば、この部分も比較的すぐに譜読みができるということになりますし、「転調している」という変化もすぐに読み取れ、譜読みがしやすくなります。
「ハノン」は子ども用や大人用もあります。自分のレベルに合ったハノンを、ぜひ毎回の練習の指ならしに活用されてはいかがでしょうか。
※譜読み・・・初めて楽譜を見てから、ある程度すらすらと弾けるようになるまでの作業行程のこと
練習曲の例
練習曲の定番のひとつに、「ツェルニー練習曲」があります。易しい順に、100番、30番、40番、50番・・・となっています。
ツェルニーの練習は「機械的で退屈」と思う学習者は多いようです。しかし、この練習曲を作ったツェルニーさんは、かの有名な「リスト」の先生だった人。リストが超絶技巧と呼ばれるような派手で素晴らしい演奏ができるようになったは、きっとツェルニー先生のおかげなのです。
「ツェルニー30番練習曲」の一部を紹介します。この曲は、メロディーの音を長めに弾きながら、同時に右手で伴奏の役割も担っています。
このように、右手でメロディーも伴奏パートも表現するようなテクニックは楽曲でもよく出てくる音型の一つ。この練習曲で訓練しておくと、いつか役に立ちます。
尚、50番くらいになると難易度はものすごく高くなり、メロディーラインも明確なので、かっこいい曲も多いですよ。
まとめ:大人の趣味ピアノに練習曲やハノンは必要?
ここまで、大人の趣味のピアノに「ハノン」や「練習曲」が必要かどうか、またそれを練習するとどんなメリットがあるのかということについて説明しました。
ハノンのピアノ教本や練習曲は、指が思い通りに動くためのテクニック的な練習をするものです。この練習を日頃から行うことにより、楽曲に出てくる難しいパッセージなどの練習を補うことができます。
大人の趣味としてのピアノは楽しむことが前提なので、テクニカルな練習をやることは必須ではないけれど、普段から行うことで上達が早くなります。ピアノの楽しさをより感じるためには、一見退屈そうなこれらの練習がものすごく役に立つ、だからオススメなのです。
あなたの音楽ライフが充実したものとなりますように。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。