ピアノは昔から習い事の定番のひとつで、小学校入学前から習い始める人が多い楽器です。最近ではインターネットの動画の投稿により、プロではない一般の方がピアノを頑張って練習していたり、ストリートピアノで見事に披露したりするような姿が気軽に見られるようになりました。「敷居の高いもの」という印象から、もっと「身近なもの」になってきたように感じます。そういうこともあり、中学生や高校生になって、ピアノをやってみたいと思う人もいるのではないでしょうか?その年齢になって始めるのは遅いのでは、と思っていませんか?
音楽を学ぶことは、想像力や感性が豊かになり、情操教育にも良いと言われています。大人から始めた人も一生の趣味にする人が多いほど、人気の楽器です。
中学生・高校生は大人からするととても若い年代です。何をするにも、楽しんで練習を続ければ、充分上達が可能な年齢です。また、学生だからこそ独学でもピアノが学べる理由があります。ここでは中学生・高校生へ、ピアノの独学をおすすめする理由と学習の進め方などお伝えします。
もくじ
ピアノが弾けることによるメリット
指先にはたくさんの神経が集まり、脳に直結しています。そのため、楽器を練習した人ほど、集中力などに関する脳の部位が発達していることを、精神医学の分野からも明らかにされています。
特に右手と左手を同時に使うピアノは、右脳と左脳の両方を活性化させるそうです。難関大学の学生に、ピアノ経験者の割合が高いことも事実なのもそういったことが理由だと考えられます。
このような理由から、ピアノを長く続ければ続けるほど、中高生の皆さんの成績アップにも効果があることが期待できます。
中高生が幼少期からピアノを始めるより有利な理由
ピアノ学ぶにあたって大切なことは、音楽のすばらしさ・楽しさを感じることだと思います。幼少期にピアノを習い始める子どもは、親の意思で始めた人も多く、必ずしも全員が積極的に練習に取りくんでいるとは言えないのが現状です。
一方、中学生以上の年齢で始める人は、幼い子よりも理解力が早いですし、興味を持って練習する分、上達が早く見込まれます。
またその年齢になるまでピアノを弾く人を見た経験があるわけですから、ピアノを弾くことへのイメージがより具体的であると思われますし、「こんな曲が弾いてみたい」などの願望もあると思います。ピアノが弾けた先の未来を想像できると、練習にも意欲が湧くので、習得は早いです。
大人にはない、中高生がピアノ独学に有利な理由
ピアノ教室で習うことは、上達への近道です。しかし、レッスン代も安くありませんし、忙しい中、定期的に通うことは時間的な面からも大変だと思います。
教室通いが難しいとしても、中高生がピアノを独学できる環境が、大人よりも多い理由を、いくつか紹介します。
学校にはピアノがある
ピアノを学ぶという点で言うと、グランドピアノやアップライトピアノのようにアコースティックピアノの響きに勝るものはありません。
もし家にキーボードや電子ピアノしか持っていなくても、中高生の皆さんなら大丈夫。ほとんどの学校には音楽室・体育館に、グランドピアノかアップライトピアノが当たり前のように置いてあります。音楽の授業や学校行事以外には使われることはあまりありません。先生に許可をもらえば、早朝、音楽の授業の前後、昼休み、などに練習することは可能です。
キーボードや電子ピアノしか持っていない人は、練習した曲をアコースティックピアノで弾くとどのような感覚なのか、実際に弾いてタッチや響きを知ることはとても理想的です。
学校で練習する利点
私は高校時代、昼休みに友達を呼んで人前でピアノを弾く練習をしていました。放課後は吹奏楽部が音楽室を使いますので、体育館で運動部の横で練習したこともあります。また知人は高校時代、家にはアップライトピアノしかなく、グランドピアノで練習をしたいという理由で、朝課外の授業の前に音楽室で練習させてもらっていました。気軽にピアノを弾きたいだけの人には極端な例かもしれませんが、グランドピアノを使える特権が、中学生・高校生のあなたにはあります。残念ながら社会人にはこのような環境は、なかなかありません。
学校によっては、音楽の先生が非常勤講師、という場合もあります。そういう場合は、音楽室を管理している先生が別にいるはずです。その先生と顔見知りになって、気軽に練習ができる環境を作ってしまいましょう。
たとえ短時間でも学校で練習するというだけで、緊張感もあるので、家で1人で練習するよりもメリハリのある練習が出来るという利点もあります。
先生に相談する上で、明確な理由が見つからない時は、素直に「ピアノを独学で練習したいからピアノを使わせてもらえないか」などと伝えると良いと思います。
音楽の専門知識を習っても月謝は不要
学校では音楽の授業があるので、ピアノや音楽に関しての質問がある時は、先生に質問ができます。
高校生になると芸術科目が選択制となり、「音楽の授業がない」という人もいるでしょう。そういう時は質問があれば、職員室や音楽室にいる先生を訪ねてみましょう。
学校によって、音楽の先生が不在の場合もありますが、ピアノが得意な生徒がクラスにいれば、音楽に関する質問に答えてくれます。吹奏楽部員、合唱部員など、生徒数が多い学校社会では必ず誰か、音楽が得意な人がいるものです。
学生の皆さんにとってはそれは当たり前の環境だと思うかもしれませんが、大人の社会では当たり前ではありません。社会人になって、音楽という専門知識について質問したい場合、音楽教室に月謝を払って学ばないといけません。
またグランドピアノで練習したい、という時は、一般の貸しピアノを使うと安くても1時間1000円以上支払わないといけないのです。
お金もかけずに専門知識を習うことやグランドピアノを使える環境は、学生ならではの特権です。ピアノは学校の施設です。使われていない時間にぜひ、どんどん使わせてもらいましょう。
ピアノを使用する際のマナー
先生に許可をもらい、ピアノを使用できることになった際、気にかけて欲しいポイントがあります。ピアノを扱う上でのマナーとも言えることなので参考にしてください。
・できれば使う前には手を洗い、清潔な状態で使用する
・ぬれた手で触らない。手は必ず乾いた状態で弾く
・使用の前後に簡単に手入れをする
学校のピアノは手入れをあまりされていないことも多いため、鍵盤にホコリがたまっていることがあります。使う頻度の低い、高い音域や低い音域は特に汚れがちです。手を汚さないためにも、乾いた布などで鍵盤を簡単に掃除して使用することが理想です。使用した後も、簡単に手入れをする気持ちで、丁寧に扱いましょう。
ピアノの選び方
まだ家にピアノがない人はどの楽器を選べばいいのか迷いますよね。アコースティックのピアノを買おうとすると高価ですし、家には置く場所も限られます。ここでは、楽器を選ぶポイントを紹介します。
グランドピアノのタッチを知る
これから楽器を購入しようと検討している人も、そういう時こそ、学校のピアノを試しに弾いてみるといいと思います。何も弾けなくても良いのです。アコースティックのピアノのタッチや響きを知る目的で触ってみる、くらいの感覚で良いと思います。電子ピアノを購入するとしても、より本物に近い感覚を知ってから選ぶと、購入後に後悔しにくいと思います。その目的を理由にして、先生へピアノ使用についての相談をしてみるのもひとつの方法です。
目的・生活スタイルに合わせる
いずれ大学生や社会人になって、ひとり暮らしを始めたり、という可能性があることを考えれば、キーボードか電子ピアノが都合が良いかもしれません。
クラシックを弾いてみたいという人は、鍵盤の数は、ピアノと同じ88鍵が理想です。その方が、音域的な制限がありません。一方、いずれパソコンなどで作曲を念頭に置いている人はその限りではなく、MIDI機能が備わったものを優先して選ぶのが良いと思います。
なお、電子ピアノはアコースティックピアノのタッチに近いほど、金額は高いです。できれば学校で何度か弾いてみて、グランドピアノのタッチを覚えておき、楽器店や家電量販店の楽器コーナーで実際に試奏させてもらいましょう。そしてお店の人にそれぞれの楽器の特徴や値段の違いについて質問しながら、購入を検討してみるといいと思います。
筆者の例
ちなみに私の電子ピアノは、本体は約5万円。そして、別売りのスタンド、ピアノケース、ペダルはインターネットで購入しました。持ち運べるタイプが欲しかったので、実際に持って重さを確かめたり、タッチを確かめたりして選びました。約10万円の方がタッチは好きでしたが、運ぶには重すぎた為、約5万のタイプに決めました。
現在は引越の可能性があるため、家にはその電子ピアノしか置いていませんが、練習にはそれほど不自由していません。本体とスタンドが別々のタイプなので、使わない時はケースに入れて収納できます。ピアノを置いていない会場で演奏の依頼があったときにも活躍するので、可能性は広がります。
通常は部屋に、いつでも弾けるような状態でスタンドにセットしいます。鍵盤用の保護のケースは付属してないため、布を被せてホコリがたまらないよう管理しています。
タッチの違いにより、グランドピアノで練習したい時もあります。そういう時は、実家に行ったり、貸しピアノをレンタルしたりして、練習をします。
練習の進め方
楽譜を読めるようになるにはどうすればいい?楽譜は何を買えばいい?などピアノを始めるに当たっての方法を紹介します。
楽譜が読めない人はまずは教科書で
また教科書には楽譜の基本的な知識や読み方が、分かりやすく載っています。それを参考に、音符やリズムが読めるようになりましょう。初心者向けとしては、小学校時代の音楽の教科書の方が分かりやすいかもしれませんので、併せて参考にしてみましょう。
楽譜は音楽室の楽譜も参考に
ピアノの楽譜は音楽室にも置いてあることがあります。できれば購入前に、音楽準備室の楽譜コーナーを見せてもらいましょう。そして先生やピアノ経験者に参考になる楽譜がないか、アドバイスをもらいましょう。理想のものがなければ、直接、楽器店や大きな書店で手に取って、自分にとって「難しすぎず、簡単すぎないもの」を選びましょう。インターネットで初心者向けの教本を参考にすることもいいと思います。
「先生」は友達にやってもらおう
自分で出来るところまで練習したら、休み時間などを利用して、ピアノ経験者である友達に教えてもらいましょう。今は同じ中学生・高校生同志です。ピアノ経験者だからといってお金を支払う必要がないことも中高生の特権です。
将来、もしその友達が音楽大学に進学し、ピアノで生計を立てることになれば、教えてもらおうとすると、きちんと謝礼を支払わないといけなくなるのです。学生の今は、やり方次第ではとてもラッキーな環境だと言えます。
まとめ
ここまで中学生・高校生がピアノを独学するのにおすすめの理由などを紹介しました。まとめると次のようになります。
・幼少期よりも、自分の意思で学ぼうとするので習得が早い。
・学校にはグランドピアノがある。また先生や友達から音楽の専門知識を無料で教えてもらえる環境がある。
・ピアノはグランドピアノのタッチを知り、目的・生活スタイルに合わせて選ぶのがよい。
・教則本や楽譜を選ぶ時は、音楽室の楽譜も参考にしながら選ぶとよい。先生、友達、インターネットの情報も参考にする。
・ピアノ経験者に先生になってもらえるとラッキー。
自分の所属する場所にピアノがあるということはとても恵まれています。そのチャンスを活かして、ぜひピアノを少しずつ、習得してみてください。とても楽しい世界が広がること、間違いなしです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。