伴奏はメロディー(歌や楽器)だけでは足りない和声を補うためにあります。
ピアノは普段は1人で練習する楽器。他の楽器や歌と合わせる機会というのは、プロでない限り、あまりないことかもしれません。
実際に、他の人と共演には、少しのコツが必要です。
そこで、今回は、伴奏のコツについてお伝えします。共演する楽器によっても、少し弾き方が違いますが、今回はピアノにおける、合唱の伴奏についてお伝えします。
もくじ
伴奏の主役はピアノではない
ピアノは「楽器の王様」とも言われるほど、多くのことができ、華やかな音色がする楽器です。しかし、伴奏においては、ピアノは脇役。メロディー=主役(合唱パート)を支えてあげる補助的な存在なのです。
つまり、主役の言うこと(歌い方)によく耳を傾け、主役がやりやすい(歌いやすい)ように、導く(弾く)ことが必要となってきます。
ただし、脇役と言っても、伴奏はもちろん大切な存在。しっかり準備していないと、本番が台無しになってしまうので要注意!
しかし、コツを押さえて準備すれば大丈夫です。
伴奏する上で特に大切なこと
伴奏をする上で最も大切なことは、ひと言で言うと「歌い手が歌いやすいような弾き方をすること」です。そのために必要なことを、具体的に説明します。
途中で止まらないこと
合唱は大勢で演奏している以上、特に「途中で止まらない」ことは大切です。もし、ピアノが止まってしまうと、指揮者や歌い手が困ってしまいます。
もし歌っている時に止まった時は、頑張って途中から合流すればOK。ただし、前奏や間奏の終わりなど、歌がこれから入るところで止まってしまうと、大事故を招いてしまいます。そういう部分だけは、確実に弾けるようにしましょう。
例えば、下の譜面では、歌の出だしの直前の伴奏は大切です。ここで、ミスしたり、止まってしまうと、歌い始めることができなくなってしまいます。
こういうところは、たとえ本番で緊張しても、確実に弾けるようにしておきましょう。
テンポ(速さ)・リズムが安定していること
最初に指揮者と、曲全体のテンポ(速さ)をどのくらいにするのか打ち合わせしましょう。その速さで弾くことは大切です。
気をつけたいのは、ピアノの音符が少ないところでは、段々と速くなりがちです。伴奏のテンポが不安定になると、歌いにくいので、気をつけましょう。
逆に、もし弾きにくいところがあれば、少々音を省略してもよいと思います。「歌の邪魔をしない弾き方」、それを最優先させ、一定のテンポで弾くように心がけましょう。
バスの音(1番低い音)を大切にする
合唱のパートには高い方から、ソプラノ、アルト、テナー、バスという4つのパートがあります。小学生はソプラノとアルトの2声だけ、中学生になると、男性パートでテナー、バスという低めの音域が加わります。
つまり、「バス」は音域の中で低い音域のことです。しかし、人間の声が出せる低さには限界があるため、実際には、合唱全体の1番低い音を担うのはピアノ(伴奏)ということになります。
そのため、歌と一緒に弾くときは、バスの音を響かせるのがポイント。そうすることで、音楽全体に奥行きが出てくるのです。もちろん、場面に応じて、ということにはなりますが、盛り上がるところでは特にそれを意識すると、ダイナミックな音楽に仕上がりますよ。
大切な音を間違えないこと
伴奏は、歌(メロディー)に足りない和声的な部分を補助してあげれば、それで大きな役割は果たせているわけです。
しかし、時にはピアノが主役の瞬間もあります。大切な音を間違えると目立ってしまいます。「大切なところ」と「少々手を抜いてもOKなところ」、それを区別して、限られた時間内でしっかり練習しましょう。
大切なところとは・・・?
①前奏、間奏、後奏。特にメロディー部分。
②曲の1番最後の音。
最後の音が間違えると、とても目立ってしまいます。
③バスの音。
この譜面ではmp(メゾピアノ)なので、音量的にはあまり大きく弾く必要はありませんが、それでも、バスの音は大切です。響かせるように弾きましょう。
以上の①〜③を、特に大切にしましょう。はずすと目立ちやすいところでもあります。そのポイントさえ押さえておけば、他は少々間違ってもばれません。
伴奏の練習方法
合唱と一緒に合わせられる合同練習の機会はそう何度もありません。1人の練習時に、どのような練習をすればよいのかを説明します。
メトロノームの練習
伴奏は基本、テンポが一定であることが必要なので、メトロノームに何度も合わせ、一定のリズムが刻めるようにしましょう。
合唱付きの録音と練習
伴奏しながらでも、メロディー(合唱パート)を自分も確実に口ずさめるようにしておくことが大切です。そうすることで、どう演奏すれば歌いやすい伴奏になるのか、掴みやすくなります。
そのため、できれば最初の合同練習の時に録音しておき、1人で練習するときは、何度もそれに合わせて練習するようにしましょう。
そうすれば、合同練習の時間に、余裕を持ってのぞむことができ、有意義な時間となるでしょう。
まとめ:ピアノ伴奏のコツ(合唱編)
ここまで、合唱における、伴奏のコツを説明しました。まとめると次のようになります。
伴奏する上で特に大切なこと
・途中で止まらない
・テンポ(速さ)・リズムを安定させる
・バス(1番低い音)を大切にする
・大切な音を認識し、間違えない
伴奏は、合唱(主役=メロディー)を支える大切な存在です。
実際には練習時間にも限りがあります。大切な部分とそうでもないところを認識し、ピアノが主役の瞬間には自信持って演奏できるようにしておきましょう。
それ以外の場所では、主役を引き立たせるための弾き方を心がけ、必要な場所ではダイナミックに盛り上げてあげましょう。
全員が一体となった、すばらしい演奏になるように応援しています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。