ピアノは多くの部分が天然素材で出来ており、とてもデリケート。快適な環境でないと、負担がかかり、不調や故障の原因になってしまいます。
できるだけ長く付き合うために、この記事ではピアノにとって最適な環境について説明します。
もくじ
ピアノはデリケート
ピアノの不調や故障の多くは、湿度が原因となることが多いです。
ピアノの外側は塗料でコーティングされているので、湿気を吸いにくくなっていますが、内部のほとんどは、木、フェルト、金属でできており、湿度にはとても敏感です。
長時間、湿気の高い環境に置かれると、木とフェルトは湿気を吸って膨み、鍵盤が重くなったり戻りが悪くなったりします。カビが発生する場合もあります。金属部分(弦やフレーム)は、さびることもあります。
ピアノの快適な状態というのは、人と同じと思ってください。暑すぎたり、寒すぎたりするのは不快に感じますし、湿度が高すぎたり、乾燥しすぎることもよくありません。
ピアノにとっての快適な環境
日本の気候は高温多湿なのが特徴。その上、住宅の高気密・高断熱化が進んでいるため、湿気が室内にこもりやすくなっています。
どのような環境がピアノにふさわしいのか、具体的に説明します。
湿度は40〜70%を目安に
日本の気候は夏は湿度が高く、冬は乾燥します。ピアノにとって理想は、夏だと20〜30℃、湿度は40〜70%、冬では10〜20℃、湿度は30〜65%が理想です。
ピアノの部屋には、湿度温度計を用意して、常に部屋の環境を確かめるようにしましょう。
また、最適な湿度を保つためには、風通しのいい環境を作ることも大切。アップライトの場合、壁から10〜15センチほど離して置くようにしましょう。
直射日光・エアコンの直接的な風は避ける
ピアノは、急な温度変化もNGです。温度や湿度が急に変化すると、ピアノ内部や壁に結露が発生し、さびや故障の原因になるからです。エアコンの水滴が落ちる可能性のある真下や、風が直接ピアノに当たる場所は避けましょう。
また、直射日光で過度に乾燥することで、外装表面のひび割れや音程が狂う原因となります。
そのため、窓際や外壁に面した場所は避けたほうが安心。直射日光が当たる場所に置く場合は、厚手のカーテンをして、できる限り遮光しましょう。
家庭でのピアノのお手入れ&対策
家庭でもできる、ピアノの適切なお手入れと対策方法を紹介します。
天気の良い日にピアノを干す
湿気により鍵盤が重くなったり、音がこもったりするようになります。その対策として、天気の良い日には鍵盤の蓋や屋根を開けて、約2〜4時間くらい風を通すと効果的です。
逆に、湿気が多い雨の日や夜間は窓を閉めて、ピアノの蓋も閉めることが大切です。日頃から練習後は、きちんと蓋をして、片付けるようにしましょう。
長雨が続いたらドライモードにする
湿度が80%を超えた状態が続くと、カビが発生しやすくなります。また雨の日は洗濯物を室内干しにすることもあり、家の中は想像以上に湿気だらけ。
そういう時は、室内を換気したり、エアコンのドライモードや除湿機を使いましょう。ただし、ピアノは急激な変化に弱いので、温度や湿度の設定を極端に変えすぎないよう、注意してください。
湿気対策や虫害予防のお助けグッズを使う
ピアノの湿度対策には、ピアノ専用の乾燥剤を、虫害予防にはピアノ専用の防虫剤を使うのが安全です。
ピアノ内部に入れっぱなしになったり、入れ方によっては雑音が出たりすることもあるので、調律師さんに相談しながら使用することをお勧めします。
まとめ:ピアノの最適な環境とは
ここまで、ピアノにおける最適な環境について説明しました。ピアノの部品の多くは天然素材でできているため、とてもデリケート。人間と同じように、過酷な環境には弱いものです。
ピアノは大切に扱うことで、何十年と付き合っていける楽器です。今の部屋の環境がピアノにとっていい状態かどうか、まずは湿度温度計を手に入れて、チェックしてみましょう。
そしてこれからも末長く、ピアノライフを楽しんでください。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。