楽譜を読む上で、シャープ(♯)とフラット(♭)の意味を知ることはとても大切なことです。しかし、よく知らないうちは、苦手意識を持ってしまう人も少なくないようです。筆者も、子どもの頃はその一人でした。今思うと、きちんとシャープとフラットについて学ぶ機会がないまま楽譜を見ていたからでしょう。
きちんと学べば、実はシャープとフラットは思ったよりも難しくないですよ。
この記事ではピアノ初心者の方向けに、シャープ(♯)とフラット(♭)の基本について説明します。
もくじ
音のつながりを確認しよう
ピアノの鍵盤は白鍵7つ、黒鍵5コの合計12コです。この黒鍵を表す時、シャープ(♯)とフラット(♭)が使われます。
シャープはその音符の「半音上」、フラットは「半音下」をあらわします。
では「半音」とは、鍵盤ではどういうことをいうのでしょうか。下の鍵盤を見てみましょう。赤の矢印であらわされる2つの鍵盤の関係が「半音」です。
ちなみに「半音」に対して「全音」という関係性もあります。今後、音楽を学ぶ上ではよく登場するので、ここでは名前だけ知っておきましょう。
シャープ(♯)について
ではシャープについて具体的に見てみましょう。シャープは「半音上」をひきます。
楽譜で見ると
シャープ(♯)は音符の左横に記されます。下の楽譜の場合、「ソ」に♯がついています。
また、シャープは「同じ小節内」の「同じ音」全てに有効になります。
つまり、「ソ」に♯がついている場合は、次の「ソ(同じ小節内)」にも♯をつけて弾くということです。
なお、一時的にシャープがつく場合、そのシャープのことを「臨時記号」と呼びます。小節が変わると、元の音に戻ります。
鍵盤の位置
先ほども述べたように、シャープ(♯)は「半音上」を表します。つまり、♯がつくほとんどの音は『右どなりの黒鍵』を弾くことになります。
では、「ミ」と「シ」(右どなりに黒鍵がない)のシャープの場所はどうなるでしょうか。
つまり、「ミ」の♯は「(白鍵の)ファ」、「シ」の♯は「(白鍵の)ド」と同じ位置となります。
楽譜で表すとそれぞれ、下のようになります。
このように、楽譜にすると表記は異なり、鍵盤上で同じ場所となる音のことを、「異名同音(いみょうどうおん)」といいます。
ト音記号やヘ音記号のとなりの♯
下の楽譜のように、ト音記号やヘ音記号のすぐ右側にシャープ(♯)がついていることがあります。
「ファ」の高さにシャープ(♯)がついていますね。
これはこの曲に出てくる「ファ」全てにシャープをつける、という意味です。
このように、ト音記号やヘ音記号の右どなりに付ける♯や♭を「調号(ちょうごう)」といいます。拍子記号よりは左側にあります。
先ほど登場した、「臨時記号」としっかり区別しましょう。
なお、調号によって、その曲の調があらわされます。調についてはまた別の記事で詳しく説明します。
フラット(♭)について
次にフラットについてです。フラットは、シャープ(半音上)とは逆に「半音下」を表します。
楽譜で見ると
鍵盤の位置
フラット(♭)は「半音下」を表します。左どなりの黒鍵をひきます。
では、「ファ」や「ド」(左どなりに黒鍵がない)のフラットはどうなるでしょうか。
つまり、「ファ」の♭は「(白鍵の)ミ」、「ド」の♭は「(白鍵の)シ」と同じ位置となります。
楽譜で表すとこうなります。
つまり「ファ♭」と「(白鍵の)ミ」、「ド♭」と「(白鍵の)シ」は、それぞれ「異名同音」となります。
ト音記号やヘ音記号のとなりの♭
フラット(♭)の場合も、ト音記号やヘ音記号の右どなりに♭がつく場合があります。
これはこの曲に出てくる「シ」全てにフラットをつける、という意味です。
復習ですが、このようにト音記号やヘ音記号の右どなりに付ける♯や♭を「調号」といいましたね。♭の場合も拍子記号よりは左側に記されます。
ナチュラルについて
最後に、「ナチュラル」について説明します。
この記号は、シャープ(♯)やフラット(♭)によって、上げたり下げたりした音を元の音に戻す時に使われる記号のことです。♯や♭と同じように、音符の左側に記されます。
この場合、ひとつ前の音符「ファ」に♯がついています。しかし、「ナチュラル」がついている音符は、白鍵の「ファ」をひくことになります。
もちろん、「調号」によるシャープやフラットの音符にもナチュラルは反映されます。
よく出てくる記号なので、必ず覚えるようにしましょう。
まとめ:ピアノの楽譜の読み方④シャープとフラット
ここまでシャープとフラットの基本について説明しました。
音楽を学ぶ上で、シャープとフラットについて学ぶことは、さけては通れません。まずは基本を理解しましょう。それ以上の知識については、ステップアップさせながら学んでいけば、音楽の理論的なことも少しずつ理解していけるでしょう。
これからも音楽についての知識を深めて、ぜひ音楽を楽しんでいってください。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。