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ピアノでブラインドタッチ。できるといい理由。

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ピアノを長年続けてい人は、楽譜を見ながら弾く時、手元はほとんど見ていません。色んなパターンの人がいてもおかしくないのに、手元よりも楽譜を見て演奏する人がほとんどです。

一方、ピアノを始めたばかりの人は、楽譜よりも手元に視線が行きがちです。その弾き方の差は何なのでしょう?

この記事では、手元を見ずに演奏する=ブラインドタッチについて説明します。

 

 

もくじ

ピアノでブラインドタッチができるメリット

長年のピアノ経験者は楽譜を見て弾く時は手元を見ずに弾きます。その理由について説明します。

ブラインドタッチとは

「ブラインドタッチ」とは、もともとパソコンの入力方法のことで、キーを見ずに入力することを言います。キーの配置を覚え、画面や原稿などを見ながら打つので、キーを見ながら打つより、速く入力できます。また、打ち間違いに早く気がつくというメリットがあります。

訓練すれば、だいたいの人がパソコンでブラインドタッチをできるようになりますし、訓練しなくても、常にパソコンを使っていればどこに何のキーがあるか感覚で分かってきます。

実は「ブラインドタッチ」という言葉は、正式な音楽用語ではありません。例えば「手元を見ないでピアノを弾く」という行為を説明する時に、必ずしも著者たちは「ブラインドタッチ」という言葉を用いるわけではありません。

ただし「ブラインドタッチ」と表現すれば、大人の初心者にも通じるため、ピアノにおいても、用いる人が増えたのではないでしょうか。

この記事でも「ブラインドタッチ」という表現を用いてみます。

パソコンとピアノのブライドタッチの難しさの差

パソコンはどのキーをどの指で押さえるか決まっていますが、ピアノは決まっていません。ピアノは88鍵もあり、1度に押さえる音数も多いため、どの指でどの音を弾くか、その時によって変わるのです。同じ曲ですら、弾く人によって使う指が異なることはよくあります。

そのため、ピアノのブラインドタッチの方がパソコンよりも難しいのは当然かもしれません。

鍵盤を見ないと弾けない理由

ピアノを始めたばかりの人にとって、手元ばかり見てしまうのは、ひとつには、どの鍵盤に指を置くべきかよく分かっていない、ということがあります。これは楽譜上の音符、音、手の動きが一致していないことが理由です。特に、お子さんは手が小さく、隣の音ですら距離が長く感じるため、鍵盤を目視してしまうのかもしれません。

また、読譜力が弱い人ほど、どうしても意識は手元に行ってしまいます。

ミスタッチを恐れて鍵盤を見てしまっている場合もあります。

ブラインドタッチのメリット

手元ばかり見てひいたり、楽譜と鍵盤を何度も目線が行き来してしまうと、楽譜を見ることが散漫になり、正しく譜読みができません。

逆を言えば、ある程度のブラインドタッチができるようになれば、楽譜から目を離さないで弾けるようになります。それによって、楽譜を見ながらピアノを弾くのがとても楽になりますし、ピアノ学習の初期段階でできると、効率的に上達することにつながるのです。

ピアノのブラインドタッチを身につける方法

ここでは、手元を見ずにピアノを弾くための方法について紹介します。

手の感覚だけで鍵盤を探す練習をする(超初心者向け)

ピアノ初心者や、ピアノに触れる時間が少ない人は、どうしても楽譜上の音符、音、手の動きが一致しにくいです。対策としては鍵盤の感覚を身につける練習をすることです。

ここで、「手の感覚だけで鍵盤を探す練習」を紹介します。ゆっくりと、手を見ないで指を動かしてみましょう。

①右手で、ドの音に1の指を置く(ここは手元を見てよい)

②手元を見ずに、2–レ、3–ミ、4–ファ、5–ソというように指を置き、何度も弾いてみて、感覚に慣れましょう。尚、音を出す時に常に、ドレミを声に出して言うと、耳の訓練にもなります。

③次にドの音を基準に、ド→レ、ド→ミ、ド→ファ、ド→ソ、と弾いてみる…

それが出来たら、次はレの音を基準に他の音を弾いてみる…など手元を見ずに色々なパターンを弾いて、さらに感覚に慣れましょう。この練習は、指先、耳、脳の3つに働きかけます

④左手でも、上記の①〜③をやってみましょう。

⑤隣同士に並んだ音をミスなく弾けることは重要な感覚です。隣同士の音に慣れてきたら、少しずつ「離れた音の鍵盤感覚」も身につけるとよいでしょう。

このように、基準とする場所に指を置いたら、後は感覚で鍵盤の位置が分かるようになると、ピアノを弾くことがスムーズになり、無駄なミスタッチを減らすことにもつながります。

ピアノの演奏において、指先の感覚はとても大切です。その感覚が育たないと、譜読みに時間がかかります。また、楽譜と音の関係を把握する力が伸びないので、理論を身につけることも難しくなります。

正しい姿勢で弾く

ブラインドタッチと言っても、全く手元が見えない状態で弾くのはピアノ経験者でも難しいことです。

実際には、手元が全く見えない中で弾くという機会など、ほとんどありません。ピアノ学習者が身につけるべきレベルとして、「視界の片隅に鍵盤があれば弾ける」、その程度のブラインドタッチで十分です。

そこで大切なのは、正しい姿勢で弾くことです。

<ピアノを弾く正しい姿勢>
イスに座るときは、鍵盤の端から端まで届くよう、身体が自由に動けるような座り方をする必要があります。

身体を安定させ、自由に動すために、骨盤を中心にしっかりと重心を下ろし、上半身が安定するように座ります

腕と手の位置
腕は、ひじから手首までが、鍵盤に対して水平にし、低くなりすぎない過ぎないよう気をつけましょう。ひじは体より前になるようにします。この時に、手首に力が入らずに、緩まった状態を保ちます。また、イスの高さや、鍵盤と身体の距離は、この腕の体勢によって決まります。

足の位置
両足はペダルを使わない時は、肩幅くらいに広げます。ペダルを使う時は、右足はペダルを使うために前方に出ているので、左足は身体が安定するように少し手前に置くようにすると良いでしょう。

 

正しい姿勢を身につけずに、イスの位置が近すぎたり、猫背になってしまったりすると、視界から鍵盤が見えずに、つい目線が手元に行ってしまう、という非効率的な動作をしてしまう可能性が出てきます。

常に正しい姿勢で弾くこと。そうすれば、目で楽譜を追いつつも、ちゃんと視界の中に手元があるので、慣れれば、手元を気にせずに弾けるようになります。

楽譜を読む力を身につける

意外と知られていないかもしれませんが、読譜力がしっかり身についていることは、ブラインドタッチが自然と身につくための大きな要素です。楽譜がスラスラと読めれば、視線は自然と楽譜にいくものだからです。

そうなると、止まらずに弾くためには手元を見るよりも、楽譜を目で追っていた方がずっと楽だ、ということが分かってきます。

初心者にとっては楽譜を読むことはまだまだ不慣れでしょう。しかし、その段階に応じた正しい練習をすれば良い、そういうことです。

対策のひとつとして、ピアノは触らずに、楽譜上の音符を指で差しながら、ドレミで言う練習をします。スラスラ読めるまで、自信がない箇所は、何度もくり返しましょう。すぐに身につくものではありませんが、くり返すほど、必ず譜面が読みやすくなります。

楽譜がスラスラ読めるようになれば、たとえ音が跳躍するところで一瞬手元を見たとしても、すぐに楽譜上の元の場所に、視線を戻すことができます

逆にそれができないと、自分が楽譜上でどこを弾いているのかを見失って、音楽が止まってしまうことにもつながってしまいます。

スケールの練習をする(中級者以上)

中級者以上の方は、スケールの練習をすると、さらに指の感覚が身につきます。

スケール(音階)とは、「段」のことです。音の並びが一定なので、この練習をくり返して、手の感覚を覚えいけば、自然と手元を見ずに弾けるようになります。音楽を勉強する上で大切な「カデンツ」を、手元を見ずに弾く練習にもなります。

カデンツ…楽曲の終止形で使われる和音進行のこと

スケールの練習についての記事はこちら↓
ピアノでスケール(音階)を練習しよう。

ピアノに触れる時間をとにかく増やす

シンプルですが、とにかくピアノに触る時間を増やすこと。それが鍵盤の感覚が身につく確実な方法です。

それを言ってしまえば、これまで紹介してきたことは何だったの?と思うかもしれませんが、ピアノに触れる際に、これまで紹介してきた「正しい練習」で行うことがとても効果的なのです。

それを組み合わせることで、より早く手元を見ずに弾くことが身につき、より効率的にピアノが上達することでしょう。

まとめ:ピアノでブラインドタッチ

ここまでピアノでのブラインドタッチについて説明しました。ピアノを学習する上で、ブラインドタッチができるようになれば、楽譜から目を離さないで弾けるようになり、楽譜を見ながら演奏するのがとても楽になります。

本来、ブラインドタッチは、ピアノを長く続けていれば、自然と身についていくことですが、初期段階でできると、とても効率な練習が出来ます。

そのレベルに合わせてできる対策を行い、より効果的にピアノの上達に役立てていただけたら幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。