ピアノの鍵盤数は世界共通、88鍵が標準です。
ピアノが発明された18世紀はじめは、わずか54鍵でした。それからずっと進化を遂げながら、19世紀末に現代の88鍵になります。それ以降、改良されながらも、鍵盤数は変わらず88鍵のままです。
この記事では、ピアノの鍵盤数が88鍵になるまでの進化と88鍵以上に増えない理由について、簡単に説明します。
もくじ
ピアノが発明された当初は54鍵
ピアノはイタリアの楽器職人、クリストフォリによって、1709年に発明されました。
当初の鍵盤の数は、わずか54鍵。それまで、弦をひっかいて音を出す「チェンバロ」が主流でした。強弱をつけられないチェンバロに対して、強弱のつけられるピアノの誕生は、当時としてはものすごく画期的なことでした。
ピアノの進化と発展
クリストフォリの発明から、ピアノは常に進化をしていきました。そして、より幅広い表現力を求める作曲家の要望に応じて、次第に音域を拡大していきます。
中でも、ベートーヴェンはいつもピアノ工場に出入りをし、自分の要望を伝えていたそうです。61鍵、68鍵、73鍵・・・と鍵盤数の増加に応じて、鍵盤数をめいいっぱい使うような名曲を生み出していきました。
88鍵になって以降、鍵盤数が増えない理由
現代の鍵盤数88鍵になったのは、19世紀末。それ以降もピアノは進化していきましたが、鍵盤数は100年以上も変わらず、88鍵盤のままです。
その理由について、説明します。
既にオーケストラの音域を超えている
ピアノの88鍵という音域は、既に「オーケストラの音域」を満たしています。オーケストラの中で1番低音のコントラバスより低い音や1番高音のピッコロより高い音ですら、ピアノの88鍵で出せてしまうのです。
実は、人の耳が音程として聞き分けることが出来る音域があります。
試しにピアノの1番高い音・1番低い音を弾いてみましょう。音程(ドレミ)が分かりにくいと思いませんか?
もっと具体的に言うと、1番低い「ラ」の音とその1オクターブ上の「ラ」を弾き比べると、上の音の方が、はっきりと「ラ」の音だと認識しやすいと思います。
このような理由から、これ以上音域を増やしても、つまり鍵盤の数をこれ以上増やしても、音楽的にほとんど意味がないということになるわけです。
88鍵以上の特注ピアノ
ただし例外として、一部のメーカーが特注で生産している、92鍵、97鍵というピアノもあります。低音部の音域が増えています。
これは、他の鍵盤を弾いた時に、低音部の弦と共鳴して豊かな響きを与えたり、音色に深みを出したりするためのものであり、単音で使用するものではないようです。
筆者が知っている中では、兄弟ピアノデュオ「レ・フレール」さんがこういうタイプのピアノを使用されています。彼らは「ブギウギ」というジャンルのピアニストで、クラシック以上に、低音の動きや響きが演奏の鍵を握っているようなんです。そのため、このようなタイプのピアノが大きな力を発揮するのでしょうね。
まとめ:ピアノの鍵盤数が88鍵になるまで。それ以上増えない理由。
ここまで、ピアノの鍵盤数が88鍵になるまでの進化とそれ以上に増えない理由についてお伝えしました。
ピアノが発明された当初、鍵盤はわずか54鍵。主流だったチェンバロに比べ、音の強弱がつけられるピアノの登場はとても画期的なものでした。
その後も音楽の発展と共に改良が重ねられ、次第に音域も拡大。19世紀末に現代と同じ88鍵になりました。
それ以降、ピアノそのものは進化をしますが、鍵盤数は100年以上変わらず88鍵のままです。
その理由は、これ以上音域を増やしても、人の耳が音程として聴き分けることができないためだと言われています。既にオーケストラの音域を十分に満たしているのです。
今でも進化を続けているピアノ。モーツァルトもベートーヴェンも、現代のピアノを見たらきっと驚くでしょうね。
この記事では、ピアノの歴史について少しだけ触れましたが、歴史について詳しく知りたい方はこちらをどうぞ→ピアノの歴史をたどってみよう
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。