小さなお子さんがそばにいて、ピアノがあれば、知っている曲を弾いてあげたい、そう思いませんか?メロディーと和音さえ弾ければ、曲の雰囲気は伝わって、目の前で弾いてくれることを子どもたちは喜んでくれます。
テレビやYouTubeで音楽に触れさせるのもいいのですが、目の前で、親しいあなたが弾いてあげることに価値があるのです。
「たいした練習もしないでそんなことができれば、最初からピアノに苦労しないよ」と思われるかもしれません。しかし、ポイントさえ分かれば、童謡や唱歌などをピアノで弾いてあげることは可能です。
そこでこの記事では、簡単なピアノ伴奏の作り方を紹介します。ブランクが長い方やピアノ初心者でもできる、とても簡単な伴奏の付け方です。
その方法を身につけると、お孫さんや、お子さん、甥っ子・姪っ子ちゃんたちの前でピアノを弾いて、すてきな時間を過ごせます。保育士さんで、ピアノを弾くのがあまり得意ではない方にもおすすめです。
もくじ
子どもは歌やピアノの音が好き
筆者が昔から、人見知りの甥や姪と仲良くなれたひとつの方法。それが、ピアノをひいてあげて、一緒に歌うこと。中には歌よりも身体を動かすことが好きな子もいいて、ピアノを聞くと、歌わないけど、踊りまくるような子もいました。
幼稚園・保育園に通い始めた子に、知っている曲をピアノを弾いてあげると、とても喜びます。童謡・唱歌はもちろん、テレビのアニメやお気に入りの曲でも楽しんでくれます。
これが実は、バイオリンやフルートなどの楽器だと、そうでもないのだそうです。それらは旋律楽器なので、基本的にメロディーしか弾きません。メロディーだけだと、和声(伴奏)がないので、曲の雰囲気が分かりにくいからだと思います。
その点、ピアノがメロディーと和声が表現できる楽器というのは楽器の中でも大きな特権ですよ。
ピアノ伴奏における「楽譜に忠実」よりも大切なこと
クラシックの曲は基本、作曲家のかいた譜面通りに演奏することがマナーです(初心者向けに簡単にアレンジされている譜面もあります)。
しかし、伴奏においては、楽譜どおりに弾くこと以上に大切なことがあります。それについて説明します。
ピアノ伴奏の意味
伴奏の大きな役割は、メロディーに足りない要素である「和声」を補ってあげることです。その役割を果たせるのであれば、必ずしも楽譜通りに弾く必要はないのです。特に、小さい子向けにひく歌の伴奏の場合、伴奏の譜面通りに弾く必要はありません。
大切なのは歌い手が歌いやすいように導いてあげること。楽譜通りに弾くことが優先になってしまい、リズムが乱れたりすることの方が問題です。
その代わり、メロディーと和音だけは、止まらずに弾くことが求められます。
では、楽譜どおりに弾く必要がないにも関わらず、なぜ伴奏の楽譜(大譜表/二段譜)が存在するのでしょうか。それは、和声のしくみが全く分からない人でも、その通りに弾けば、曲の雰囲気にふさわしく、曲が弾けるからです。
逆にいうと、曲の雰囲気さえ伝われば(=メロディーと和音さえ弾いてあげれば)、伴奏は自由に弾いて構わないのです。
すぐにひけることは大切
もちろん、すてきなアレンジ譜で事前に練習し、立派な伴奏することは素晴らしいことです。
一方で、「すぐに弾ける」状態でいることも大切。もし、目の前にお子さんがいて、何か弾いてあげたい!と思った時。それから楽譜を探して、「えーっと・・・」と譜面を読もうとしても、待っている間に、子どもはテンションが下がってしまいます。
知っている曲がピアノから流れたら、メロディーと和音(簡単な伴奏付け方)だけで、子どもは充分楽しんでくれます。簡単に、でいいのです。
楽しくひくこと
もし楽譜どおりに弾くことに必死で、あなたが音楽を楽しんでいなかったら、子どもたち側も楽しくありません。また、子どもたちの様子を見る余裕もなく、息つぎのタイミングや歌いにくそうなところがあっても、それを見逃してしまうかもしれません。
そうならないためにも、楽譜にくぎ付けで弾くことは避けたいこと。だからこそ、簡単な伴奏を付けることができると、大きな強みになるのです。
初心者向け、ピアノ伴奏の付け方
ここから、実際に初心者でもできる、ピアノ伴奏の作り方・伴奏の付け方について説明します。
音楽には「メロディー」と「和声」
音楽の大切な要素にはメロディー、和声(和音)、リズムがあります。
童謡や唱歌など、既存の楽譜を参考に、メロディーと和音をまず理解しましょう。
メロディーは「ドレミ」で歌えるようにしておくと、楽譜に頼る必要がなくなりますし、音感も身に付きます。
和音については「コード」が分かるととても便利です。「コード」とは和音を英語で表した言葉です。
下の写真のような記号を見たことがありませんか?これが、「コード」です。その小節の和音を表します。
もし、歌の伴奏譜を購入するときは、ぜひコードが書かれた譜面にしましょう。楽譜どおりに弾かなくても、すぐに伴奏が付けられますし、アレンジをする際も使いやすいです。
「コード」を理解しよう
「コード」とは和音のことです。和音は3和音以上のかたまりのことで、和音を表す記号のことを「コードネーム」と言います。
コードネームがあれば、「楽譜に音符が書かれていなくても、和音が分かる」ということになります。
ここでは1番なじみのある「ドミソ」の和音について説明します。下の和音をコードネームで表すと、全て「C」となります。
基本形は「(下から順番によんで)ドミソ」の形。同じように「ミソド」「ソドミ」も「C」のコードといいます。このように、構成する音が同じであれば、並びが変わっても同じコードを表します。
コードについてもっと知りたい方はこちら
簡単な伴奏パターン
超簡単な伴奏のパターンを3つ紹介します。ここでは「むすんでひらいて」の楽譜を例に説明します。下記の①〜③、全て左手パート(ヘ音記号の段)について述べています。
①コードをそのまま弾く
これが伴奏の中で1番簡単な形です。ここでは「C」と「G」2つのコードが使われています。
Gのコードの基本形は「(下からよんで)ソシレ」ですが、ここでは「(下から)シレソ」の順番で弾くのが弾きやすいです。
それはひとつ前の音と比べて、手の位置をそれほど変えなくていいからです(実際に弾いてみると、その意味が理解しやすいと思います)。
②アルペジオで弾く
和音を同時に鳴らす①の方法に対して、和音を1音ずつ順番に、連続的に弾く方法を「アルペジオ」と言います。バラバラに見えますが、使っている音は①の和音と同じだということが分かると思います。
③和音を分けて弾く
①の和音を分けて弾くパターンです。
①〜③までみて、いかがでしたか?伴奏の数をこなしていくと、簡単な曲は、少しずつ自分でコードが付けられるようにもなっていきます。
歌い始めのきっかけを明確にする
子どもたちが一緒に歌ってくれるとなると、歌の出だしが一目瞭然で分かるように弾く必要があります。
前奏として、メロディーの最後の4小節を弾くなどして、誰もが歌い始めやすいように弾いてあげましょう。
まとめ:簡単!初心者向け、ピアノ伴奏の作り方
ここまで、初心者でもできる簡単な伴奏の作り方について説明しました。
すでに市販の伴奏譜は沢山売られています。すてきにアレンジされてあるものもあります。しかし、音楽を楽しみたいお子さんがいる前では、楽譜に忠実に弾くよりももっと大切なことがあります。
その場で楽しく、すぐに弾いてあげることです。
メロディーと和音さえあれば、子どもたちはピアノの音を充分に楽しんでくれます。簡単でもいいのです。親しいあなたが、お子さんの好きな曲を弾いてあげることが、とっても意味のあることなのです。
そのために、普段からできること。メロディーは「ドレミ」で歌えるようにすることと、左手の伴奏のために、簡単な「コード」を弾けるようにすること。
子どもは歌うことやピアノの音が好きなので、ピアノがある環境であれば、ぜひ知っている曲を弾いてあげてほしいと思います。
それによって、あなたの身近にいるお子さんの音楽の世界をどんどん広げてあげてください。
それとともに、きっとあなたの音楽力も上がっていくはずです。ピアノにブランクがある方も初心者の方も、チャレンジしてみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。