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楽器の知識

ピアノの構造を知ろう

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ピアノは高音から低音まで音域が幅広く、メロディー、和音、バスなど同時に沢山の要素を奏でることができます。では、どのようなしくみで音が鳴るのでしょうか。

たとえば、ギターは弦を指や爪で弾きますし、バイオリンのような弦楽器は弦を弓で擦って音を出します。音が鳴る場所が直接見やすいところにあるので、楽器の構造や音が出るしくみが、比較的分かりやすいと思います。

ピアノの場合は構造上、それらが物理的に分かりにくい楽器です。弾いている時は、むしろピアノの内部は譜面台で隠れて見えないことが多いです。

そこで、この記事では、ピアノの構造や音が鳴るしくみを説明します。ここでいう「ピアノ」はグランドピアノやアップライトピアノなど、アコースティックのピアノのことを指します。

もくじ

グランドピアノの構造

ここではピアノの各部の名称を用いながら、グランドピアノの構造を紹介します。

各部の名称

譜面台・・・譜面を立てる台。不要な時はピアノから取りはずすこともできます。

鍵盤蓋・・・鍵盤の蓋。ピアノを弾かない時は閉じます。

側板・・・ピアノの側面の板。響板とともに共鳴します。

キャスター・・・ピアノを動かす時に使います。

大屋根・・・ピアノの音が出るフレームの蓋。大きく開けるとより、大きな音が出ます。閉じて弾くと、響きを抑えることができます。

前屋根・・・屋根の前の部分。蝶つがいがついており、折って開けます。普段は、「大屋根」とともに、「ピアノのふた」と呼ぶことが多いです。

突上棒・・・大屋根を開ける時に使う棒です。大きく開けたり、ほんの少し開けたりできるよう、長さの調整が3段階ほどできます。

ダンパーペダル・・・1番右のペダル。ペダルを踏むと、音を響かせることができます。

ソステヌートペダル・・・真ん中のペダル。踏んだ時に弾いていた音のみ、長くのばすことができます。(アップライトピアノの場合は、この場所にあるペダルはマフラーペダルと呼ばれ、練習の際に、音を小さくするためのペダルです。)

シフトペダル・・・1番左のペダル。小さく、ソフトな音にします。ウナコルダとも呼びます。

内部の名称

ピアノの弦には丈夫な鋼線が使われており、1本平均90キロという強い力で張られています。

グランドピアノの弦は、低音と高音がクロスする形で張られていて、そうすることで弦を長くして音量を増加させ、同時に低音の響きを豊かにすることが可能となりました。

内部を写真でみてみましょう。

響板・・・弦を響かせる木の板。

弦・・・弦が振動することで音が出るしくみです。音程が低いほど太くて長く、音程が高くなるほど、細くて短くなります。

駒・・・弦を支え、弦の振動を響板に伝える部品です。

フレーム・・・弦を支える金属板。弦を引っ張る力はとても強く、合計で20トン近くあり、それを支えています。

音が出るしくみ

ピアノの場合、音が鳴る場所は実際に見にくいところにあります。下の図はピアノの内部を真横から見た図です。

ピアノの鍵盤を押すと連動したハンマーが弦を撃ち、その結果、音が鳴ります。

さらに響板(大きな木の板)によって、楽器全体が共鳴し、音を大きく鳴らすのです。

ちなみにこのしくみのことを「アクション」と呼びます。

尚、昔のピアノは現代のようなアクションはなく、速い連打を演奏することは不可能だったそう。現代のピアノは、鍵盤が元の位置に戻る前に次の音を叩くことができるしくみになっています。そうすることで、速い連打やトリルを演奏することが可能となっています。

アップライトピアノ

アップライトピアノも基本的なしくみはグランドピアノと同じです。弦を縦に張ることで、奥行きをなくし、家庭でも練習できるよう、場所を取らないような形として作られるようになりました。

弦に合わせてメカニズムも縦なので、ハンマーをバネで戻します(グランドピアノのハンマーは、自分の力で戻ります)。そのため、グランドピアノのようなアクションを組みこむことが出来ず、グランドピアノほど速い連打ができないという欠点があります。

なお、グランドピアノもアップライトピアノも、木材やフェルトなど、天然素材でできているので、ピアノを弾かなくても、時間がたつにつれ音程が乱れてきます。そこで定期的に「調律」が必要となります。

まとめ:ピアノの構造を知ろう

ここまでピアノの構造と音が出る仕組みについて説明しました。普段よく練習する人でも、ピアノの内部は意識しないと見る機会はあまりないと思います。

練習に疲れた時など、時々はピアノという楽器そのものに目を向けてみるのはどうでしょうか?違った角度でピアノが奏でる音楽を感じることができるかもしれません。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。