楽譜がやっと読めるようになったかと思えば、曲がレベルアップするにつれ増えていく楽譜上のシャープ(♯)やフラット(♭)の数々…
黒鍵が多くなると、苦手意識が強くなったりしませんか?
ここではピアノ初心者の方や、レベルアップを目指している方へ、「黒鍵」をもっと身近に感じられる練習方法をお伝えします。
もくじ
黒鍵とは
黒鍵とは、ピアノの黒い鍵盤のことを言います。
黒鍵は、楽譜上ではシャープ(♯)やフラット(♭)で表されます。①音符のすぐ左側に書かれているものを臨時記号、②ト音記号やヘ音記号のすぐ右側に書かれているものは調号といいます。
なお、調号は基本、その楽譜全ての音符に有効です。例えば、上の楽譜では調号として「ファ」にシャープがあるので、楽譜中の「ファ」には全て♯をつけてひきます(「ナチュラル記号」が付く場合を除く)。
調号でシャープ(♯)やフラット(♭)の数が多いほど、楽譜を読むのが厄介だと感じる人は多いのではないでしょうか。
スケール(音階)とカデンツの練習をしよう
ピアノの基礎練習を行う中で、「スケール」や「カデンツ」の練習は定番です。この練習をすることにより、ある程度、調号に慣れることができます。
ピアノの基礎練習が学べる『ハノンピアノ教本』の中にも、スケールの練習があります。下記の譜面は「ハ長調のスケール」です。
ハ長調の「音階(スケール)」の最後には「カデンツ」があります。
この練習は難しいのですが、とても良いテクニックの練習になると同時に、調性のしくみまで理解できるようになります。そして、どの音にシャープやフラットをつければいいのか、感覚的に分かるようになります。
※なお、この「ハノン」のシリーズはお子さんや初心者向けにやさしく編集された教本が多くありますが、中にはこの「スケールとカデンツ」の記載がないものもあります。購入する時は、書店などで手にとって、よく確認することをおすすめします。
小学校高学年以上や初心者でも大人の方は、「全訳ハノンピアノ教本」を1冊持っておくのも良いかもしれません。ピアノ学習者にとっては何十年と使用できる必需品だからです。
スケールの練習についてもっと詳しく知りたい方はこちら→ピアノでスケール(音階)を練習しよう。
音階上の和音の練習をしよう
『音階上の和音』は、とってもシンプルです。まずは1番やさしい、「ハ長調」で説明します。
ハ長調の音階と和音
前項「スケール」の1部となる、「ハ長調」の音階を見てみましょう。
音階の音を基準(根音)とし、7つの音それぞれに、上に3度の和音と5度の和音を足して3和音にします。
これらの和音を「音階和音」といいます。ハ長調は調号が何もつかない調、つまり黒鍵も使わない調号なので、初心者にも弾きやすい和音ですよね。1音目、「ドミソ」を弾いたら、その指の形のまま、となりに平行移動していけば、楽に弾けます。
前項の「スケール」「カデンツ」とともに、「音階和音」の練習をすることは、とってもおすすめです。
♯がつく音階の例(ト長調)
シャープがつく場合の調について説明します。シャープが1つの長音階をト長調といいます。その時、シャープは必ず「ファ」につきます。「長音階」とは、明るい響きの音階のことです。
この音階の音を全て三和音にすると下のようになります。譜面上の見た目は「ハ長調」と似ていますね。ただし、調号を忘れないように弾くことが必要です。
さらに調号が増えていくごとに、難しいと感じると思います。しかし、何度も練習すれば、その調にふさわしい黒鍵を、頭で考えなくても弾けるようになっていきます。
「音階和音」は英語で「ダイアトニックコード」と呼ぶ
これまで説明した、音階上の和音(音階和音)のことを、英語では「ダイアトニックコード」と呼びます。この言葉は主に、ポップスやジャズなどのジャンルで使われます。
復習になりますが、音階和音(ダイアトニックコード)は、下のように、1つの調につき、7つの和音がありました。
そのうち1つめ、4つめ、5つめの和音は特に大事で、「主要三和音」といいます。
なお、主要三和音は、前述の「カデンツ」の和音と構成音がほぼ同じです。つまり、「カデンツ」も、音階和音の中で、とても大切な和音から成り立っているということが言えます。
ちなみに、簡単な伴奏付けも、この3つの和音で、おおよそは対応できます。
音階和音(ダイアトニックコード)を練習する必要性
一般的にピアノで必要とされる基礎練習として、スケール(音階)、カデンツ、アルペジオ、オクターブの練習などがあります。これらは、よく指の基礎練習の教本でも紹介されています。
一方、「音階和音」を練習する必要性について言及している教材は、正直、あまり見かけません。そのような理由からか、この練習によって、苦手を補えることを知らない人も、意外と多いと思うのです。
しかし、音階和音を全ての調で弾けることは大切だと感じます。音階上の全ての三和音を弾きながら、瞬時に調号の音を弾く訓練ができるような基礎練習は、他にはないからです。
ピアノは、頭で理解すべきこともありますが、手の感覚で慣れることがとても大切。
それにより、自然と指がふさわしい音へ向かうようになります。つまり、音階和音が身につくと、楽譜上での「調号」にも慣れ、黒鍵に対する苦手意識を減らすことができます。
ぜひこの音階和音(ダイアトニックコード)を、スラスラ弾けるまで練習しましょう。筆者自身、この練習を沢山やることによって、調号によるミスタッチがとても減りました。
まとめ:ピアノ初心者のための、黒鍵と仲良しになる方法。
ここまで、黒鍵と仲良しになる方法についてお伝えしました。
黒鍵は楽譜上では、「♯」や「♭」ととして表されます。「臨時記号」であれば、ほぼ毎回、楽譜に表示されます。
「調号」として弾く場合は、ト音記号やヘ音記号のとなりにしか表示されないので、慣れるまでは、譜面を読むことがとても大変です。
その時に必要な練習が定番の「スケール(音階)」や「カデンツ」の練習。
さらには「音階和音(ダイアトニックコード)」の練習をするのが、良い方法だとお伝えしました。
「音階和音」の練習については、一般的な基礎練習として、取り上げられていないのが現状。そのためか、この練習によって、苦手が補えることを知らない人も多い印象があります。
しかし効果は抜群です。
ぜひこの音階和音の練習を多くの調で練習し、黒鍵に対する苦手意識を少しでも減らしていただけたら幸いです。
あなたのピアノライフが素敵なものになるよう、応援しています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。