どんな分野でも上達するには、継続的な練習が必要です。特にピアノは、週に1度のレッスンとは別に、家での練習も必要となります。
そしてよく言われるのは「ピアノの練習は1度に長時間するより、短時間でも毎日やる方がよい」ということ。
はたして、本当にそうなのでしょうか。
この記事では、ピアノは毎日練習するべきか、という問いについての筆者なりの答えと、その理由についてお伝えします。
もくじ
ピアノの練習は毎日すべき?
結論からいうと、必ずしも「YES」ではありません。その理由について説明します。
子どもの場合は毎日がよい
お子さんについて言うと、ピアノは毎日練習した方がよいでしょう。それは、習慣づけをするためにもなるからです。
子どもが何かを継続して成し遂げることは、その子自身の大きな成長になります。ピアノがきっかけで、他のことにも自信が持てるようになるかもしれません。また、音楽の道に進むことにつながるかもしれません。
このように、子どものピアノ習得には様々な可能性があります。
その際「習慣化」はとても強い味方。ピアノが1度習慣化されると、ピアノに向かうエネルギーは最小限ですみますし、がんばらずに前進できる方法となるのです。
そのため子どもにとっては、毎日練習することがおすすめです。
また、教員免許や保育士の資格のために早く上達する必要がある人も、可能な限りは毎日の練習が必要です。言うまでもありませんが、練習すればするほど、上達するためです。
一方で、プロを目指すわけでない限り、大人のみなさんは、無理に毎日する必要はありません。仕事、家庭など、自分だけの時間が取れないことが多いと思います。自分のペースでOK。
「毎日練習しないと、指が動かなくなる」わけではない
毎日練習しないと、指が動かなくなったり、動きを忘れたりする、という考えの人もいます。
確かに筆者自身、長期に渡って長時間練習する日が続くような時期は、1日空くだけで、指が鈍くなったように感じることがあります。特にテクニカルな練習や、ハードな練習を長時間した時です。そういう時は、1日練習しないだけで、指が重く感じたり、後もどりしたように感じたりします。
しかし、その「ハードな練習の時期」を除けば、少々練習しない日があっても、腕が落ちた感じがすることはほとんどありません。
「毎日練習しないと指が鈍る」というのは、普段から超ハードな練習を、長年続けている人の言葉なのではないかと思います。
毎日短時間&週末まとめて練習、どちらがよい?
同じだけ練習するなら、下記の①と②の練習パターン、どちらがよいでしょうか。
①週に一回、70分練習する
②10分の練習を毎日(10分×7日=70分)する
一般的には②の方がいい、という答えが多いかもしれません。少なくとも筆者は、②を推奨している人を多く見かけます。正直、ずっとそれが疑問でした。
ピアノは練習の度に「ウォーミングアップ」が必要です。その日初めて弾く時は、指は思うように動きませんよね?動かしていくうちに、やっと指が動くようになっていく。今あなたができる最良の指の動きになるまで、少し時間がかかるものです。
たとえば1日10〜20分の練習となると、そんなに多くのことはできません。そうなると、弾き始めて、やっと「指がピアノに慣れてきた、さあこれから!」と思った時に、練習が終わってしまいます。
そうなると、毎回「上達への手応えがない練習となってしまう可能性」があります。
一方、ハノンなどの指の練習(テクニカルな練習)を行い、指のコントロールがより自由になった後に楽曲を練習する。そういった練習を行った方が確実に上達への変化も実感できます。
つまり、たとえ毎日できなくとも、長めに練習し、『のってきた』と思えるくらいまで、まとめて練習した方がよい場合もあるのです。
ここで誤解しないでいただきたいのは、1度に1時間以上練習しないと意味がない、ということではありません。「毎日欠かさず練習しなきゃ。」と気負う必要はない、ということをお伝えしたいのです。
ピアノを練習する上で大切なこと
前述のように、ピアノの練習は「毎日続けること」ばかりが大切なのではありません。それよりも、自分に合った時間の使い方を工夫し、「無理なく続けられること」こそ、いい方法です。
そして限られた時間の中ですから、質のいい練習をすることが大切です。
練習時間に応じた、ふさわしい方法をお伝えします。
短時間の練習を毎日する時は
毎日、10〜20分という短い時間しか確保できない人の練習としては、短い範囲を確実に弾けるように練習することがよい方法です。
長い範囲をざっくりと練習すると、所々間違えてしまったり、雑になったりしてしまい、なかなか上達しにくいです。
わずか1段、1小節でも、「片手ずつで正しく弾く」「正しく両手で弾く」など、正しい音・リズムで丁寧に練習することです。それが積み重なっていくことで、短時間でも確実に上達します。
週末にまとめて練習する時は
長時間練習をする時は、集中力が切れる前に、休憩をこまめにはさむようにしましょう。
また「時間がある」と思い、何となくの練習をやってしまうと貴重な練習時間が無駄になってしまいます。曲が仕上がるまでは、通し弾きは少なめに、部分練習を多めに行いましょう。やはり、「正しく」「丁寧に」練習することが大切です。
なお、可能であれば、平日に1回でも追加で弾くことができれば、週末に長めに練習したことがより記憶に残りやすくなります。
そうなると、約1週間ぶりに練習する際、感覚を取り戻すのに、「10分かかっていた」ものが、間をはさむことによって、「5分ですむ」など、時短につながります。
普段の生活でできる工夫
ピアノに向かわずとも、普段の生活でできることがあるとすれば、指のストレッチです。
意外と気がつきにくいことなのですが、身体が硬い人は、手が大きい人でも指が開きにくいので、「オクターブが掴みにくい」などのちょっとしたハンデがあります。
たとえピアノに毎日触れなくても、お風呂に入った時など、指の間を無理なくストレッチし、練習できる時の負担を最小限にするのもよい方法です。
まとめ:ピアノは毎日練習が必要?練習に大切なこと。
ここまで、ピアノは毎日の練習が必要なのかということについて説明しました。
もちろん、ピアノは練習すればするほど上達します。しかし、仕事、家庭などで多忙な中、「毎日練習しなきゃ!」と気負う必要はありません。
毎日、短時間しか練習できないのであれば「週末に少し長めに練習する」というスタイルでも充分、上達できる理由があるということです。
無理なく続けられること、また質のよい練習をすることの方がより大切です。
ぜひ自分にふさわしい方法を見つけて、ピアノライフを楽しんでいただきたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。