カテゴリー
ピアノ初心者向け

ピアノ初心者はまず何からやるべき?

Pocket

ピアノを学習するにあたって、初心者はまず何から手をつけるべきなのでしょうか。

初期の段階で、正しいやり方でピアノと向き合うことはとても大切なことです。正しい方法で練習に取りくむことで、無理なく長時間の練習が続けられるようになりますし、響きのある美しい音が出せるようになるからです。

ここでは、ピアノ初心者がまず知っておきたい、基本事項について紹介します。

 

もくじ

ピアノの正しい弾き方

ピアノは何も考えずにおさえても音が鳴ります。しかし、たくさん練習を重ねても、ピアノに向かう姿勢が適切でないと、美しくてよく響く音を出すことはできません。

ピアノを弾く上で大切な、正しい弾き方を紹介します。

身も心もリラックス

ピアノは、身体に力が入るといい音が出ません。心がリラックスし、身体がほぐれた状態を心がけましょう。普段、家でくつろいでいる時の、身も心も程よく力が抜けた状態を日頃から意識してみてください。その感覚を、ピアノを弾く時に思い出すようにしましょう。

ピアノに向かう姿勢(座り方)

ピアノは88鍵あります。イスに座るときは、鍵盤の端から端まで届くよう、身体が自由に動けるような座り方をする必要があります。

浅すぎると安定しませんし、深すぎると自由が利きません。身体を安定させ、自由に動すために、お尻は尾てい骨を中心にしっかりと重心を下ろし、上半身が安定するように座ります

腕と手の位置

腕は、ひじから手首までが、鍵盤に対して水平にし、低くなりすぎない過ぎないよう気をつけましょう。ひじは体より前になるようにします。この時に、手首に力が入らずに、緩まった状態を保ちます。また、イスの高さや、鍵盤と身体の距離は、この腕の体勢によって決まります。

足の位置

両足はペダルを使わない時は、肩幅くらいに広げます。ペダルを使う時は、右足はペダルを使うために前方に出ているので、左足は身体が安定するように少し手前に置くようにすると良いでしょう。

指のフォーム

ピアノを弾く上で、正しい指のフォームを身につけることはとても大切です。自然な形のアーチを作り、ピアノを打鍵してもその形がキープできるようにします。

指はどのくらい曲げて弾くか

正しい指のフォーム①

①鍵盤と指の角度が45度くらいが望ましい

正しくないフォーム②と③

②指先が立ちすぎる❌

③指先がつぶれている❌(無意識にそうなりやすい)

皆さんがパソコンでタイピングする時、またはスマホやタブレットの画面を触る時の指は上の写真のうち、どれでしょうか?きっと写真①に近い形になっているはずです。それが、自然な指の形だからです。②や③ですと、操作がしにくいと思います。

ピアノの鍵盤を打鍵する時、もっと重みが必要なので、つい初心者が無意識のうちになってしまうのが③です。「スマホの操作とは別もの」と考えているかもしれません。しかし、ピアノに触れる時も基本は同じです。自然な指の形で弾くことが、長時間、美しくいい響きで弾くことにつながるのです。

②や③では、良い音を出すことができません。手の中から指先まで、自然なアーチを作ることで、どの音へも指から鍵盤へいい重みが伝わるのです。

指番号の大切さ

ピアノの鍵盤は88鍵盤。10本の指で弾くには、効率のよい指の動かし方が必要となります。

楽譜には通常、その曲を弾くためにふさわしい指番号が記されています。これを指づかいといい、大切な要素であるため、初心者であるほど、譜面の指づかいを守る方が上達します。指づかいをおろそかにしてしまうと、ミスが増える原因につながります。

ピアノを弾くときは、下の写真のように手を左右に置きますね。中央の親指から小指に向かって、1、2、3、4、5と左右対称になります。番号をそのまま覚えましょう。

時には、譜面とは別の指づかいの方が弾きやすいと感じることがあるかもしれません。また、楽譜の出版社によって、指づかいの表記が違う場合もあります。そういう時はいくつか試してみて、自分にとって最適なものを選び、楽譜に書き込みましょう。毎回、同じ指づかいで練習することが大切です。弾くたびに、違う指づかいになると、とても効率が悪い練習となってしまいます。

音階(スケール)の練習

ここからは音階(スケール)の基本を知り、それを使って、基礎練習をしましょう。音階で使われる指づかいは定番の指づかいなので、守ることが鉄則です。

音階(スケール)とは

鍵盤には12種類の高さの音があります

音階とは言葉通り、「段」のことであり、12種類の高さの音を、ある規則で順番に並べたものです。ここでは、1番最初に覚えやすい音階、「ハ長調」で学びましょう。

ハ長調…ハ(ド)の音を主音とする長調のことです。♯やフラットがつかない調号なので、初心者でも取りくみやすいです。

主音…その調の音階の最初の音のことで、ハ長調でいうと「ド」のことです。

調号…ト音記号やヘ音記号のすぐ隣りについている、♯や♭のことです。ハ長調とイ短調には、調号はつきません。

ハ長調の音階

音階を使った練習はなぜいいの?

指の準備運動でも使われる音階練習。この基礎的な技術を身につけると、曲にふさわしい正しい指づかいができるようになります。また、色々な楽曲で音階に近い音型が、度々登場します。つまり、音階を弾けるようになると、初見譜読みがしやすい、楽曲分析がしやすい、など、曲の練習、勉強にとても役に立ちます。

初見…楽譜を初めて見て、その場で出来るだけ止まらずに、最後まで弾くことです。

譜読み…初めて弾く曲の楽譜を正確なリズム・音符で、ある程度通して弾けるようになるまでの作業です。

指くぐりと指こえ

ドから1オクターブ上のドを片手で弾こうとすると、途中で指が足りなくなります。そこでスムーズに弾くための練習が必要となります。それが音階の練習をすることで身につけられます。

音階の難しさは1の指を2、3の下へ送り込むこと(=指くぐり)と、1の指を他の指が越えていくところ(=指こえ)にあります。どの調の音階でもその方法は同じです。

ちなみに、送りこんだ1の指を打鍵したら、すぐに手の甲は次のポジションに移動するようにします。逆に、1の指を他の指が超えて弾く場合は、この逆の動作を行うことになります。

「指くぐり」のフォーム

1の指が2と3の下をくぐっている

「指こえ」のフォーム

3の指が1の指をこえている

ハ長調の音階(スケール)の練習

それでは、きれいな指のフォームを意識して、下の楽譜どおり、ゆっくり弾いてみましょう。右手で弾けるようになったら、左手も同じようにやってみます。

ハ長調の音階/右手

ハ長調の音階/左手

音階の練習は、まずこの「指くぐり」と「指こえ」がスムーズにできるようになることが、上達へのポイントです。この動きは多くの曲で、当たり前のように登場する動きです。音階の練習が上手になると、その調の感覚が掴めるようになる上に、ピアノを弾くテクニックとしても、とても役に立ちます。つまり曲を仕上げる上でも、とても効果的な練習方法なのです。

片手ずつ出来るようになったら、両手でも合わせて弾いてみましょう。

音階の指づかい(黒鍵はじまり)

この記事では、全ての調は紹介しませんが、調によっては、音階に黒鍵が登場します。音階の指づかいでは、黒鍵を弾くときは、1の指は最少限の使用にとどまることが暗黙のルールです。ですので主音が黒鍵始まりの調は、1以外の指でスタートすることになります。

例えば、調号がフラット2つの「変ロ長調」の場合。下記の譜面を見てみましょう。主音であるシ♭から始まっているので、右手、左手ともに、1音目は、1の指以外の指でスタートしています。右手は2の指から、左手は3の指から、となっています。ちなみに赤は、「指くぐり」「指こえ」をする場所です。

変ロ長調/右手 2の指から始まる

変ロ長調/左手 3の指から始まる

音階では、他の調においても、黒鍵は1の指を使わないような指づかいとなっています。楽曲においては、まれに使われることはありますが、やはり最小限にしか使われません。

音階の練習はハノンの「ピアノ教本」を参考に

音階の練習は前項で一部、紹介しましたが、練習する調が増えるほど、とてもいい練習になります。

他の調を練習する指づかいは、ハノン「ピアノ教本」の音階(スケール)のページを参考にするとよいでしょう。

ハノンにはお子さん向け、または大人初心者向けに易しく編集したものもありますので、楽器店で楽譜を手に取って自分のレベルに合わせて購入するといいと思います。

なお、ハノンの音階練習は前項で取り上げた「1オクターブ」ではなく、4オクターブ(版による)の長めの練習になっています。

最初のうちは♯(シャープ)や♭(フラット)が2つずつくらいの調までをまずマスターし、それから少しずつ増やしていけばOKです。

この練習は時間をかけてでもマスターする価値があります。調の感覚や音感が身につき、ピアノがとっても身近になるからです。

少しステップアップできる方はこちらの記事もどうぞ→ピアノでスケール(音階)を練習しよう。

ハノンの「ピアノ教本」は、スケール以外でもピアノを弾く上で身につけると役に立つテクニック練習が、とても多く集約されており、ピアノ学習者には定番の教本です。→ピアノ上達ヘの道!ハノンを効果的に活用する方法

まとめ:ピアノ初心者はまず何からやるべき?

ここまで、初期の段階で身につけたい、ピアノの基礎について紹介しました。

ピアノの練習を長きに渡って続けるためには、初期の段階で正しいピアノの弾き方を身につける必要があります。普段の練習でそれが出来ていると、美しく、豊かな響きで演奏できるようになるからです。

また、音階(スケール)の練習をすると、指の訓練ができるのと同時に、調の感覚が身につき、効率のよいテクニック練習となります。これは、楽曲を練習する上でもとても役に立つものです。教本としてはハノンの「ピアノ教本」の音階(スケール)を参考にするといいでしょう。

ピアノが弾けるようになると、人生がさらに豊かになります。皆さんのピアノライフが楽しいものとなるよう、応援しています。最後まで読んでくださって、ありがとうございました。