ピアノはとてもデリケートな楽器です。気持ちよく練習するために、また長く使い続けるためには、定期的な管理が必要となります。
そのひとつが「調律」。ひと言で言えば、ピアノのチューニングであり、健康チェックのようなものです。
この記事は、調律をする必要性について説明します。
もくじ
ピアノの調律とは?
グランドピアノやアップライトピアノ、つまりアコースティックのピアノ(生ピアノ)には調律が必要です。その理由を説明します。
ピアノの調律は健康チェックとチューニング
ピアノは木、フェルト、金属などからできています。日々の演奏や温度・湿度などの気候の影響で、それらの状態が変化します。そのため、ピアノ全体の調子を整えるための作業が定期的に必要です。
温度・湿度などの変化で、ピアノの弦が伸縮するため、音程も狂ってきます。そのため、鍵盤ごとの音のピッチ(高低)を正す音作業が必要となります。
尚、音は空気の振動です。空気が、1秒間に何回振動するかをHz(ヘルツ)という単位で表します。中音部の「ラ」は440〜442Hz(ヘルツ)が一般的。この数値が大きいと音は高く、小さいと低い音となります。
ピアノは自分でチューニングできないの?
弦楽器や管楽器は演奏の度に、奏者がそれぞれチューニングします。オーケストラの演奏で、曲が始まる前にステージで、1人のバイオリニスト(コンサートマスター)を基準に、音を合わせている光景を見たことがある人もいるでしょう。
ほとんどの楽器は、普段からその場で奏者がチューニングし、音程を調整します。
一方、ピアノは自分ではチューニングできません。そもそも、弦の数が弦楽器とは比べものになりません。バイオリンは弦が4本ですが、ピアノはなんと、鍵盤の数より多い約220本も!
ピアノのチューニングは、専門的な勉強と訓練を積んだ調律師でないとできないことなのです。
調律しないとどうなる?
調律にはお金もかかりますし、定期的な調律をついつい見逃すことも。
しかし、調律をせずに放置をすると、ピアノに良くありません。音程の狂いだけでなく、部品の不具合が起こることもあります。放置すれば、さらに他の部品にまで影響が出てしまいます。
そのため、定期的な調律が必要なのです。
調律中はずっと付き添いが必要?
一般家庭では、調律は年に1度が平均ですが、楽器の年数、前回の調律からの年数、部屋の温度・湿度管理、などによっても異なることもあります。
調律時間はピアノの状態にもよりますが、平均約2時間ほど。付き添いは最初と最後だけでOKです。
ピアノの状態で気になることや希望があれば、必ず最初に伝えましょう。仕上がりの弾き心地は、持ち主であるあなた自身でチェックしましょう。
終了時、調律師さんの時間が許すようでしたら、お茶を出して差し上げると丁寧です(お茶をピアノの上に置くことは絶対に避けましょう)。
調律後の試し弾き、何をチェックすればいい?
調律が完成した時、「(ピアノを)チェックしてください」と言われることがあります。
この時は、ピッチ、タッチ、音色など弾き心地に違和感がないかを、楽器の持ち主がチェックするわけです。正直、何をどうチェックしたらいいの?と戸惑うかもしれません。
確認として、両手オクターブで下から半音ずつ弾いていくという方法があります。ユニゾン※で弾くと、ピッチのずれは一目瞭然で確認しやすいです。それで違和感なければ、おおよそ問題なしだと思います。
タッチや音色にこだわる人は、自分のレパートリーを弾いて試すのもいいでしょう。ただし、楽曲を弾くことは、全ての鍵盤を使うわけではないので、ピッチの違和感に関してチェックすることは難しいかもしれません。やはり「両手オクターブ」で、チェックすることをお勧めします。
※ユニゾン・・・複数人でひとつの旋律を歌うこと。楽器演奏では、複数の楽器で同じ音との旋律を演奏することを言う。ピアノでは、同じ音を異なるオクターブで同時に弾くこと。
まとめ:ピアノの調律は何のため?
ここまで、ピアノの調律をする必要性についてお伝えしました。調律とは、ひと言でいえば、ピアノのチューニングでもあり、健康チェックのようなものです。
日々の温度・湿度などの変化や演奏などにより、ピアノは少しずつ音程が狂ってきますし、楽器の中の状態も変化していきます。
音程や修理が必要なところを放置しておくと、不具合が起こることもあり、定期的な調律が必要となります。一般家庭では平均で年に1度がお勧めです。
本来ピアノは、長く演奏できる楽器です。専門家によるお手入れを定期的にして、より寿命を長くしてあげてください。
あなたのピアノライフが充実したものになりますように。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。