子どもの習い事の定番のひとつであるピアノ。始めるのは、小学校入学前から、という人は実際多いです。しかし、もっと成長してから、さらには大人になってから始めた場合、はたして上達できる楽器なのでしょうか?
ピアノ上達には大切なポイントがあります。それらのポイントをおさえて練習すれば、初心者でも、大人でも、確実に上達します。
この記事では、初心者でもレッスンに通わずにピアノ学習を進められる方法について紹介します。
もくじ
ピアノの独学は可能?
ここでは、ピアノの独学が可能である理由を、いくつかに分けて説明します。
他の楽器に比べて
「ピアノ」は何も考えずに鍵盤を押さえても、必ず何かしらの音が鳴ります。しかしバイオリンのような弦楽器を、全くの初心者が音を出そうとするのは非常に難しいことです。サックスのような管楽器も、最初の1音を鳴らすまでには時間がかかります。初心者がすぐに「ド」の音を出せるわけではありません。さらに管弦楽器ともに、音程(ドレミ)を作るのは自分の技術次第となります。つまり、管弦楽器は正しい指導者のもとで、一定期間の指導を受ける必要があります。
ピアノは初心者でも、すぐに「ド」の音を出せますし、音程を作る必要はありません。そういう意味で、初心者でも挑戦しやすい楽器といえます。
あなたは全くの初心者ではない?
あなたがバイオリンやサックスは弾いたことがなくても、学生時代に何かしらの鍵盤楽器は触ったことはあると思います。鍵盤楽器とはピアノのような「鍵盤」を持つ楽器のことで、ピアノ以外に、鍵盤ハーモニカ、キーボード、オルガン、電子ピアノ、シンセサイザーなどがあります。特に鍵盤ハーモニカはほぼ全員が経験者ではないでしょうか?その経験があるということは他の楽器に比べるとピアノはとても身近な楽器といえます。
今からでもピアノを習得できる理由
ピアノを始めてみたいけれど、右手と左手が同時に違う動きができるのか、5本の指それぞれが動くのか、指を見ずに弾けるのか…など不安に感じる人はいると思います。
では他の作業におきかえて考えてみましょう。パソコンのタイピングは少し訓練すれば、速く入力できるようになります。また昔はスマホの操作が難しいと感じていた人でも、今では器用に操作していると思います。
人はいくつになっても、学習し、継続することで、沢山のことが習得できるようになります。それと同じようにピアノも練習を続ければ、必ず弾けるようになるのです。
一見、幼少期から始めないと難しいのでは、と思われるピアノ学習。むしろそれ以上の年齢になって自分の意志で始めることにより、上達が早い人は多いです。それまでの人生経験により、様々な分野で「学ぶ方法」が身についていますし、理解力が早く、興味・関心があるからです。だからこそ独学でも習得できるのです。
最近ではインターネット上の情報や動画で初心者でもわかりやすく学べる方法が紹介されていますし、通販や書店でDVD付の教材もあります。まずは好きな方法で初めてみましょう。
楽器はキーボードや電子ピアノでもよい?
グランドピアノやアップライトピアノなど、アコースティックのピアノの響きにかなうものはありませんが、キーボードや電子ピアノでも充分に練習はできます。
場合によっては、キーボードや電子ピアノの方が都合がよいかもしれません。私は引越の可能性がある為、今は電子ピアノを置いています。種類にもよりますが、スタンドと別売りのタイプであれば、不要な場合は専用のケースに入れて物置にしまうこともできますし、家以外の場所で演奏もでき、可能性が広がります。値段としては電子ピアノ本体で、5万円弱だったと記憶しています。それでも十分、練習はできています。
できればピアノと同じ88鍵あるものが選ぶと、音域が制限されず、クラシックでも何でもひくことが可能なのでおすすめです。
独学でピアノを始めるメリット
ここでは、独学でピアノを始めるメリットを紹介します。
費用が安い
独学では教室に通うための費用がかかりません。基本的に必要なのは楽譜代、教則本代のみです。
レッスンに通う場合は、まず毎回の交通費がかかります。そして月謝は月3~4回で¥6000~10000前後。また入会金、管理費がかかる場合もあります。充分に練習ができなかった場合でもレッスン日はやってきますので、定期的な出費がかかります。
マイペースで進められる
教室に通う場合は往復の交通時間がかかり、レッスン時間は拘束されます。また急な用事が入った時にキャンセル料をとられてしまう教室もあります。
独学であれば、先生や教室との相性を気にしなくていいですし、自分のペースで楽しく練習できます。リスクはありません。
教室選びに迷っている人は、ひとまず独学で、少しでも早くスタートすることをおすすめします。
学習教材の選び方
ピアノの学習のための教材は沢山出版されています。習う人によって色々なレベル・目的があるので、なかなかベストなものを探すのは難しいかもしれません。
楽譜に慣れるという意味では、「自分より少し上」くらいのレベルの教材がよいでしょう。簡単すぎると退屈ですし、難しいと挫折してしまいます。「バイエル」など、曲に名前がないものより名前のついている曲が最初のうちはよいかもしれません。曲名により具体的なイメージが湧きやすいからです。その音楽の方向性を少しでも感じとった上で練習できるとよいでしょう。
しかしもし憧れの曲があれば、少々難しいと感じてもぜひチャレンジしてみましょう。計画的に取りくむ必要があり、時間はかかりますが、成し遂げた時の達成感は大きいと思います。「弾く喜びを感じる曲か」ということは、教材を選ぶ上で大きなポイントとなります。
他にもインターネット上で沢山の情報を知ることができますので、参考にするとよいでしょう。ただしネット上では、内容の詳細までは見ることができません。ですので、近くの楽器店や書店に足を運び、実際に本を手にとってみましょう。情報に加え、音符の大きさやレイアウトなど「この楽譜の大きさなら挫折せずに続けられそう」という見ための印象から選ぶことも、続けられるかのポイントとなります。
ピアノの独学練習方法
ここでは実際に、どのような流れで練習していくのかを紹介します。
理想の姿勢・指のフォームを知る
スポーツであっても一流選手ほど、正しくきれいなフォームをしているものです。ピアノの座り方、指の形にも同じことが言えます。
正しい座り方・指のフォームで練習を続けることにより、響きのある美しい音を出せるようになりますし、無理なく長時間練習が続けられるようにもなります。
正しい座り方についてはこちら→ピアノの姿勢は大切!椅子の高さを合わせよう。
正しい指のフォームについてはこちら→ピアノを弾く指のフォーム〜まむし指とはおさらば
楽譜の読み方を覚える
中には楽譜を読めずにピアノをひける人もいますが、それは音感がすでに備わっている人の場合であり、まれなケースです。
楽譜がよめると、聴いたことのない曲・知らない曲でもひけるようになります。また一度ひけるようになって、数年たって忘れてしまったとしても、楽譜があればまた同じ曲がひけます。
最初はよみ方を覚えるまでに時間がかかるかもしれませんが、よめるようになると確実に音楽の世界が広がります。まずは小学校の音楽の教科書レベルからで大丈夫!よめるようになるまで、少し頑張ってみましょう。
正しい指づかいで譜よみをする
楽譜のよみ方が分かってきたら、譜よみをすすめていきます。「譜よみ」とは初めてひく曲の楽譜を正確なリズム・音符で、ある程度通してひけるようになることです。ただ楽譜をよむ(ながめる)という意味だけではありません。
始めは片手ずつ、せまい範囲でゆっくりと音を拾います。その際に「指づかい」は楽譜に書いてある「指番号」を守るようにしましょう。そうしないと、効率のわるい動きをしてしまい、譜よみに余計な時間がかかってしまいます。
「指番号」とはピアノの場合、1〜5まであります。
1:親指 2:人さし指 3:中指 4:薬指 5:小指
楽譜上の指番号は上記の通りにひくことになります。ちなみに、楽器によって指番号は異なります。
練習の習慣を身につける
たとえわずかでも、毎日ピアノに向かうことが理想です。ただ平日は仕事や家事で思うように時間がとれなかったり、疲れて身体が言うことをきかないこともあるでしょう。
そういう時は週末に、まとめて練習するようにしましょう。目標を明確に立てて取りくめば、必ず上達します。「時間ができたらやる」と思っていては、なかなかその時間はやってきません。自然にピアノに向かえるまでは、意識的に習慣化させましょう。
練習の習慣化についての例
・毎日、時間を決めて取りくむ。
・帰宅後、どこにも腰を下ろさずに、ピアノのイスに座る。
・毎日のルーティーンの前後に、練習時間を組みこむ。
(毎日のルーティーン:例えば、食事・おふろ・ハミガキなど)
・週末に何時から何時、と予定の中に組みこむ。まとまった時間が取れる場合は、時間を区切って細かく練習内容の目標・プランを立てる。
わずか毎日15分、週末1時間であっても1か月、2か月、半年…継続すれば、必ず上達します。
ポイントは、続けられる条件で取りくむことです。やる気が起きなければ、5分だけ、1小節だけ…などハードルを低くしましょう。あなたにとって、簡単すぎる条件でやることが、続けられるコツです。
忙しい人にとっては、移動時間やリラックスタイムを利用する工夫も必要です。ネット上で音楽の知識をとり入れたり、動画の中から心ひかれる曲を探したりすることも、音楽性が上がる=ピアノの上達につながります。
またピアノに向かわずに、音感をきたえる方法でピアノの上達を早めることという方法もあります。これは別の回で詳しく紹介します。
独学でピアノへの意欲を継続させる方法
最後に、ピアノへのモチベーションを保つ方法を紹介します。
ピアノは他の楽器に比べ、ただでさえ「孤独な楽器」だとよく言われます。基本的に一人で演奏するものだからです。練習時間は一人ですし、つい怠けてしまったり、集中力が散漫になってしまいます。
ましてや独学の場合は、他人からの強制力がないので、意欲が失せてしまいがちになるのは仕方のないことです。
ここでは、少しでもやる気が継続する方法を紹介します。
目標の曲、曲集をピックアップする
あなたがピアノを始めたいと思ったきっかけの曲は何だったでしょうか?憧れの曲、何となくひいてみたいと思っていた曲、などをすべて書きだしてみましょう。また楽器店や書店で気になった曲集があれば「この1冊、全て制覇する」ということも目標のひとつにしてもよいでしょう。
それらをピックアップしたら、完成させたい期間を設定し、練習計画を立てましょう。
インターネット上でお手本を見つける
動画を見て、お手本となる人を見つけたり、レパートリーにしたい曲の候補を探すこともいい方法です。上手な人を参考にすることも必要ですし、あなたと同じくらいのレベルの人の練習の様子を参考にすることも励みになります。
練習成果を録画(録音)する
取りくんでいる曲が完成に近づいたら、録画(録音)しましょう。自分で演奏を聴くことは勇気がいりますが、録画することで、沢山の気づきに出合えます。
ピアノをひきながら自分の音を客観的に聴くことは、想像以上に難しいことです。だからこそ、録画で自分の音を聴くことは、上達への一番の方法と言っても過言ではありません。
録画(録音)する→課題を見つける→修正する
この作業をくり返し行うと、更にレベルアップを目指せますので、ぜひ試してみてください。上達するためには、とても効果的な方法です。私自身もこれまで何度もその方法を実践し、効果を実感しています。
自分の音を客観的に聴く緊張感により、モチベーションが上がります。
身近な人に聴いてもらう
演奏を披露する場所がなくても、家族や友人など、身近な人に聴いてもらうことなら、実行しやすいと思います。
聴く人はあなたの味方ですが、それでも人前でひく緊張感が生まれます。その機会を持つだけで、何倍も練習にやる気が出ます。また不思議なことに、その後、あなたのピアノのレベルは上がります。演奏の世界では「100回の練習より1回の本番(ステージ)」という言葉もあるくらいです。
ともにがんばる仲間をつくる
友人や職場の同僚で、あなたと同じようにピアノをがんばっている人を探してみましょう。見つからない場合は、ピアノを始めたことを公言すると、いずれ仲間現れるかもしれません。
またインターネット上で同じようにがんばっている人の練習日記のようなブログを読んだり、練習動画を見ることも励みになります。一人でもそのような人を探してみましょう。一方的に知るだけでも、刺激になるはずです。
まとめ:ピアノ初心者でもできる独学練習方法
今回は、初心者でもレッスンに通わずにピアノ学習が進められる方法について紹介してきました。
すでに述べた通り、ピアノは他と比べるととても身近な楽器です。楽譜の読み方を覚えれば、音楽の世界が広がりますし、練習次第で沢山の曲をひくことが可能となります。
正しい姿勢や指のフォームで練習し、練習の習慣を継続させることで、必ずピアノがひけるようになります。
ピアノをひく喜びを知って、あなたの生活がさらに豊かなものになるよう、応援しています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。