「ピアノが嫌い」、それって、なかなか大人からは聞かないフレーズだと思いませんか?
そういう言葉は、主にピアノを習っているお子さんからの発言ではないでしょうか。
そもそも、なぜピアノが嫌いなのでしょうか?
この記事では「ピアノが嫌い」という言葉の本当の理由と、その克服方法について説明します。
もくじ
ピアノの何が嫌い?
一言で「ピアノが嫌い」と言っても、一体ピアノの何が嫌いなのでしょうか?
①ピアノの音 ②ピアノの見た目 ③ピアノの練習 ④ピアノのレッスン ⑤ピアノの練習をしなさいと親からガミガミ言われること・・・
お察しだと思いますが、ほとんどの人は③か⑤です。自分の意思で習い始めたわけでもないピアノの練習を、毎日強制的に練習させられる。
それにうんざりしてしまうお子さんが多いのはよくある話です。
ピアノの音は好きだし、ピアノが弾ける友達がいると「あんなふうに弾けたらいいな」とは思う。しかし、実際に練習を強制されると、やりたくない。実際に、そういう子は多いものです。
つまり、多くの「ピアノが嫌い」発言というのはピアノの練習が嫌い、または、練習しなさいと言われるのが嫌い、ということ。
練習することが身についていない子の中には、下手なピアノを誰かに(親ですら)聞かれることが恥ずかしいと感じる子もいます。練習を強要されることに加え、不完全な自分のピアノを鳴らすことがダブルでフラストレーションとなってしまうのです。
そのため、残念ながら「練習しなさい」という言葉は、なかなか自発的に練習することには結びつかないことが多いのが事実です。
ピアノの練習が嫌いな主な理由とその克服方法
子どものタイプによって、練習へのやる気が起きる方法というのも異なります。
練習が好きになれない理由にはいくつかあると考えられますが、主に考えられる理由と対処法を説明します。
多くのピアノ嫌いの理由はズバリ!
練習の習慣が身につく以前に、練習を強要される
この理由が圧倒的に多いです。
親の願いとしては、「せっかく高い月謝を払うのだから、きちんと練習をして、上達して欲しい。」そう思うでしょう。それは当然のことです。
しかし子どもの立場からすると、「ピアノが弾けても何も得しない。」「練習より、ゲームやテレビの方が楽しい。」「何のために練習するのか分からない。」そういう声が聞こえてきます。
弾けるものなら弾きたいのが本音
「何のために練習するのか分からない」と思っていても、親の意思で習い始めたとしても、もしすぐにスラスラと弾けるなら、実は、ほとんどの子はピアノは好きなんです。多くの子どもたちは、ピアノの音は好きなものなんです。
ただ、理想と現実のギャップが埋まらず、「弾けるまでのイメージができていない」「嫌な練習をするくらいなら弾けなくてもいい」それがピアノを練習しない理由なのです。
欲しい物や成功体験、それを手に入れるための面倒なことはできるだけ省きたい。出来ることなら、手っ取り早く手に入れたい。そう思うのは子どもだけではなく大人も同じではありませんか?ただし大人は、価値のあるものは手に入れるまでに、苦労や努力が必要であることが、経験上わかっています。
だから、子どもに対しては、大人のサポートが少しばかり必要だったりするのです。
練習する場合と練習しない場合の差
「週1回30分のレッスン時間だけしかピアノに触らない場合」と「毎日30分練習する場合」、やはり上達には差が出ます。
【1週間にピアノに触れる時間の比較】
①練習しない場合 レッスンの30分×1日=30分
②毎日練習する場合 レッスンの30分×1日+レッスン日以外の30分×6日=210分
毎日練習すれば練習しない時と比べて、単純に7倍の速さで上達するのです。その「上達する感覚」をまずは、ピアノ学習者全員に味わって欲しいと思います。それを知らないうちは「ピアノ嫌い」と呼ぶにはまだ早いですよ。
「練習すると楽しくなる」という感覚を知ることがポイント
ピアノは、練習すると弾けるようになります。弾けるようになる感覚を味わうと、ピアノが楽しくなります。この段階にきて初めて、「ただピアノの楽しさを知らなかっただけ」なのか、「やはり、この子はピアノ嫌い」なのか、ということを判断していいと思います。
楽しく感じることができた時は、子どもは力を発揮し、上達速度が目まぐるしいものとなります。子どもは吸収力が大人よりもずっと高いからです。
ピアノを習慣化することの大切さ
ピアノの練習を継続させるには、「練習の習慣」を身につけることが大切です。習慣化できると、エネルギー最小限で、ピアノに向かうことができます。
気分が向いた時にやろうとすると、これまでと同じように「練習しなさい」という声かけが必要になってしまい、逆効果です。また、せっかく自分から練習しようかという気持ちになりかけていても、先に親に言われてしまうと、やる気が失せてしまいますよね。
毎日学校に行くの同じように、ピアノの練習も毎日の習慣にしてしまいましょう。学校から帰宅して、手を洗ったり、おやつを食べたり、宿題をしたり、夜ご飯を食べたりするその前後に、「ピアノの練習」という習慣を組み込んでしまうのです。
どの順番であれば、取り組みやすいか、それは本人の性格によるかもしれません。
「お楽しみは後にとっておくタイプ」であれば、帰宅後、手を洗ったら、ピアノの前に座る。または、ピアノの練習の後におやつを食べる、など、マイルールを決めます。
「宿題の方が先に取り組みやすい」タイプなら、それが終わったらピアノに向かう、と決めるのもいいと思います。可能な限り、お子さんの意思を尊重しましょう。
本人が決めたことであれば、よほどのことがない限りはルーティーン化できます。最初は大変かもしれませんが、慣れれば、無意識で行動できるようになります。
また練習の習慣が身につくまでは、「練習時間」より「練習の回数」をノルマにした方が、集中できるかもしれません。
小さいお子さんの場合は、更にハードルを下げて、本人が続けられるくらいのノルマを一緒に決めましょう。
少し続けると、「練習すれば上手になるんだ」という感覚が体感できます。それが感じられれば、しめたもの。楽しいと感じられることがピアノの継続には1番大切ですから。また、その小さな成功体験の積み重ねによって、頑張った先に上手になる自分がイメージできてくると、さらに自分の意思でピアノ練習したいと思うようになります。
努力したことを誉めてあげよう
人は誉められることに喜びを感じます。特に伸び盛りの子には誉めることは効果大です。
しかし、何でもかんでも誉めればいい、というのは少し違うかもしれません。お子さんの性格にもよりますが、多くの子は、元々出来ていることよりも、努力したこと、頑張ったことに対してほめられることに、より喜びを感じます。
たいして頑張ったわけでもないことをほめられるのは、居心地が悪いとさえ感じる子もいます。
一方で、初めてのことに勇気を出してトライしたり、出来なかったことが出来るようになったり、そういう部分を誉めてもらうことは、喜びにつながります。またこれからも色々なことにチャレンジしよう、とい意欲が湧いてきます。
そのようなほんの些細なことがきっかけで、ピアノ嫌いどころか、意欲的にピアノにとりくむようになる子もいます。
ピアノ嫌いの他の対策方法
前述以外に、ピアノ嫌いを緩和させる方法を紹介します。
沢山の音源を聴いて、音楽の世界を広げよう
今はYouTubeやSNSなどで無料でも沢山の音源が聴ける時代です。興味を持てそうなピアノのお気に入りの曲を探してみましょう。ピアノの曲に限らず、他の楽器を聴くことも勉強になります。
クラシック音楽、ポップス、ジャズ、などあらゆるジャンルの曲を聴いて音楽に対する興味を広げてみましょう。
特に、クラシック音楽はお勧めです。数百年の歴史を超えて愛され続けてきたジャンルで、言わば、現代に受け継がれた、厳選された音楽とも言えるものだからです。
身近に憧れやお手本を探す
ピアノ教室や学校に、ピアノが上手な人やお手本となるような人はいませんか?また、ピアノを頑張っている友達を探してみましょう。誰かいるものです。
YouTubeなどで、とても上手な人の演奏を聴くこともいいですが、もっと身近にいませんか?
もしネット上でそういう人を見つけるとしても、「手の届かない存在」というよりは、「少し頑張ればあの人みたいになれる」そういう身近に感じる存在が、とても励みになります。
まとめ:ピアノが嫌いな理由とその克服方法
ここまで、ピアノが嫌いな本当の理由とその克服方法について説明しました。
ピアノが嫌い、という発言は、主にピアノを習っている子どものフレーズだと考えます。
ピアノの練習が強制になっているが故に嫌いになってしまっているパターンがほとんどです。
しかし、ほとんどのお子さんは「ピアノの音が嫌い」ではないです。「練習する」という過程を回避できるのであれば、「スラスラとピアノを弾いてみたい」そういう願望があるはずなんです。
その理想と現実のギャップを埋めるためには、やはり「練習」に限ります。
練習をすると、必ず上達し、ピアノを弾ける楽しさが体感できます。
しかし練習を「継続させること」が難しい。
だからこそ、練習は習慣化させるのがいい!毎日の日課となれば、最小限のエネルギーでピアノに向かうことができるからです。自分が無理なく続けられる方法をいくつか試してみましょう。お子さんは順応性があるので、その気になれば、習慣は必ず身につきます。
身につくまでは、お家の方は少しだけ、声かけのサポートをしてあげましょう。
習慣化してしまえばしめたもの。ピアノの楽しさが分かれば、子どもの上達は早いです。
そうやって子どものうちにピアノや音楽の楽しさを知って、人生を通して、学びを糧にして欲しいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。