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ピアノ上達に向けて

「ただ弾いているだけ」のピアノにならないために

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ピアノのレッスンで、「ただ弾いているだけの演奏になっている」などと、先生から言われたことありませんか。筆者は何度もありました。

楽器って言葉がないから難しい。しかし、中にはおしゃべりしているかのように表情たっぷりにピアノが弾ける人もいますよね。

筆者はそのための方法が分からず、長年苦労しました。ピアノを続ける限り、その課題は続くと思いますが…

この記事では歌心のない筆者でもできる、『ただ弾いているだけのピアノ』にならないための方法について説明します。

もくじ

なぜ「ただ弾くだけ」になってしまうのか

ピアノの音色はとても美しいけれど、一方でとても損な楽器といえます。

他の楽器の多くは、メロディーや自分のパートにだけに集中すればいいですが、ピアノは音楽のあらゆる要素を担当しなければなりません。メロディー、伴奏、合いの手(ハモリなど)、バスパートなど・・・

そのため、ピアノの楽譜には膨大な数の音符があり、楽譜を鍵盤上に移し替えるという行程だけでも、十分に大変な作業です。「弾くだけで精一杯」となるのも無理はありません。

クラシックの曲は、楽譜通りに弾くことがもちろん基本。作曲家の意図を楽譜から読みとり、音楽として形にしなければなりません。

しかし、音楽的にピアノを弾くためには、楽譜を正確に弾くだけでは足りないのです。ピアノに限らずですが、楽器の学習の最終的な目標は「自分で作り出す音楽」だからです。

音楽のしくみを理解すると随分変わる

ピアノは音楽の要素、ほぼ全てを1人で担うため、他の楽器奏者よりも、さらに楽譜の内容をしっかり読みとる必要があります。そのための方法について説明します。

弾く前に音楽の内容を理解する

楽譜に書かれている内容を理解することは、練習する上でとても大切なことです。

楽譜を見て、メロディー(旋律)、伴奏、副旋律(合いの手など)、バスの役割を理解する。そして、メロディーを中心に、全体の音楽の流れを理解する。そうするだけで、それぞれのパートをどのように弾くことが大切かが見えてきます。

この作業を、実際に音を出す前に確認することがポイントです。

音楽の流れや呼吸を考える

メロディーを音楽の流れの中で、どう歌うべきかを考えます。実際にメロディーを、声に出して歌ってみると分かりやすいです。難しい場合は、メロディーパートのみ、弾いてみてもOK。

例えばですが、音型がだんだんと上昇していく場合は、そこに記号がなくても、クレッシェンド気味に弾くことが自然です。もちろん例外はありますが、音楽には暗黙のルール的なものが存在しますから、初心者の方は、メロディーをどのように歌うべきか、先生に指導してもらうとよいでしょう。

また、歌や管楽器と違って、ピアノは実際に「呼吸」をしなくても弾けてしまう楽器です。そのため、どうしても「音楽的な呼吸」を忘れがちになってしまいます。

どんな楽器であっても、歌う時と同じように、音楽は呼吸するのが自然です。呼吸は指にも音にも影響します。

「フレーズの切れ目で呼吸する」など、歌う時と同じように呼吸します。長いフレーズでは長く、静かなフレーズでは静かに、激しいフレーズでは鋭くなるはずです。やはりここでも、メロディーを実際に歌ってみると感覚が掴みやすいと思います。

メロディーに応じた伴奏を考える

言うまでもなく、音楽の主役はメロディーです。伴奏では、主役を目立たせるために相応しい弾き方をする必要があります。

具体的にはメロディーを引き立たせるために、伴奏をどのような音質・音量で弾くべきかということですね。バランスが大切です。

基本的には、伴奏は和声を担当します。和声感は大切にし、メロディーがある場所では、基本的には極力出しゃばりすぎないことがポイントです。

バス(ベース)も大切な存在

メロディーの次に大切なのは、実はバス(ベース)です。低音部が響くと、音楽全体に深みが増します。逆に、バスをおろそかに考えると、薄っぺらい音楽になってしまいます。

ピアノはメロディーのような高音域も担当できるし、バスのような低音域も担当できる。それって、ものすごい可能性のある楽器だと思いませんか。

テクニックよりも大切なこと

ここまで説明したように、音楽のしくみを理解してメロディーを歌うことはとても大切です。これらを意識すると、あなたのピアノの指先のテクニックがこれまでと同じであっても、奏でるピアノの表情はガラッと変わります。

楽器を学習する上で大切なのは、いかに指をコントロールできるかということよりも、「自分で作り出す音楽」です。

自分の意思を持って豊かに表現をすれば、多少のミスなんて、聴いている人にとっては案外気にならないものです。正しい音よりも大切なことが、音楽にはたくさんあるからです。

まとめ:「ただ弾いているだけ」のピアノにならないために

ここまで、『ただ弾いているだけのピアノ』にならないための方法について紹介しました。

心を込めて弾いているつもりでも、言葉ほどに反映されないのがピアノの難しいところです。その気持ちが、音としてあらわれないといけません。

音楽のしくみを理解し、メロディーをどう歌うか、それに相応しい伴奏の弾き方も重要でした。

また呼吸も大切です。歌うように呼吸すれば、だんだんと歌うように弾けるようになっていきます。

生き生きと表情豊かに弾くためのヒントはまだまだあります。形にすることは難しいですが、ここで紹介した内容は、方法の一つとして試してみてくださいね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。