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大人の趣味ピアノにハノンや練習曲は必要?

大人の皆さんが趣味でピアノをやる場合、楽しむことが前提なので、スパルタな練習なんておそらく必要ないかと思います。

とはいえ、テクニック的な練習をどこまでやるのが理想的なのでしょうか。

この記事では、大人の趣味のピアノ学習に「ハノン」や「練習曲」が必要かどうか、またそれを練習するとどんなメリットがあるのか、説明します。

楽曲の練習はほとんどが部分練習

憧れの曲は、人それぞれ違うと思いますが、どの楽曲を弾くにしても、好きな曲を弾きたいのであれば、時にはテクニックの練習が必要となることがあります。

楽曲の練習というのは、通し弾きをするのはかなり最後の仕上がりの段階です。練習時間の多くは、テクニックを磨くための部分練習となります。

そのために、普段からハノンや練習曲で練習することは、とても役に立ちます。そのような練習をしていれば、楽曲で同じようなテクニックが求められた場合に、練習が最小限で済むからです。

大人の趣味としてのピアノは、もちろん楽しむことが前提です。なのでテクニカルな練習をやることは必須ではないけれど、やってみると上達が早くなり、よりピアノが楽しくなること間違いなしです。決して損はしません。

指のテクニック練習「ハノン」

ピアノの定番の指練習の教本、「ハノンピアノ教本」。これには指を動きやすくするための、あらゆる訓練の方法が載っています。

全ての練習をする必要はありませんが、この練習を日頃からやっておくと、指が1本ずつ独立しやすくなったり、音のつぶが揃いやすくなったり、という沢山の効果が期待できます。

またこの本にある「スケール(音階)」や「アルペジオ」の練習も大切で、これをやると楽曲の譜読みが速くなります。楽曲の多くは、スケールやアルペジオの応用となっているパッセージが多いからです。

例えば、下の楽譜を見てみましょう。バッハの「メヌエット」(ト長調)です。スケールの一部分となっている音型があります。

①と②はト長調のスケールの一部。

③は、「ド」の音に臨時記号が付いてニ長調に転調してしています。ニ長調のスケールをハノンで練習していれば、この部分も比較的すぐに譜読みができるということになりますし、「転調している」という変化もすぐに読み取れ、譜読みがしやすくなります。

「ハノン」は子ども用や大人用もあります。自分のレベルに合ったハノンを、ぜひ毎回の練習の指ならしに活用されてはいかがでしょうか。

※譜読み・・・初めて楽譜を見てから、ある程度すらすらと弾けるようになるまでの作業行程のこと

練習曲の例

練習曲の定番のひとつに、「ツェルニー練習曲」があります。易しい順に、100番、30番、40番、50番・・・となっています。

ツェルニーの練習は「機械的で退屈」と思う学習者は多いようです。しかし、この練習曲を作ったツェルニーさんは、かの有名な「リスト」の先生だった人。リストが超絶技巧と呼ばれるような派手で素晴らしい演奏ができるようになったは、きっとツェルニー先生のおかげなのです。

「ツェルニー30番練習曲」の一部を紹介します。この曲は、メロディーの音を長めに弾きながら、同時に右手で伴奏の役割も担っています。

このように、右手でメロディーも伴奏パートも表現するようなテクニックは楽曲でもよく出てくる音型の一つ。この練習曲で訓練しておくと、いつか役に立ちます。

尚、50番くらいになると難易度はものすごく高くなり、メロディーラインも明確なので、かっこいい曲も多いですよ。

まとめ:大人の趣味ピアノに練習曲やハノンは必要?

ここまで、大人の趣味のピアノに「ハノン」や「練習曲」が必要かどうか、またそれを練習するとどんなメリットがあるのかということについて説明しました。

ハノンのピアノ教本や練習曲は、指が思い通りに動くためのテクニック的な練習をするものです。この練習を日頃から行うことにより、楽曲に出てくる難しいパッセージなどの練習を補うことができます。

大人の趣味としてのピアノは楽しむことが前提なので、テクニカルな練習をやることは必須ではないけれど、普段から行うことで上達が早くなります。ピアノの楽しさをより感じるためには、一見退屈そうなこれらの練習がものすごく役に立つ、だからオススメなのです。

あなたの音楽ライフが充実したものとなりますように。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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ピアノ初心者向け

ピアノを弾く指のフォーム〜まむし指とはおさらば

ピアノにおいて、正しい姿勢や指のフォームで弾くことはとても大切なことです。

特に小さなお子さんや初心者の方は、指先の力が弱く「まむし指」になってしまうことがあります。

ゆっくりな曲を弾くうちは、それでも問題ないかもしれませんが、長く続けるうちに支障が出てきます。

支障を感じ始めた後に修正することは、簡単ではありません。そのため、正しい指のフォームはピアノを習い始めた初期の段階で身につけることが大切です。

この記事では、正しい指のフォームについて説明します。もうまむし指とは、おさらばしてしまいましょう。

ピアノを弾く姿勢はいつも「自然体」

そもそもピアノを弾く姿勢というのは、人間の身体にとって、自然な状態に近いもの、と考えてよいでしょう。

例えば、部屋でのんびりくつろいでいる時を想像してみましょう。肩や手首に無駄な力は入っていないと思います。

指に関しても同じです。普段、リラックスしている時の指の形。スマートフォンの画面を触る時の、丸みを帯びたような指の形。それがあなたにとっての自然な指の形、つまりピアノにおいても「理想の指のフォーム」なのです。

そのフォームで練習を続けると、ピアノの打鍵に無駄な力が不要で、響きのある美しい音が出せるようになります。

正しい指のフォームの例

前項で説明した「自然な指の形」を踏まえて、正しい指のフォームを見てみましょう。

写真①     自然な形のアーチを作ります。鍵盤と指の角度が45度くらいが理想。「指の腹」の部分で打鍵します。

自然なアーチを作ることで、どの音へも指から鍵盤へいい重みが伝わります。ピアノを打鍵してもその形がキープできるようになればOKです。

正しくない指のフォーム

次に、正しくない指のフォームを見てみましょう。

指先が立ちすぎる

写真② 爪にも当たりやすく、鍵盤に接する指の面積が小さいので、安定しません。特に黒鍵を弾く時は滑りやすくなり、望ましくありません。

指の関節がへこむ「まむし指」

写真③ 指の関節がへこんでしまう「まむし指」です。この形だと、鍵盤の深いところまでしっかり打鍵できず、芯のある美しい音が出せません。

ゆっくりの曲では問題なく感じるかもしれませんが、速い打鍵では支障が出ます。ある程度上達してからの改善は大変なので、初期の段階で正しいフォームを身につけることが大切です。

ピアノでは「まむし指」になってしまう人でも、そのうちの多くはスマートフォンを扱う時は「自然なアーチ(正しいフォーム)」の形ができているのではないでしょうか?

それができるのであれば、ちょっとコツを掴めば、ピアノでも必ず正しいフォームで弾けるようになります。

自然な指の形で弾くことが、長時間、美しくいい響きで弾くことにつながるのです。コツを掴むまで、やってみましょう。

まとめ:ピアノを弾く指のフォーム〜まむし指とはおさらば

ここまで、ピアノを弾く時の正しい指のフォームについてお伝えしました。

ピアノにおいて、正しい姿勢や指のフォームで弾くことはとても大切なことです。

しかし、お子さんやピアノ初心者は、正しくない指のフォーム「まむし指」になってしまうことがあります。

ゆっくりな曲を弾くうちは、それでも問題ないかもしれませんが、長く続けるうちに必ず支障が出ます。

正しい指のフォームは、ピアノを習い始めた初期の段階で身につけることが大切ですし、その方が効率もよいです。

そもそもピアノを弾く姿勢というのは、人間の身体にとってとても自然な状態に近いもの。

コツを掴めば、そんなに難しいものではありません。

まむし指とはおさらばして、正しい指のフォームを身につけましょう。そして自分の好きなピアノ曲を少しでも美しい響きで弾き、素敵な時間を過ごしてください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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ピアノの姿勢は大切!椅子の高さを合わせよう。

スポーツであっても一流選手ほど、正しくきれいなフォームをしているものです。

ピアノの練習においても、正しい座り方・指のフォームにより、無理なく長時間練習が続けられるようになりますし、響きのある美しい音をひく大切なポイントにもなるのです。

この記事では、ピアノを弾く時の最適な姿勢と椅子の高さについて説明します。

 

ピアノの正しい姿勢とは

ピアノは88鍵あります。そのため、イスに座るときは、鍵盤の端から端まで届くよう、身体が自由に動けるような座り方をする必要があります。

正しい座り方は下の絵の通りです。

①身体を安定させ、自由に動かすために、骨盤を中心にしっかりと重心を下ろします。そして、上半身が安定するように座ります。

この時、重心が安定していないと、高音域や低音域のどちらかに両手が集中した時に、椅子から落ちそうになり、演奏に支障が出てしまうことがあります。

そして、背筋は適度に伸ばします。猫背になったり、反らしすぎないようにしましょう。

②腕は、ひじから手首までが、鍵盤に対して水平、またはひじが少し上になるようにします。ひじが低くならないよう気をつけましょう。この時に、手首は力が入らずに、ゆるんだ状態を保ちます。

③大切なのは、イスに座るとき、重心のバランスを取ったら、肩から下(腕、ひじ、手首)はしっかりリラックスさせることです。腕の重みを指に伝えて指でしっかり打鍵するようなイメージで弾きます。

④ペダルを踏むときは、上の絵のように、右足はペダルの上、左足は少し手前に置き安定させます。

ペダルを使わない時は、両足とも肩幅くらいに広げて床につけます。お子さんの場合は、足が床に届かないので補助台などを使って、足が床に着くようにしましょう。

椅子の高さを調整しよう

前項で、ピアノの正しい姿勢について説明しました。理想の椅子の高さや、鍵盤と身体の距離は、この「正しい姿勢」によって決まるので、それに合わせて椅子の高さを調整するようにしましょう。

もちろん、ピアノの椅子は高さが調整可能のものを使うことが大切。お子さんは成長と共に椅子の高さが変わっていきますし、大人でも正しい姿勢で練習するには椅子の調整が必要となるからです。

ピアノ教室で習う場合は、特に初心者の方には、先生が姿勢について教えてくださることが多いと思います。もし、それについて言及されない場合は、(あなたの姿勢のままで)特に問題ナシ、ということなのかもしれません。念のため、椅子の高さや姿勢の面で問題ないか、尋ねてみましょう。

いずれは自宅以外のピアノの椅子も調整できるようになることが望ましいです。普段と違う椅子の高さでピアノを弾くのは、あなた本来の力が発揮できず、残念な演奏になってしまうからです。

発表会のステージなど、特に人前で弾く機会がある時には、必ずそのピアノの椅子を調整できるようになっておきましょう。

まとめ:ピアノの姿勢は大切!椅子の高さを合わせよう。

ここまで、ピアノを弾く時の最適な姿勢について説明しました。

ピアノに限らず、多くの分野で「姿勢」は基本です。ピアノはスポーツのように「脱力」することも大切なので、いかに正しい姿勢・フォームで練習するかで上達にも差が出ます。

また、無理なく長時間練習が続けられるようにもなりますし、響きのある美しい音をひくポイントでもあります。

そのためには、椅子の高さも大切です。人によって体型が違うため、個人差はありますが、自分にとって適切な椅子の高さを知ることで、上達への道のりを最短にしてしまいましょう。

あなたの音楽ライフが素晴らしいものになるよう、応援しています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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ピアノ初心者向け

初めてピアノを習うときの、先生の選び方のポイント。

以前、知人から相談されたことがあります。「7才の子どもにピアノを習わせてみたいけれど、先生をどういう基準で選んだらいいのか分からない」と。

確かに、家の近所に音楽教室の看板を見かけても、その先生の情報を知らない限り、門を叩く勇気は出ませんよね。音楽的な知識がなければ、なおさらだと思います。

この記事では、ピアノを初めて習う時の先生の選び方のポイントについてお伝えします。お子さんにも、大人の初心者さんにも共通する内容です。

長く続けられるかどうか

どんな分野でもそうですが、ある程度長く続けないと、その道の楽しさや奥深さを知るところまで辿りつきません。それを知る前にやめてしまうことになっては、習う本人の可能性がゼロとなってしまいます。それは子どもでも大人であっても、とても勿体無いことです。

ピアノはある程度上手に弾けるまでに、時間がかかる楽器です。出来るだけ長く続けて、まずは可能性を伸ばすことが大切です。そのための方法について紹介します。

「ピアノが楽しい」と思えるレッスンかどうか

お勧めしたいのは、純粋に「ピアノが楽しい」と思えるレッスンかどうか、ということです。

「毎回のレッスンの時間が楽しい」「またこの先生に会いたい」などと思えるような先生であれば、十分に最初の先生選びの合格点を満たしていると思います。

大切なのは、長く続けられることです。毎週のレッスンが楽しければ、よほどの理由がない限り、きっと長続きするでしょう。

仮にピアノ教室が遠く、行き来が大変だとしても、「レッスンが楽しい」と思えれば、物理的な距離は、そこまで大きなハードルにはならないものです。

先生の音楽的レベル・指導力は選ぶ基準ではない?

「先生の音楽的なレベルや指導力的なことは、選ぶ基準にしなくていいの?」、と気になるかもしれませんが、初めてピアノを習う時は、それほど重要視しなくてもいいでしょう。もちろん、それらのレベルが高いに越したことはありませんが、優先順位は低くてもOK。

もし長く続けていくうちに、「もっと専門的なことを学びたい」「ピアノや音楽関係の道に進みたい」などと考えるようになったら、ピアノの先生に相談すればよいでしょう。

指導内容の見直しを考えてくれるでしょうし、場合によっては、もっと専門性の高い先生を紹介してくれることもあります。

テクニック的な面は後から、いくらでもステップアップが可能です。

直接、問い合わせてみる

大手の音楽教室では、情報をホームページ上で公開してありますので、気になれば簡単に情報を入手できます。

一方、個人のピアノ教室の情報はあまり知ることができません。近所で気になっているところがあれば、問合せしてみると良いかと思います。近所であれば、通いやすいので、門を叩いてみて、相性が合う先生であれば、とてもラッキーなことです。

事前に確認しておきたい情報

先生の人柄もよく分からないまま、その先生に習うかどうかを決めるのは、かなり不安が多いと思います。

そこで、事前に確認できることはしっかり問い合わせをしましょう。その教室の情報を知ることは、無理なく続けられるかの判断材料になります。

必ず以下のことを確認しておくとよいでしょう。

・1レッスン当たりの時間

・レッスンの候補日・時間帯(曜日と時間が固定制かも含めて)

・月当たり(年間)のレッスン回数

・月謝の料金

・振替やキャンセルの可否

問合せをしてしまうと、その後、入会しないといけないのか、というプレッシャーがあって、なかなか問合せをためらってしまうかもしれません。

しかし、問合せをする時に、「(こちらから)何を伝えるべきか」「(習うに当たって)何を確認するべきか」そういう内容を準備しておけば、大丈夫です。

例えば、問い合わせの段階で「ピアノもまだ持っていません。楽器選びの相談も乗ってくれますか?」「ピアノを習うかどうかすら迷っています。」「実は他にもいくつか体験レッスンをお願いして、ピアノ教室選びをしているところです。」「練習を毎日するか不安です。」など、正直にあなたの心境や状況を伝えるのもひとつの方法です。

あなたのその素直な迷い・現状に対して、どれだけ真摯に向き合ってくれるかどうか、それも先生の人柄が分かるポイント。レッスンという実践的な指導面だけでなく、問合せに対する先生の対応そのものも、その教室を選ぶ判断材料にしてしまいましょう。

体験レッスン可能かどうか

個人のピアノ教室では、体験レッスンの募集は大手の音楽教室ほど大々的にはしていないかもしれませんが、問い合わせするとだいたいの教室ではやってくれるはずです。

先生側も、どんな生徒さんなのかを知る必要があります。体験レッスンを受けたからといって必ず入会すべきということではありません。気軽に受けてみましょう。

先生の指導方針を知る

先生自身がピアノの指導に関してどのような考え・方針なのかを知ることも大切です。

「いい先生」「悪い先生」ということではなく、習う本人や親御さんの求めている理想と近い先生なのかを知ることが大切なのです。

例えば、大きく分けて以下のような先生がいるとします。

①音符の読み方さえ分かるようになればOKな先生

②楽しさを重視し、練習しなくても怒らない先生

③楽しさを重視しつつ、基礎力アップも目指し、ある程度の練習を求める先生

④コンクールへの挑戦を薦めるような高いレベルを指導する先生

まず、④のような高いレベルを指導をする先生は、あまり一般の募集はしていないことが多いです。音楽関係者の紹介、という形で師事することになるパターンでしょう。

楽しめればいい」というだけの目的であれば、②のような先生で良いと思います。練習をしなくても怒られませんし、楽です。ただし、ピアノの上達への速度は期待できないかもしれません。なお、②の中には①のような先生も、時々含まれます。

一方で、ある程度、しっかり学びたいのであれば、③のような先生が理想となるわけです。その場合は、毎週の練習は必要です。努力した分、形にしてくれる先生がよければ、このような先生が良いでしょう。

このように、親御さんや習う本人が、どのような先生が理想なのか、選ぶ基準を明確にしておくと、先生選びに迷いがなくなると思います。

先生の指導方針や人柄を見抜く方法

問合せや体験レッスンだけでは、先生の方針がよく分からなかったという場合、「練習時間はどのくらい必要ですか?」と聞いてみましょう。

そうすると、その先生が生徒に何を(どのくらいのレベルを)求めているのか(=指導の方針)をお話ししてくれるかもしれません。

ピアノ学習は、週1度のレッスンだけでは上達に限界がありますから、毎日の練習は基本です。小学校低学年でも30分程の練習が理想です。

それを基準に、「練習はしなくてもいいよ」と仰る先生なら、上達の速度は期待できない先生なのかもしれません。一方、練習時間が短くてOKという先生だったとしても、その理由や根拠についてちゃんと述べてくだされるのであれば、あなたは納得するかもしれません。

正解はありませんが、その先生が、ただ「楽しいだけのピアノ」を目指しているのか「楽しさを教える中に、基礎の習得もしっかり目指す」先生なのか・・・

先生の考えを知ること

習う前に、それを知ることができれば、習い始めた後に「こんなはずじゃなかった」となる可能性は少ないはずです。習い始めてからのギャップを最小限にするためにも、こちらの想いを伝えることと、先生の考え方を確認することは理想です。

そこまで神経質になる必要はないですが、「先生のことを知りたい」、そのためのコミュニケーションのひとつという意味でも、問合せや体験レッスン終了までに、可能な限り質問し、その先生の雰囲気や人柄を感じとるようにすればいいのです。

まとめ:初めてピアノを習うときの、先生の選び方のポイント。

ここまで、初めてピアノを習う時の、先生の選び方についてポイントをお伝えしました。

子どもでも大人でも、新しく始めることは長く続けることが何より大切だと思います。

特にピアノはある程度弾けるようになるまで時間がかかる楽器です。弾けるようになる前にやめてしまっては、ピアノにおける可能性が閉ざされてしまいます。

長く続けるためには、楽しいと感じることが何よりです。

第一歩としては、ピアノの楽しさが感じられる先生に習うこと

もしもっと技術を伸ばしたいと思った時は、そう思ったに、ステップアップの方法を先生に相談する。それからで遅くありません。

そういう先生を探すために、体験レッスンや事前の問い合わせで、できる限り必要なことを確認しましょう。こちらの想いも伝えながら、コミュニケーションをとり、先生の雰囲気や人柄を感じとれれば、いざ習い始めてからのギャップは最小限ですみます

ぜひ相性の合う先生と出会って、ピアノの世界を広げて欲しいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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簡単!初心者向け、ピアノ伴奏の作り方

小さなお子さんがそばにいて、ピアノがあれば、知っている曲を弾いてあげたい、そう思いませんか?メロディーと和音さえ弾ければ、曲の雰囲気は伝わって、目の前で弾いてくれることを子どもたちは喜んでくれます。

テレビやYouTubeで音楽に触れさせるのもいいのですが、目の前で、親しいあなたが弾いてあげることに価値があるのです。

「たいした練習もしないでそんなことができれば、最初からピアノに苦労しないよ」と思われるかもしれません。しかし、ポイントさえ分かれば、童謡や唱歌などをピアノで弾いてあげることは可能です。

そこでこの記事では、簡単なピアノ伴奏の作り方を紹介します。ブランクが長い方やピアノ初心者でもできる、とても簡単な伴奏の付け方です。

その方法を身につけると、お孫さんや、お子さん、甥っ子・姪っ子ちゃんたちの前でピアノを弾いて、すてきな時間を過ごせます。保育士さんで、ピアノを弾くのがあまり得意ではない方にもおすすめです。

子どもは歌やピアノの音が好き

筆者が昔から、人見知りの甥や姪と仲良くなれたひとつの方法。それが、ピアノをひいてあげて、一緒に歌うこと。中には歌よりも身体を動かすことが好きな子もいいて、ピアノを聞くと、歌わないけど、踊りまくるような子もいました。

幼稚園・保育園に通い始めた子に、知っている曲をピアノを弾いてあげると、とても喜びます。童謡・唱歌はもちろん、テレビのアニメやお気に入りの曲でも楽しんでくれます。

これが実は、バイオリンやフルートなどの楽器だと、そうでもないのだそうです。それらは旋律楽器なので、基本的にメロディーしか弾きません。メロディーだけだと、和声(伴奏)がないので、曲の雰囲気が分かりにくいからだと思います。

その点、ピアノがメロディーと和声が表現できる楽器というのは楽器の中でも大きな特権ですよ。

ピアノ伴奏における「楽譜に忠実」よりも大切なこと

クラシックの曲は基本、作曲家のかいた譜面通りに演奏することがマナーです(初心者向けに簡単にアレンジされている譜面もあります)。

しかし、伴奏においては、楽譜どおりに弾くこと以上に大切なことがあります。それについて説明します。

ピアノ伴奏の意味

伴奏の大きな役割は、メロディーに足りない要素である「和声」を補ってあげることです。その役割を果たせるのであれば、必ずしも楽譜通りに弾く必要はないのです。特に、小さい子向けにひく歌の伴奏の場合、伴奏の譜面通りに弾く必要はありません。

大切なのは歌い手が歌いやすいように導いてあげること。楽譜通りに弾くことが優先になってしまい、リズムが乱れたりすることの方が問題です。

その代わり、メロディーと和音だけは、止まらずに弾くことが求められます。

では、楽譜どおりに弾く必要がないにも関わらず、なぜ伴奏の楽譜(大譜表/二段譜)が存在するのでしょうか。それは、和声のしくみが全く分からない人でも、その通りに弾けば、曲の雰囲気にふさわしく、曲が弾けるからです。

逆にいうと、曲の雰囲気さえ伝われば(=メロディーと和音さえ弾いてあげれば)、伴奏は自由に弾いて構わないのです。

すぐにひけることは大切

もちろん、すてきなアレンジ譜で事前に練習し、立派な伴奏することは素晴らしいことです。

一方で、「すぐに弾ける」状態でいることも大切。もし、目の前にお子さんがいて、何か弾いてあげたい!と思った時。それから楽譜を探して、「えーっと・・・」と譜面を読もうとしても、待っている間に、子どもはテンションが下がってしまいます。

知っている曲がピアノから流れたら、メロディーと和音(簡単な伴奏付け方)だけで、子どもは充分楽しんでくれます。簡単に、でいいのです。

楽しくひくこと

もし楽譜どおりに弾くことに必死で、あなたが音楽を楽しんでいなかったら、子どもたち側も楽しくありません。また、子どもたちの様子を見る余裕もなく、息つぎのタイミングや歌いにくそうなところがあっても、それを見逃してしまうかもしれません。

そうならないためにも、楽譜にくぎ付けで弾くことは避けたいこと。だからこそ、簡単な伴奏を付けることができると、大きな強みになるのです。

初心者向け、ピアノ伴奏の付け方

ここから、実際に初心者でもできる、ピアノ伴奏の作り方・伴奏の付け方について説明します。

音楽には「メロディー」と「和声」

音楽の大切な要素にはメロディー、和声(和音)、リズムがあります。

童謡や唱歌など、既存の楽譜を参考に、メロディーと和音をまず理解しましょう。

メロディーは「ドレミ」で歌えるようにしておくと、楽譜に頼る必要がなくなりますし、音感も身に付きます。

和音については「コード」が分かるととても便利です。「コード」とは和音を英語で表した言葉です。

下の写真のような記号を見たことがありませんか?これが、「コード」です。その小節の和音を表します。

もし、歌の伴奏譜を購入するときは、ぜひコードが書かれた譜面にしましょう。楽譜どおりに弾かなくても、すぐに伴奏が付けられますし、アレンジをする際も使いやすいです。

「コード」を理解しよう

「コード」とは和音のことです。和音は3和音以上のかたまりのことで、和音を表す記号のことを「コードネーム」と言います。

コードネームがあれば、「楽譜に音符が書かれていなくても、和音が分かる」ということになります。

ここでは1番なじみのある「ドミソ」の和音について説明します。下の和音をコードネームで表すと、全て「C」となります。

基本形は「(下から順番によんで)ドミソ」の形。同じように「ミソド」「ソドミ」も「C」のコードといいます。このように、構成する音が同じであれば、並びが変わっても同じコードを表します。

コードについてもっと知りたい方はこちら

ピアノでコードを弾こう①入門編 Cメジャー

簡単な伴奏パターン

超簡単な伴奏のパターンを3つ紹介します。ここでは「むすんでひらいて」の楽譜を例に説明します。下記の①〜③、全て左手パート(ヘ音記号の段)について述べています。

①コードをそのまま弾く

これが伴奏の中で1番簡単な形です。ここでは「C」と「G」2つのコードが使われています。

Gのコードの基本形は「(下からよんで)ソシレ」ですが、ここでは「(下から)シレソ」の順番で弾くのが弾きやすいです。

それはひとつ前の音と比べて、手の位置をそれほど変えなくていいからです(実際に弾いてみると、その意味が理解しやすいと思います)。

②アルペジオで弾く

和音を同時に鳴らす①の方法に対して、和音を1音ずつ順番に、連続的に弾く方法を「アルペジオ」と言います。バラバラに見えますが、使っている音は①の和音と同じだということが分かると思います。

③和音を分けて弾く

①の和音を分けて弾くパターンです。

①〜③までみて、いかがでしたか?伴奏の数をこなしていくと、簡単な曲は、少しずつ自分でコードが付けられるようにもなっていきます。

歌い始めのきっかけを明確にする

子どもたちが一緒に歌ってくれるとなると、歌の出だしが一目瞭然で分かるように弾く必要があります。

前奏として、メロディーの最後の4小節を弾くなどして、誰もが歌い始めやすいように弾いてあげましょう。

まとめ:簡単!初心者向け、ピアノ伴奏の作り方

 

ここまで、初心者でもできる簡単な伴奏の作り方について説明しました。

すでに市販の伴奏譜は沢山売られています。すてきにアレンジされてあるものもあります。しかし、音楽を楽しみたいお子さんがいる前では、楽譜に忠実に弾くよりももっと大切なことがあります。

その場で楽しく、すぐに弾いてあげることです。

メロディーと和音さえあれば、子どもたちはピアノの音を充分に楽しんでくれます。簡単でもいいのです。親しいあなたが、お子さんの好きな曲を弾いてあげることが、とっても意味のあることなのです。

そのために、普段からできること。メロディーは「ドレミ」で歌えるようにすることと、左手の伴奏のために、簡単な「コード」を弾けるようにすること。

子どもは歌うことやピアノの音が好きなので、ピアノがある環境であれば、ぜひ知っている曲を弾いてあげてほしいと思います。

それによって、あなたの身近にいるお子さんの音楽の世界をどんどん広げてあげてください。

それとともに、きっとあなたの音楽力も上がっていくはずです。ピアノにブランクがある方も初心者の方も、チャレンジしてみてください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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ピアノを両手で弾いてもつられないための練習法

ピアノを始めたばかりの人にとって、両手で違う動きをすることは難しいことかもしれません。左手の動きに右手がつられることはよくあることです。

そうならないためには、どのような練習をしたらよいのでしょうか。

この記事では、超初心者向けに、「両手でピアノをひいてもつられないための練習方法」について紹介します。

こんにちは!そんな暗い顔をして、どうしたの?
ピアノをひく時、両手だとどうしても、指がつられちゃうの。左右で別々の動きをすることがむずかしくて・・・

確かに、ピアノを始めたばかりの子が両手にチャレンジするのは難しいことかもしれない。でも大丈夫!正しいステップをふんで練習すれば、両手でひけるけるようになるよ。一緒にやっていこう。
うん、がんばってみる。

片手ずつ、正しく練習する

ピアノは両手でひく楽器ですが、最初から両手でひこうとすると脳が混乱します。最初は「片手ずつ」ひくことがとても大切。そして、正しい「音符」と「リズム」でひくことです。

ここでは「メリーさんのひつじ」の楽譜を使って説明します。この曲は最初の1小節目が意外と難しいので、1小節目を中心に練習してみます。

なお、このように「1小節目だけ」を練習する場合、次の小節の1音目まで含めて練習するのがポイントです。

拍子を確認しよう

楽譜には1小節に入る音符の数が決まっています。そのための記号が「拍子(ひょうし)記号」で、楽譜の最初(ト音記号、ヘ音記号の次)に表されます。

この曲の場合は拍子が「4分の4拍子」となっており、1小節に「4分音符=♩」が4つ分入ります。

数え方としては「1、2、3、4」このくり返しが基本となります。

左手を練習しよう

片手ずつ練習します。練習するのは左右、どちらの手からでもいいのですが、この曲の場合は、左手の方が簡単なので、まずは左手から説明します。

「1、2、3、4」と声に出して数えてみましょう。

さらに、数字の後に「ト(と)」という言葉を入れて数えます。「1ト、2ト、3ト、4ト」という感じです。

そしてひいてみます。

なぜこのように数えるのかというと、「ト」を入れることで、ゆっくりのテンポ(速さ)でも「4分音符=♩」の半分の長さまで確実に数えられるからです。

右手をひいてみましょう

左手と同じように、「1ト、2ト、3ト、4ト」と数えながらひきます。

ここでポイントですが、最初の「レ」の音は「2ト」の「ト」と同時に鳴らすことになります。これがこの曲の難しいポイント。左の音とは、ひくタイミングがずれているからです。そのポイントさえ押さえれば、両手でひける時はもうすぐそこですよ。

「ゆっくりすぎて余計に分からなくなる」という人!実はこの「ゆっくりの練習をおそろかにする」ことが、両手が合わせられない理由のひとつなのです。おろそかなままだと、いつまでたっても普通のテンポで正しくひくことはできません。

奇跡的に速くひけることがあったとしても、それは正しい練習でも、上達したわけでもないのです。

逆に、ゆっくりで正しくひけることは、確実に上達へ向かいます。本来、ピアノはゆっくりひくことの方が簡単なはず。なので、正しいステップをふめば、誰もが上達できるのです。ゆっくり正しくひければ、その後に段々とテンポを速くしてくことはそんなに難しくありませんから。

リズムだけで練習する

片手ずつ正しく弾けたら、次は両手で「リズムだけ」で練習してみます。ここでは、ピアノは使いません。ひざの上かテーブルの上を使って、両手でリズム打ちをします。

下の譜面は、「メリーさんのひつじ」をリズムだけで表したものです。

ここでも声に出して数えながら、練習します。くり返しますが、この曲が難しい理由は、右手(歌/メロディー)と左手(伴奏)がずれているから。その場所となる「2ト」のところに、特に気をつけながらたたきましょう。

どうでしたか?実際にリズムで練習する時は、ピアノの楽譜からリズム部分を読みとって、練習してくださいね。

左手をひきながら、右手(メロディー)のパートを歌う

音楽の中で「メロディー」はとても大切なパートです。この曲で言うとメロディーは右手。歌でも正しく、特に「リズム」に気をつけて歌えるようにしましょう。左手はそのまま楽譜通り、伴奏をひきます。

ゆっくり、合わせられましたか?それができるようになったら、次へ進みましょう。

両手で合わせる

ここでようやく両手で合わせます。随分と合わせやすくなったと思います。

もしまだ、合わせるのが難しいと感じるのなら、これまでの練習が十分でないか、あるいはテンポがまだ速いのかもしれません。

これまで練習したように、「声に出して数えながらひけるくらい」にゆっくりのテンポで確実にひけていますか?テンポを速くするのは、それに慣れてからです。それが確実に上達する方法です。

まとめ:ピアノを両手で弾いてもつられないための練習法

 

ここまで、ピアノを両手で弾いてもつられないための練習を紹介しました。まとめると次のようになります。

1 片手ずつ、正しく練習する。

拍子の数を声に出して数えながらひくことで、正しさが明確になります。

2 リズムだけで練習する。

楽譜のリズムを、ピアノ無しで、両手でたたいてみましょう。

3 左手(伴奏)を弾きながら、右手(メロディー)を歌う。

メロディーを正しく歌うことは大切です。

4 両手で合わせる

1〜3を経て、両手で合わせるとひきやすくなります。

以上です。両手で合わせることに慣れたら、いずれは2や3の過程は、とばしてもOK。難しい曲に出合ったら、また2、3を含めて練習すればよいと思います。

大切なのはゆっくりのテンポでも、本来のテンポでも、「正しくひけているか」です。声に出して数えてひいてみれば、正しくひけているかはすぐに分かります。

最初はステップを重ねることが大変に感じるかもしれませんが、実はこれが確実な上達への道となります。1歩でも2歩でもステップアップして、ぜひ両手でひける喜びを感じてみてほしいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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ピアノ初心者向け

ソルフェージュとは?ピアノ学習と併用する効果。

ソルフェージュとは、ひと言で言うと、「音楽の基礎的な能力を鍛える」ことです。楽譜を読んだり、聴いた音を判別したり、聞こえた音を楽譜に書いたりする力を養います。また、音楽に関する知識を身につけます。

この記事では、ソルフェージュを学ぶ目的や、ピアノ学習と併用するメリットについて説明します。

ソルフェージュの目的

ソルフェージュとは、「音楽の基礎的な能力を鍛える」ということについては冒頭で説明しました。その目的について、簡単に説明します。

楽譜を読めるようになる

楽譜を正しく読む力のことを「読譜力」とも言います。特にピアノ学習においては、多くの音符が譜面上に登場します。読譜力が身につけば身につくほど、ピアノの譜読みが楽になります。

譜読み・・・楽譜に書いてある音符を音にしていく作業で、ある程度、止まらずに弾けるまでの行程を言う。

また、楽譜を読んで、ピアノや楽器を鳴らさずに、正しい高さと正しいリズムで歌を歌うこともできるようになります。このように、初めての楽譜を楽器なしで歌うことを「新曲視唱」と言います(基準の1音だけは与えられます)。

音を聴きとれるようになる

 

「聴音」と言って、演奏されたメロディーや和音を聴きとり、その音を楽譜に正しく書くことができるようになります。

ポピュラー音楽では「耳コピ」という表現もあります。

音楽に関する知識を身につける

音楽には沢山の暗黙のルールがあります。それを学ぶことで、譜面上のルールや音楽理論などを理解できるようになります。

また、それらを実際の音に結びつけることで、ピアノ学習にも、とても効果的に作用します。

ピアノのレッスンだけでは不十分なの?

ピアノのレッスンでも、初心者に対しては、楽譜の読み方の基本は学習します。楽譜が読めないと、ピアノの学習を進めることが難しいからです。

たとえば、小学生くらいまでは、レッスンの後半に、冊子のワークなど使って、ソルフェージュの時間を設けるピアノの先生もいらっしゃいます。

それだけでは、不十分なのでしょうか?

そもそもピアノのレッスンというのは、指を動かすテクニック的なことや、音楽表現など、実用的なことを中心に学ぶことが多いので、ピアノのレッスン内だけでソルフェージュ力を伸ばすには、限りがあります。

そこでピアノのレッスンと併用して、「ソルフェージュ」という独立したレッスンを受けることで、音楽の基礎能力をさらに鍛えることができるのです。そうなると、ピアノの力もぐんと伸びます。

「ソルフェージュ力をもっと伸ばしたい」という人であっても、「正直、ソルフェージュのレッスンを受けるほどではないな・・・」という人がいるかもしれません。その場合は、習っているピアノの先生に、1度相談してみるといいと思います。

生徒さんによっては、たとえピアノの実技的なレッスン時間が減ったとしても、ソルフェージュの時間を多めにとった方がいいと判断される可能性があるかもしれませんから。

ソルフェージュ力が身につくと?

楽器を本格的に学ぶ人や、音楽の道に進む予定の人は、幼い頃からでも、ソルフェージュのレッスンに通う人もいます。そういう人は、やはり読譜力がとても早く、音楽のセンスは抜群です。

筆者の場合は、大学入試に必要だったため、高校1〜2年頃から、ピアノのレッスンと併用し、ソルフェージュのレッスンを受けはじめました。音楽の基礎をピアノの鍵盤から離れて学ぶことで、別の角度からピアノを捉えることができたような気がします。

そして変化を感じたことは以下のことでした。

・ピアノの譜読みで、間違いが減るようになった。

・拍子感・リズム感が身についた。

・楽譜の正しい書き方が分かるようになった。

・音を聴き分けられるようになった。

・楽譜を見て、(ピアノを鳴らさずに)正しい音程で歌えるようになった。

ソルフェージュ力がつくと、ピアノの譜読みの間違いに気が付きやすくなります。音が聞き分けられるようになることで、自分が楽譜と違う音を弾いていることに早い段階で気がつきやすくなるためです。

そのような理由によって、ピアノ学習をする上で、ソルフェージュの訓練はとっても役に立つのです。

まとめ:ソルフェージュとは?ピアノ学習と併用する効果。

ここまで、ソルフェージュ力を身につける目的やピアノ学習と併用するメリットについて説明しました。

ソルフェージュは、楽譜を読んだり、聞こえた音を聞き分けたりといった、「音楽の基礎となる能力を鍛えること」です。

ピアノのレッスンでも、初心者に対しては、楽譜の読み方の基本は学習します。ただし、ピアノのレッスンでは実技的なことを学ぶことが中心となります。

ソルフェージュを身につけると、ピアノの実技そのものが身につくわけではありませんが、音を聞き分ける力が敏感になったり、楽譜を読む速度が早くなったりします。そのため、ピアノ学習にとても役に立ちます。

ピアノの譜読みがもっと早くなりたい、と悩んでいる人にとっては、ソルフェージュ力を身につけることは、ピアノ上達への大きな効果をもたらすかもしれません。

いずれは楽譜の中から、作曲家の意図を読みとり、それに相応しい音楽表現ができるといいですね。

ピアノ学習者にとって、少しでも参考になれば、幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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ピアノ初心者向け

ピアノのペダル。役割を知って使ってみよう。

ピアノにはペダルがあります。ピアノによって、2本だったり、3本だったり…またグランドピアノとアップライトピアノによって、役割が異なります。それぞれのペダルの使い方を知って、ピアノの表現の幅を増やしましょう。

ピアノのペダルの種類

ピアノには3つの種類のペダルがあります。

 

①ダンパーペダル(右端)

一般的に「ペダル」と呼ばれるのは、このダンパーペダルのことです。これを踏むと、鍵盤から指を離した後も、音が持続し、響きが残ります。実際に鍵盤を押さえた音以外の他の弦も振動するため、打鍵した音以外にも共鳴し、豊かに響きます。ダンパーペダルを踏むと、すべての弦からダンパーが離れるためです。

ダンパー・・・音を止める部品。奏者が指を離すと弦に接触し、弦の振動を止め、音が止まるというしくみ。

②ソステヌートペダル(中央)

このペダルを踏んだ時点で押していた鍵盤の音だけを長く伸ばす効果があり、その後に押した他の鍵盤は音は伸びません。踏んだ時点で押した鍵盤のダンパーのみに作用するためです。

ソステヌートペダルを使用する楽曲は非常に稀ですので、ピアノ学習者でもほとんど使う機会はないかもしれません。ペダルが2つしかない機種は、このソステヌートペダルはついていません。

なお、アップライトピアノでこの場所にあるペダルは「マフラーペダル」です。弱音効果があり、夜間に練習するときに近所に音が響かないようにすることを目的に、使用します。

③シフトペダル(左端)

ウナ・コルダ・ペダルと呼ばれます。このペダルを踏むと、グランドピアノではアクション全体が横方向にずれて、ハンマーでたたく弦の本数が減るため、音量が小さくなります。音色はややくぐもった音になります。楽譜上の強弱記号で、pp(ピアニッシモ)の表示があるところによく使われます。

なお、アップライトピアノではこの場所にあるペダルは「ソフトペダル」といいます。グランドピアノとは仕組みが異なり、ハンマーが当たるまでの距離を短くすることで、たたくスピードを抑えます。音量が小さくなるという効果は同じです。

ピアノのペダル記号

よく使われる「ダンパーペダル」を踏むタイミングについて、説明します。ここから先の「ペダル」とは主に「ダンパーペダル」のことを指します。

楽譜上のペダル記号

譜面上でのダンパーペダルの記号を見てみましょう。記号には主に3パターンあります。

 

下記の楽譜ではダンパーペダルの記号と別に、「ウナ・コルダ・ペダル」の記号も表記されています。これは「シフトペダル」のことで、音量を抑える時に使用します。ダンパーペダルほど多くはないですが、時々登場します。

楽譜の強弱記号も「pp(ピアニッシモ)」が表記されていますね。可能な限り音量を小さめに弾くように指示してあることを意味します。

ペダルの踏み方

右足のかかとを床につけて、親指の付け根辺りで踏みます。

音を鳴らした直後に踏むことが基本です。打鍵と同時にペダルを踏むと濁ってしまいます。そのタイミングに慣れるまでは、少し練習しましょう。

ペダル記号の表記について

同じ楽曲の楽譜であっても、出版社によって、「ペダル記号」の位置が異なることはよくあります。これは、現代のピアノにおいて、「ピアノ学習者にとって最適なペダルの位置」を、出版社なりに判断しているためだと思われます。

また、楽譜上にペダル記号がなくても、少し響きが欲しい時は、ごく浅いペダルを使うことで、音の広がりを豊かにすることも効果的にペダルを使うテックニックのひとつです。

ペダルが濁らない方法

ペダル記号の表記がない楽譜や、踏みかえの場所の指示が細かくない楽譜もあります。

したがって、楽譜通りに踏みかえるだけでは音が濁ることはよくあることです。その場合は、「音が濁らない」程度に、踏みかえる必要があります。

濁らないようにするポイントは、「和声が変わるたびに踏みかえる」ことです。

ペダルを使う際の本番の靴

ステージなどの会場で弾く場合、大人の女性はヒール靴を履くことが多いので、本番前に家でも靴を履いて練習することをおすすめします。練習せずにぶっつけ本番で靴を履いて演奏すると、足元が気になって演奏に集中できなくなる可能性大です。

新聞紙を敷いたり、ペダル部分はビニールを被せるなど、室内でも工夫して「靴を履いて弾く」という練習をやってみましょう。

ピアノの補助ペダル

子どもはペダルを使う楽曲は少ないのですが、それでも足が床に着地しないうちにペダルを使用する場合は、補助ペダルを使います。補助ペダルは、ダンパーペダルとシフトペダルの2つのタイプが多いようです。

まとめ:ピアノのペダル。役割を知って使ってみよう。

ここまで、ペダルについて説明しました。

一般的に「ペダル」と言われるものは「ダンパーペダル」と言って、1番右のペダルのことです。打鍵後に指を離しても音が持続するので、響きが残り、豊かな広がりを奏でます。

楽譜にはペダル記号がありますが、同じ曲であっても出版社によって、表記の場所が異なることがあります。また、楽譜通りのペダル記号で踏みかえても、音が濁ってしまうこともあり、和声が変わるごとに踏みかえるなどの工夫が必要です。

ペダルを踏むタイミングは、打鍵した直後に踏むことが基本なので、そのタイミングに慣れるまでは練習しましょう。

ペダルを効果的に使用して、さらに豊かな音楽の表現を目指していきましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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ピアノ初心者向け

ピアノでブラインドタッチ。できるといい理由。

ピアノを長年続けてい人は、楽譜を見ながら弾く時、手元はほとんど見ていません。色んなパターンの人がいてもおかしくないのに、手元よりも楽譜を見て演奏する人がほとんどです。

一方、ピアノを始めたばかりの人は、楽譜よりも手元に視線が行きがちです。その弾き方の差は何なのでしょう?

この記事では、手元を見ずに演奏する=ブラインドタッチについて説明します。

 

 

ピアノでブラインドタッチができるメリット

長年のピアノ経験者は楽譜を見て弾く時は手元を見ずに弾きます。その理由について説明します。

ブラインドタッチとは

「ブラインドタッチ」とは、もともとパソコンの入力方法のことで、キーを見ずに入力することを言います。キーの配置を覚え、画面や原稿などを見ながら打つので、キーを見ながら打つより、速く入力できます。また、打ち間違いに早く気がつくというメリットがあります。

訓練すれば、だいたいの人がパソコンでブラインドタッチをできるようになりますし、訓練しなくても、常にパソコンを使っていればどこに何のキーがあるか感覚で分かってきます。

実は「ブラインドタッチ」という言葉は、正式な音楽用語ではありません。例えば「手元を見ないでピアノを弾く」という行為を説明する時に、必ずしも著者たちは「ブラインドタッチ」という言葉を用いるわけではありません。

ただし「ブラインドタッチ」と表現すれば、大人の初心者にも通じるため、ピアノにおいても、用いる人が増えたのではないでしょうか。

この記事でも「ブラインドタッチ」という表現を用いてみます。

パソコンとピアノのブライドタッチの難しさの差

パソコンはどのキーをどの指で押さえるか決まっていますが、ピアノは決まっていません。ピアノは88鍵もあり、1度に押さえる音数も多いため、どの指でどの音を弾くか、その時によって変わるのです。同じ曲ですら、弾く人によって使う指が異なることはよくあります。

そのため、ピアノのブラインドタッチの方がパソコンよりも難しいのは当然かもしれません。

鍵盤を見ないと弾けない理由

ピアノを始めたばかりの人にとって、手元ばかり見てしまうのは、ひとつには、どの鍵盤に指を置くべきかよく分かっていない、ということがあります。これは楽譜上の音符、音、手の動きが一致していないことが理由です。特に、お子さんは手が小さく、隣の音ですら距離が長く感じるため、鍵盤を目視してしまうのかもしれません。

また、読譜力が弱い人ほど、どうしても意識は手元に行ってしまいます。

ミスタッチを恐れて鍵盤を見てしまっている場合もあります。

ブラインドタッチのメリット

手元ばかり見てひいたり、楽譜と鍵盤を何度も目線が行き来してしまうと、楽譜を見ることが散漫になり、正しく譜読みができません。

逆を言えば、ある程度のブラインドタッチができるようになれば、楽譜から目を離さないで弾けるようになります。それによって、楽譜を見ながらピアノを弾くのがとても楽になりますし、ピアノ学習の初期段階でできると、効率的に上達することにつながるのです。

ピアノのブラインドタッチを身につける方法

ここでは、手元を見ずにピアノを弾くための方法について紹介します。

手の感覚だけで鍵盤を探す練習をする(超初心者向け)

ピアノ初心者や、ピアノに触れる時間が少ない人は、どうしても楽譜上の音符、音、手の動きが一致しにくいです。対策としては鍵盤の感覚を身につける練習をすることです。

ここで、「手の感覚だけで鍵盤を探す練習」を紹介します。ゆっくりと、手を見ないで指を動かしてみましょう。

①右手で、ドの音に1の指を置く(ここは手元を見てよい)

②手元を見ずに、2–レ、3–ミ、4–ファ、5–ソというように指を置き、何度も弾いてみて、感覚に慣れましょう。尚、音を出す時に常に、ドレミを声に出して言うと、耳の訓練にもなります。

③次にドの音を基準に、ド→レ、ド→ミ、ド→ファ、ド→ソ、と弾いてみる…

それが出来たら、次はレの音を基準に他の音を弾いてみる…など手元を見ずに色々なパターンを弾いて、さらに感覚に慣れましょう。この練習は、指先、耳、脳の3つに働きかけます

④左手でも、上記の①〜③をやってみましょう。

⑤隣同士に並んだ音をミスなく弾けることは重要な感覚です。隣同士の音に慣れてきたら、少しずつ「離れた音の鍵盤感覚」も身につけるとよいでしょう。

このように、基準とする場所に指を置いたら、後は感覚で鍵盤の位置が分かるようになると、ピアノを弾くことがスムーズになり、無駄なミスタッチを減らすことにもつながります。

ピアノの演奏において、指先の感覚はとても大切です。その感覚が育たないと、譜読みに時間がかかります。また、楽譜と音の関係を把握する力が伸びないので、理論を身につけることも難しくなります。

正しい姿勢で弾く

ブラインドタッチと言っても、全く手元が見えない状態で弾くのはピアノ経験者でも難しいことです。

実際には、手元が全く見えない中で弾くという機会など、ほとんどありません。ピアノ学習者が身につけるべきレベルとして、「視界の片隅に鍵盤があれば弾ける」、その程度のブラインドタッチで十分です。

そこで大切なのは、正しい姿勢で弾くことです。

<ピアノを弾く正しい姿勢>
イスに座るときは、鍵盤の端から端まで届くよう、身体が自由に動けるような座り方をする必要があります。

身体を安定させ、自由に動すために、骨盤を中心にしっかりと重心を下ろし、上半身が安定するように座ります

腕と手の位置
腕は、ひじから手首までが、鍵盤に対して水平にし、低くなりすぎない過ぎないよう気をつけましょう。ひじは体より前になるようにします。この時に、手首に力が入らずに、緩まった状態を保ちます。また、イスの高さや、鍵盤と身体の距離は、この腕の体勢によって決まります。

足の位置
両足はペダルを使わない時は、肩幅くらいに広げます。ペダルを使う時は、右足はペダルを使うために前方に出ているので、左足は身体が安定するように少し手前に置くようにすると良いでしょう。

 

正しい姿勢を身につけずに、イスの位置が近すぎたり、猫背になってしまったりすると、視界から鍵盤が見えずに、つい目線が手元に行ってしまう、という非効率的な動作をしてしまう可能性が出てきます。

常に正しい姿勢で弾くこと。そうすれば、目で楽譜を追いつつも、ちゃんと視界の中に手元があるので、慣れれば、手元を気にせずに弾けるようになります。

楽譜を読む力を身につける

意外と知られていないかもしれませんが、読譜力がしっかり身についていることは、ブラインドタッチが自然と身につくための大きな要素です。楽譜がスラスラと読めれば、視線は自然と楽譜にいくものだからです。

そうなると、止まらずに弾くためには手元を見るよりも、楽譜を目で追っていた方がずっと楽だ、ということが分かってきます。

初心者にとっては楽譜を読むことはまだまだ不慣れでしょう。しかし、その段階に応じた正しい練習をすれば良い、そういうことです。

対策のひとつとして、ピアノは触らずに、楽譜上の音符を指で差しながら、ドレミで言う練習をします。スラスラ読めるまで、自信がない箇所は、何度もくり返しましょう。すぐに身につくものではありませんが、くり返すほど、必ず譜面が読みやすくなります。

楽譜がスラスラ読めるようになれば、たとえ音が跳躍するところで一瞬手元を見たとしても、すぐに楽譜上の元の場所に、視線を戻すことができます

逆にそれができないと、自分が楽譜上でどこを弾いているのかを見失って、音楽が止まってしまうことにもつながってしまいます。

スケールの練習をする(中級者以上)

中級者以上の方は、スケールの練習をすると、さらに指の感覚が身につきます。

スケール(音階)とは、「段」のことです。音の並びが一定なので、この練習をくり返して、手の感覚を覚えいけば、自然と手元を見ずに弾けるようになります。音楽を勉強する上で大切な「カデンツ」を、手元を見ずに弾く練習にもなります。

カデンツ…楽曲の終止形で使われる和音進行のこと

スケールの練習についての記事はこちら↓
ピアノでスケール(音階)を練習しよう。

ピアノに触れる時間をとにかく増やす

シンプルですが、とにかくピアノに触る時間を増やすこと。それが鍵盤の感覚が身につく確実な方法です。

それを言ってしまえば、これまで紹介してきたことは何だったの?と思うかもしれませんが、ピアノに触れる際に、これまで紹介してきた「正しい練習」で行うことがとても効果的なのです。

それを組み合わせることで、より早く手元を見ずに弾くことが身につき、より効率的にピアノが上達することでしょう。

まとめ:ピアノでブラインドタッチ

ここまでピアノでのブラインドタッチについて説明しました。ピアノを学習する上で、ブラインドタッチができるようになれば、楽譜から目を離さないで弾けるようになり、楽譜を見ながら演奏するのがとても楽になります。

本来、ブラインドタッチは、ピアノを長く続けていれば、自然と身についていくことですが、初期段階でできると、とても効率な練習が出来ます。

そのレベルに合わせてできる対策を行い、より効果的にピアノの上達に役立てていただけたら幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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ピアノ初心者向け

ピアノは手首の使い方が大事!

ピアノ学習において、少し工夫することで弾きやすくなることって意外にあるものです。例えば、脱力すること、重みのかけ方、指番号など…手首の使い方もそのひとつなんです。「手首を自由自在に操れるかということは、ピアノ技術の大きな要素」…そのように言う一流ピアニストもいるほどです。

ここではなぜ手首の使い方がピアノ演奏で大切なのか、その理由と理想的な手首の使い方について説明します。

ピアノを弾く上で、手首の使い方が大切な理由

手首はクッションのように、柔軟に使えるようにしておくのが理想です。いいフォームにすることで、演奏がよい方向に変化することさえあります。その理由を説明します。

手の構造

ピアノを打鍵するのはもちろん「指」ですが、動いている付け根はどこかというと、5本の指の付け根…ではなく、実は手のひらから伸びており、その内部の骨は手首の関節から分かれています。つまり、ピアノを弾くという動作は、手の甲に隠れている部分から動かしているのです。

こういうことです。↓

このように、実は指を動かしているのは、手首付近なのです。意外ですよね。

自然な形が理想

ピアノを弾く上で、手首の理想の形とは「自然な形」です。自然な形とは、一体どういうことを言うのでしょうか?

下の絵は、自然に立っている男性の絵です。手首はどうなっていますか?程よくまっすぐに伸びています。つまり、「く」や「へ」の字にはなっていませんね。このように、重力に任せて下ろした腕の状態が、人間の自然な手の形といえるわけです。

この手首の状態のまま、力を入れずに手をピアノに乗せてみましょう。それが、ピアノを弾く理想の姿なのです(その時、イスの高さはそのピアノにふさわしい高さである必要があります)。

これを元に、正しい手首の位置をみてみましょう。

正しい手首の位置

正しい手首の位置とは、下の写真のように、ひじと手首が水平、またはややひじが高い位置にあることです。

<正しい手首のフォーム>

ご覧のように、手首そのものは自然に、程よく伸びていることが分かります。これが「へ」の字のようになると、それは人間の自然な状態ではないので、手首に無理を感じることになりますし、無駄な力が入ったり、手首が固くなったりします。

手首に力が入ると?

ピアノを弾く上では、とにかくリラックスした状態が何よりも理想です。

手首に力が入ってしまうと、指を動かすコントロールが自由にできなくなります。また、音の表情も思い通りにつけられませんし、手を痛める原因になることもあります。

手首を柔軟に使い、余分な力を逃したりすることで、豊かな響きを作ることにつながりますし、手を痛めにくくもなります。

なぜ手首が上がったり下がったりするとだめ?

ピアノを始めたばかりの人は、手首を上げた状態(「へ」の字)、または下げた状態(逆の「へ」の字)で弾いてしまうことがよくあります。

これは手首を固めて使ってしまうことや、姿勢が悪いことなどが一つの要因となっていると考えられます。

このフォームのまま弾いてしまうと、様々な弊害が起きます。例えば、指が立てられずに打鍵する、スラーが繋がらない、テンポの速い曲が弾けない、脱力ができずに疲れやすくなる、などです。

下の写真は手首が「へ」の字になっています。

指先に力がスムーズに伝わるような正しいフォームを初期の段階で身につける必要があります。

手首を上下に動かすのもだめ?

特に幼少期のお子さんなど、力が足りずに、打鍵するたびに手首を上下に振って弾く人もいます。しかし、そのような弾き方では、1音ずつ音が途切れてしまい、レガートには弾けません。

本来、ピアノの演奏は、指の独立した上下運動によって行うものです。打鍵するのに力が足りないという理由で手首を上下させる弾き方は正しくありません。

ただし状況によっては、手首をあえて使って音に表情をつけることも大切な役割です。正しい手首の使い方がマスターできた後、または表現を深める段階になった時、そういう時は状況によって、手首を使ってもよいでしょう。

手首の動きを柔軟にするために

手首の動きを自由にするための方法を、いくつか紹介します。

正しい姿勢でひく

猫背になると、腕の位置が下がるので、鍵盤に手を乗せるとピアノに近すぎて手首が下がります。また、逆に胸を張りすぎると余計なところに力が入る原因となってしまいます。正しい姿勢を知ることで、解消できることがありす。

下のように最適なイスの高さで、正しい姿勢で弾くことに慣れましょう。

また人によって、最適なイスの高さは異なります。高さが合っていないと、手首が上がったり、下がったりする原因になってしまいます。ぜひ高さの調節できるイスを使いましょう。

↓イスの高さが合っていないと、こうなります。

なお、小さいお子さんは、足台が必要です。足台がないと、重心が安定せず、前のめりになってしまうからです。

腕や手の力をぬく

練習しながら手首が固くなってきたと感じたら、一度、弾くのをやめて、手を下へ伸ばしてぶらぶらと揺らしながら、重力に任せてみましょう。リラックスして、力が程よく抜けたことが確認できたら、そのままの「ゆるんだ状態」で、鍵盤に手を置きます。

スラーの練習をする

手首を柔らかくするために、スラーの練習をしましょう。スラーとは、楽譜に用いられる演奏記号のひとつで、音と音を滑らかにつなげて(=レガートに)演奏することを表します。

スラーの弾き方としては、次の音を弾く瞬間まで、鍵盤を押さえたままにして、次の音を弾く準備をし、なめらかに次の音を打鍵します。その移動の時のなめらかさは手首、ひじなどを上手に使うことで、実現します。

手首の平行を保つための練習をする

手首が不安定になってしまうのは、物理的な問題もあります。黒鍵と白鍵の高さの違い、また5本の指の長さの違い、などです。そのために、鍵盤の感覚に慣れることも大切です。

鍵盤は88鍵あり、指は10本です。例えば、1オクターブを全て片手で弾こうとすると、途中で指が足りなくなるため、指をスムーズに入れ替える動きが必要となります。

指を入れ替える動作の難しさは1の指を2、3の下へ送り込むこと(=指くぐり)と、1の指を他の指が越えていくところ(=指こえ)にあります。

ちなみに、送りこんだ1の指を打鍵したら、すぐに手の甲は次のポジションに移動するようにします。逆に、1の指を他の指が超えて弾く場合は、この逆の動作を行うことになります。

試しに右手で、ハ長調のスケールの練習(簡易版)を練習してみましょう。

この時に大切なのは、手首と腕の横の動き、つまり水平移動をできるだけスムーズにすることです。指よりもむしろ手首が先導して引っ張るイメージ練習しましょう。この時も、正しい姿勢、正しい手首のフォーム、手首をゆるめた状態でやることが大切です。

実際に弾く前に、ピアノの鍵盤の上で、鍵盤から少し手を浮かせた状態で、アイロンがけをするように、手を左右に水平に動かしてみる練習をやると、イメージがわきやすくなります。

中級者以上はスケールの練習をする

前述の「指こえ」「指くぐり」の練習として、中級者以上は、スケール練習をすることもおすすめです。

手首が動いてしまうポイントは「指こえ/指くぐり」と、他の調であれば、「黒鍵と白鍵の境目」にあります。弾きづらいところでは、手首が上下してしまう動きを最小限にするように気をつけましょう。

スケールの練習についての記事はこちら↓
ピアノでスケール(音階)を練習しよう。

まとめ:ピアノは手首の使い方が大事

ここまで、ピアノを弾く上で、手首の使い方が大切な理由を説明しました。

指が動いている本当の意味での付け根というのは、実「手首の辺り」なのです。つまり、指をコントロールしているのは手首の使い方と言っても過言ではありません。だからこそ、手首の正しいフォームと使い方を身につけることが、とっても大切なのです。

正しい方法を知ると、ピアノが弾きやすくなったり、上達のスピードがアップします。曲の難易度が上がっても大丈夫。ピアノを学習し始めた最初のうちに体に覚え込ませれば、あとが楽です。

皆さんも、手首の使い方の大切さを知って、さらに自由にピアノを楽しめるといいですね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。